表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして、黒百合は手折られた  作者: 中年だんご
第5話 バッドガール・ミーツ・バッドボーイ
85/86

バッドガール・ミーツ・バッドボーイ 11


 聖技は、不思議な特技を持っている。気配や殺気が察知出来るのだ。


 ただし、だ。いつでも誰であっても気配や殺気が分かる訳ではない。この体質が発動するのは、決まってドール・マキナの操縦中に限定されていた。さらに察知できる相手も同じくドール・マキナに乗っている相手だけで、生身の人間はもちろん、戦車や戦闘機にも効果がない。


 どうして戦車や戦闘機にまで効果がないことが分かるのかと言えば、今年のゴールデンウイークにドール・マキナで飛行するための免許証を取るために、空軍基地で訓練していたからだ。そこでようやく、聖技は自分が察知出来るのはドール・マキナだけだと確信を得るに至った。


 ちなみに、わざわざ言いふらしたりはしていない。初めてドール・マキナに乗った時に感じた感覚を悪友(ネッケツ)や指導官に聞いてみたら「何言ってんだこいつ」という顔をされたからだ。おそらくこれは一般的なものではない、人に知られると気持ち悪がられる類のものであると考えたからだった。


 そして聖技はこの特異体質をもって、ドール・マキナ・マーシャルアーツの大会を荒らしまくった。なにせレーダーが無くとも敵がどこにいるか分かるし、不意打ちもフェイントも本命も、攻撃のタイミングからどこを狙っているかまで分かってしまうのだ。負けるはずがなかった。



 ―――ただ一人、星川葵という例外を除いては。



   ●


 完全に不意を突いたはずだった。護送車にビーム刃を突き立てたら即時離脱するつもりだった。だというのに、


「な~んで今のを防げるんだよアイツはよぉ~!?」


 眼前、対峙するルインキャンサーは、思わず笑いそうになる程にデカい。なにせまたぐらが頭の上に見えるのだから。


 視線を下げる。股越しに、護送車の姿が見えた。


 股抜き出来れば、護送車を攻撃できる。


(抜けれるか……?)


 葵は中学生時代、DMMAで勝つために、聖技の立ち回り、癖、その他もろもろを散々研究している。そしてその知識の集合(カン)がこう警告していた。聖技の反応速度の前には、股抜きは不可能(100パーむり)、と。


 不可能は重ねて不可能に。ルインキャンサーの後方からドール・マキナが何機も近付いてきたからだ。パトカーを彷彿とさせる白と紺のツインカラー。両肩には音を鳴らす赤いサイレン。警察用の中型マキャヴェリーだ。それらはルインキャンサーには近付かずに護送車の周りを囲んだ。ゲシュペンスト・ローヴェによって通信不全を起こしているからだろう、外部音声出力で聖技に指示を出した。


『護送車の護衛は我々が受け持つ! ルインキャンサーはゴーストの排除を頼む!』


『……ルインキャンサー、了解』


 ルインキャンサーが発したのは、聖技の声ではなかった。だが、葵の知る限り、ルインキャンサーを操縦できるのは聖技だけのはずだ。つまりは、


(身バレ対策のボイチェンだな)


 葵は思う。聖技との対戦経験は2度。その2度とも、葵は勝利を収めている。だがそれらは、どちらも実力によって得たものではない。偶然に助けられての辛勝だった。否、正直に言おう。運が味方してくれなければ、2回とも負けていたのは葵の方だ。


 だから、


「いいぜ、やろうじゃねえか。3度目も勝ってやるよ、今回は実力でなぁ!!」


 だからこれは、()()()()()()()()()()()()だ。


   ●


「バスター・ビームソードってやつだっけ?」


 ゴーストの持つビームソードは、よく見る細長いタイプではない。実体剣のように出力成型されていた。かなりの高出力で、普通の中型マキャヴェリーでは電力不足で使うことが出来ないはずの武器だ。


「面倒くさいなぁ……。普通のヤツなら今ので終わっていたのに」


 そして8メートルサイズのドール・マキナが扱う通常規格のビームソードでは、プラズマ・スキンをまとった刀身と鍔迫り合いすることが出来ない。出力不足で、一方的に両断されるのだ。普通のビームソードであれば、聖技はビームソードごとゴーストを両断できていたはずだった。


「……てか、コイツどっから現れた?」


 周りには、全長8メートルの巨人が隠れられそうな場所はないはずだ。そうなるルートを選択したし、怪しい場所も全て事前に洗ってある。


(ビルの屋上、は、人がいたし……)


 ルインキャンサーを見ようとする人々は歩道だけに留まらず、建物の屋上にも大勢いた。もし空を飛んだり屋上を飛んで移動していたとしたら、もっと早くに鳥だ飛行機だスーパーマンだと野次馬が気付くはずだ。そもそも建物によってはルインキャンサーの方が全高が高い。


 だというのに、まさしく突然にその場に現れたとしか言いようがない。


 そもそもとして、聖技だけがかろうじて反応できたのは、ドール・マキナの気配が突然出現したからだ。


「急に消えるし、急に現れるっつーワケ? DI○かよテメェはよぉ~? エジプトに引きこもって日光に一生怯えてろってんだ」


(……いや、落ち着け~。マジで時間を止めたり出来たるはずがないんだし)


 なぜ直前まで気配を感じなかったのか、その理由に聖技は察しがついた。操縦桿から手を放していたのだろう、と。


 聖技の特殊能力はドール・マキナ限定だが、ドール・マキナに乗っているだけでは察知できない。ドール・マキナに張り巡らされたミスリルに、誰かしらが感応していなければならないのだ。例えば行動寸前まで腕組みでもしていれば、それだけで気配が分からなくなる。


「試合中に操縦桿放す馬鹿はいなかったからなぁ……」


 ゴーストが動いた。跳躍。ルインキャンサーの頭よりも高く跳ぶ。安っぽい棒状のビームソードではない、幅広の刃状に出力された武器を、バスター・ビームソードを振り下ろす。


 

 (ルインキャンサー)(ゴースト)が、激突した。



   ●


 その戦いを、遠く離れた廃ビルの屋上から双眼鏡で観測している大男がいた。


 ガーランだった。


 戦いから目を離すと、懐から装置を取り出した。ガーランの巨大な拳でも握れる巨大なグリップに、ボタンが一つだけ付いている。透明なボタンカバーを親指の腹で撫でながら、ガーランは双眼鏡越しに観察を再開した。


 この装置は、ゲシュペンスト・ローヴェへの遠隔通信装置だ。だが今は機体全身を覆う黒いもや、黒い(フィーテ・)森の(ダンケルハイト・)深い闇(シュヴァルツヴァルト)のジャミング効果のせいで押しても何も起こらない。


 ガーランの妖精の眼は捉えている。今いる場所はもちろん、ゲシュペンスト・ローヴェとルインキャンサーが戦っている現場まで、一切のアーバン・ジャミングが実施されていないことを。


 この装置が使えればそれがベスト。使えないなら使えないで代案はあるが、その場合、今回の件にガーランたちが関与していることを石川に気取られる可能性がある。出来ればそれは、()()避けたい。


 ガーランは神や仏といった空想上の産物を信じてはいない。だが、もしも上手くいったのであれば、それは―――



 運命(世界)は、この男を後押ししているということだ。



それではここで、聖技が参加するドール・マキナ・マーシャルアーツについて見てみましょう。


参加する機体は全機同性能のジムです。ですがその中に1機だけ、1年戦争時のニュータイプ能力ビンビンのアムロが参加していて、他は全員オールドタイプの学徒兵です。このアムロジム状態なのが聖技。そりゃ無双するわ


それに勝てる葵 is なに?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ