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迷鳴雷雷 〜二度目の人生は冒険者〜  作者: 下町のケバブ
第二章 駆け出し冒険者編
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第42話『面倒事』


 【アーク歴 3033年 3月30日】



 俺達のDランク昇格から1ヶ月が経った。

 季節はだんだん春に近づいてきたが、まだ少し肌寒い日が続いている。


 最近では俺達の事をチラチラ見てくる冒険者も増えてきて、少々活動がし辛くなってきている。だが、見られているだけで特別何かをされた訳でも無いので、一応モルフィートの街から出ていく事はしていない。


「おっ、2人ともおはようさん」


「おう。おはよう」


「おはようリンク。もう街を1周してきたの?」


 俺が朝のランニングを済ませて家へ戻ってくると、家の前にある狭い庭で1人柔軟をしているファルと、木槍の素振りに励んでいるクリスが朝の挨拶をしてきた。


「あぁ、 今日はちょっと早いペースで走ってきたんだよ。『ソニック』を使っても筋肉痛にならない身体を作りたいからな」


「なるほど、そういう事ね」


「クリスは今日も『槍術』の取得目指して木槍の素振りか?」


「そうそう。鋼の槍を買って実戦で使うまでは体に動きを慣らしておきたいからね」


 クリスは最近、『槍術』取得を目指して槍の稽古を頑張っているようだ。

 どうやら大きな盾を構えた状態だと、剣を振るうより槍で突く方が確実だと考えたらしい。


「ファルの方はどうだ? あのデカい弓には慣れてきたか?」


「いや、まだまだだな。 実戦で使うにはまだ練度が足りない」


「そうか。早く実戦で使ってるところを見たいから頑張ってくれ」


「おう」


 ファルは最近、普段使っている弓の2倍程もある大きさの弓を使って稽古をしている。

 聞いたところによると『長弓術』という武術系スキルを狙っているらしい。

 前にテッタさんの所で(やじり)の改造について相談していたみたいだが、どうやら弓の方でもパワーアップを図っていくようだ。


 ちなみに俺は、未だ『大剣術』の取得を目指して、身の丈程もあるデカい木剣で素振りを日々続けている。

 肌感覚ではそろそろ実戦でも大剣を使い始めて大丈夫な気もしてきているのだが、いかんせん大剣の値段が高くて購入に踏ん切りがつかないでいる状態だ・・・




 俺は朝食や準備などを済ませた後、ギルド前でオードリーと合流して、依頼をこなす為2人で南の川へと向かっている。

 今日は俺がオードリーの依頼に付き添う当番なので、ファルとクリスの2人は北の森へ訓練しに行ってるはずだ。


「オードリー、新しいスキルの手応えはどんな感じだ?」


「うーん、正直まだ実感は無いわね。 でもスキルレベルが低い内は仕方ないんじゃない?」


 オードリーはそう言うと、プレートを俺へ差し出してきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

氏名 [オードリー・ゴールド] 年齢 [16歳]


所属国 [ブランデン王国] 職業 [冒険者]


スキル

[氷魔法Lv.19] [魔法力Lv.17] [杖術Lv.7]

[視野Lv.13] [命中Lv.3] [回避Lv.1]

[製薬Lv.11] [解体Lv.8] [採取Lv.2]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・・このスキルレベルだと、確かにまだ実感は出来ないか」


「でしょ? でも『雷鳴』で活動するようになってから、成長が早くなってる気がするから気分は最高よ?」


 オードリーはそう言うと、魔女っ子マントをバサッと(ひるがえ)した。

 何かのキメポーズか・・・?


 俺が渡したスキルのメモからオードリーが選んで取得したのは、『命中』『回避』『採取』の3つだった。


 『命中』はファルも持っているスキルだし、『回避』も俺とクリスが持っているスキルだ。

 この2つのスキルは、魔法の命中率底上げと、敵に接近された時への対策で選んだスキルなんだと思われる。


 『採取』を選んだのは、どうやら『製薬』で使う植物を採取する為らしい。

 このスキルは植物の見極めや、採取の手際を向上させてくれる効果があるようだ。

 ちなみに、オードリーは休日にエマを誘って『採取』の取得に励んだようなので、実はエマもちゃっかり『採取』を取得している。


 俺は手に持っていたプレートをオードリーに返して、再び南の川へと歩き始めた。




 夕方頃、依頼をこなして家へ帰ってくると、リビングでファルとクリスが神妙な面持ちをしながら俺を出迎えた。


「なんだ? どうした・・・?」


「ごめんリンク・・・ ちょっと面倒な事になったかもしれない・・・」


 この感じ・・・ マジで何かあったみたいだな。

 いよいよ面倒事に巻き込まれたか・・・?


「クリスが謝る必要は無いだろ」


「う、うん・・・。説明を頼むよファル」


「・・・ファル、聞かせてくれ」


「わかった。まず俺達が北の森へ入ったところから説明する・・・・


 しばらくファルの説明を聞いていると、徐々に今日2人に起こった事がわかってきた。


 まず、ファルは2人が北の森へ入った時から、誰かに尾行されている事に気付いたらしい。 だが、直接何かをされた訳でも無かったので放っておいたようだ。


 しかし、2人がいつも通り狩りを終えてギルドへ戻ってくると、何故かギルド職員からギルド内の会議室へ呼び出されたのだと言う。


 会議室へ入ると、中にはエミリアさんと知らない冒険者達がいて、その冒険者達の内の1人が入ってきたファルとクリスを睨み付けながら急に怒鳴って来たらしい。


「おい! よくも俺達の手柄を盗みやがったな!!」


 ファルは言っている意味が全くわからなかったので、エミリアさんにどういう事なのかと聞いた。

 すると、エミリアさんはこう説明してくれたらしい。


「さっきこの子達がギルドへ訴えに来てね、この子達の言い分では、自分達が集めた魔物の素材をあなた達2人に盗まれたって事らしいんだけど、思い当たる節はある?」


 ファルは身に覚えが無さ過ぎて「いえ、全く」と答えるしかなかった。

 すると、さっき怒鳴ってきた奴が盗まれたという素材の数をいきなり述べ始めて、それを返せと再度怒鳴ってきたと言う。


 ファルはそいつの述べた素材の数が、正確に自分達の持っている素材の数を言い当てていた事に最初は驚いたみたいだが、すぐに尾行をしていた奴もグルだと気付いたようだ。

 だが、ファルにはそれを証明する為の手段が無かった。


 結果、ファルとクリスは相手の言い分を否定する事しか出来ず、話し合いが平行線を辿り続けたので、再度明日に話し合いの続きが行われる事となったらしい。

 この案を出したのはエミリアさんで、おそらくこれは、俺がいない所で話し合いを続けるのが得策じゃないと判断してくれたものだと思われる。


 ありがとう、エミリアさん・・・!


「・・・わかった。とりあえず明日の話し合いには俺も参加するから大丈夫だ」


「ごめんねリンク、僕じゃ上手く話をまとめる事が出来なかったよ・・・」


「いや、クリスは気にしなくていい、もちろんファルも。2人は悪くないんだから」


「あぁ、わかってる」


「うん・・・」


 ・・・・ファルは全然大丈夫そうだけど、クリスが責任を感じ過ぎてるな。

 別にそんな深く落ち込む程の深刻なトラブルでもないんだけど・・・

 元々これぐらいの揉め事は想定してたし。


「クリス!落ち込み過ぎだって! お前は顔が良いのに小心者過ぎるところがあるぞ!?」


「なっ・・・!? 」


「顔は良いのにな!!」


「褒めながら攻撃するなんて器用な事よく出来るね君は・・・!」


「俺は手先不器用だけど口は器用だからな! だから明日の話し合いは安心して俺に任せとけって!」


「・・・わかったよ!リーダーに任せる!」


「よし、それで良い」


 元々クリスが責任を背負い込む必要なんて全く無い。

 こういう面倒事を処理する為に、中身大人の俺がわざわざリーダーをやってるんだから。




 翌日。

 俺達『雷鳴』は4人揃ってギルドへ顔を出している。

 一応オードリーにも今朝合流した時に事情を説明をしておいたのだが、彼女は誰よりも今回の事件に憤っている・・・

 落ち着かせるのにめちゃくちゃ苦労した・・・


「待たせたわね。それじゃあ会議室まで行きましょうか」


「はい」


 俺達が依頼受付の前で待っていると、話し合いの準備が出来たのかエミリアさんが声を掛けてきた。


 俺達がエミリアさんの後ろについて会議室へ入ると、中には既に冒険者が数人と、2人のギルド職員が待っていた。


「ほーん、今日はお仲間もついてきたのか。人数が増えてもお前らがやった事は変わらないけどな!」


 俺達が会議室へ入るや否や、中にいた冒険者の1人が立ち上がって一言カマしてきた。


「はぁ・・・ わかりましたから座りましょうよ。立ち上がって大声を出したからって嘘の訴えが通る訳でも無いんですから」


「っ! はぁぁあ!?」


「あっ、一応自己紹介しておきますね。俺はDランクパーティ『雷鳴』のリーダーをやっているリンクと言います。どうぞよろしく」


 とりあえず、俺はジャブとして1発皮肉をカマし返すと、自己紹介を済ませて並べられている椅子の1つに腰を下ろした。


 さて、どんな話し合いになるのかな・・・?


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