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迷鳴雷雷 〜二度目の人生は冒険者〜  作者: 下町のケバブ
第二章 駆け出し冒険者編
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第36話『加入審査』


 新魔法の検証から数日が経った。

 今日はオードリーさんと一緒に狩りをする予定の日だ。

 彼女が加入しても、チームワークに支障が無いか見定めようと北の森まで来ている。


「ゴブリン程度じゃ連携出来るとこちゃんと見せれないじゃない・・・」


 森へ入ってから2回ゴブリンと接敵したが、あっさり狩れ過ぎてチームワークを見るとかのレベルでは無かった。


「確かにそうですね。それじゃあもうちょっと深くまで入ってオークでも狩りましょうか」


「その方が私的にはありがたいんだけど、オーク相手じゃ前衛が大変じゃない・・・?」


「ウチのクリスを舐めちゃダメですよ」


 そういえば『氷槍』の前衛ってオークを全然止められて無かったんだよな・・・

 でも、クリスは既にオーク1体ぐらいじゃ物足りない段階にまできてるから全然大丈夫だ。




 数十分後、ファルがオークの気配を感じ取ったようなので、俺達は気づかれない様にファルの示す方へと向かう。


「いた・・・ あそこだ」


「よし、こっちには気付いてないな。それじゃあ今回はオードリーさんもいるから、改めて役割について説明していくぞ。クリスはいつも通り盾役だ。敵を引き付けて俺達が攻撃する時間を作ってくれ」


「わかった」


「ファルもいつも通り遠距離から無音の矢で着実にダメージを与えていってくれ。それに周囲の警戒も任せる」


「おう」


「今回は俺がサポートに回るので、オードリーさんは最後のトドメを任せます。次の獲物の時は役を交代しますんで」


「わかったわ」


「よし、それじゃあ動こうか」


 クリスと俺が飛び出す準備を済ませると、いつも通りファルの先制不意打ちをきっかけに各々が一気に動き出す。


 俺はクリスの後ろに着いて木陰から飛び出した。

 前を駆けるクリスは、膝に矢を受けて混乱状態になっているオークへ盾を構えて突進をかます。

 流石にオークの巨体は吹き飛ばす事が出来なかったみたいだが、バランスを崩させる事には成功した。


 俺はクリスの後ろから飛び出して、オークの矢を受けてない方の膝へ短剣を突き刺す。

 そして、頭で鳴き叫ぶオークを無視して、隙だらけの体へ手を触れて魔法を放つ。


「スタンガン」 バチィッ!


 いつもより強めに放った魔法がオークの体を硬直させる。


「オードリーさん!いいですよ!」


「ええ!」


 俺の合図への返事が聞こえたのと同時に、オードリーさんがいる方向から1mぐらいある氷の塊が飛んできて、命中したオークの頭を陥没させて命を刈り取った。


「あれ・・・? 楽勝過ぎないか? チームワークを見る為だったから結構手加減したつもりだったのに・・・」


 独り言を呟いた俺の横で、クリスも苦笑いを浮かべている。


「本当に全く手応えが無かったね・・・ でもオードリーさんの魔法のタイミングは良かったんじゃない? 勝手な行動を取るような気配も無いし、僕は悪くないと思ったけど」


「確かにクリスの言う通り、魔法のタイミングはバッチリだったな」


 そんな事を話していると、ファルとオードリーさんも集まってきた。


「・・・・・オークってこんな簡単に狩れるものなの?」


 オードリーさんが倒れているオークの死体を眺めながら呟いた。


「俺達も最近は苦労せずに狩れるようになってきてますけど、今回のはあまりにも簡単過ぎましたね・・・」


「ってかさぁ・・・ よく考えたら僕達ってそろそろDランクになるんだよね? って事はオーク1体ってEランク冒険者がゴブリン1匹を相手するようなもんなんじゃないの?」


「おぉ・・・ 確かに!」


「そういえばそんな話してたわね。そもそもその早さでDランク昇格っていうのがおかしいんだけど・・・」


 そうか、たしかオードリーさんは俺達の1つ上だけどまだEランクだったな・・・


「そうなると俺達の適切な狩場はもっと森の深くになってくるって事だよな。いよいよDランクの魔物を複数相手にしていく段階になってきたか・・・?」


「それじゃあ今から狩場を変えるのかい?」


「あぁ、もうはぐれオークをちまちま狩る必要は無いって事だ。次からは群れを相手に狩っていく事にしよう」


「・・・ちょ、ちょっと!今日は私のお試しじゃないの!?」


「・・・えっ? あー、そうでしたね。でも俺達のパーティってこんな感じで急に予定が変わる事もよくあるんで、今のうちに慣れておいた方がいいですよ!」


「・・・・他の2人が全く動じて無いところを見ると、本当にこんな行き当たりばったりな事が多いのね」


「まぁリンクの近くにいたらそのうち慣れますよ・・・」


 おい、人を悪臭みたいに言うなクリス。


「そんな事はいいから早く解体済ませて次行くぞ!」




 次の獲物を探す事30分、いつもより森の深くまで入って来ているせいか、少し周囲が薄暗くなってきている。


「リンク、ここから50m程先にオークだ」


「何体いるかわかるか?」


「・・・・・多分3体だな」


「わかった。慎重に進もう」


 俺達はいつもより鬱蒼とした森の中を慎重に進んでいく。

 すると、木々の隙間から複数で行動しているオークの姿が見えてきた。


「・・・ファルの言った通り3体だな」


「どうする?」


「クリスは1体なら確実に抑えられるよな?」


「うん。大丈夫だと思う」


「なら他2体を仕留めるまで、確実に1体だけ足止めしてくれ」


「やってみるよ」


「俺も1体引き受けるから、ファルとオードリーさんは速攻で1体を仕留めて俺の援護に回ってくれ」


「わかった」


「・・・あなたは1人で大丈夫なの?」


「大丈夫ですよ。オーク1体ぐらいならなんとかなりますから」


「そう・・・ わかったわ」


「それじゃあいつも通りファルの不意打ちを合図にスタートだ」


「「「了解」」」




 俺達はそれぞれ配置に付くとファルの初撃を待つ。

 ファルが弓を構えるのが見えたので、俺も駆け出す姿勢に入った。


 そして、ファルの矢が放たれた瞬間、俺とクリスは一斉に駆け出す。


 駆け出しながらも、ファルの矢が1体の目に突き刺さったのが確認出来た。


「流石ファル」


 俺とクリスはそれぞれファルの矢を受けていないオークへ斬り掛かって、自分へと注意を引きつける。


 よし、釣れた!

 あとは援護が来るのを待つだけなんだけど・・・ 1人で仕留められるならその方がいいよな。


 俺が短剣を構えながら相手の動向を観察していると、オークは棍棒を振りかぶって俺へ殴りかかろうとしてくる。


 俺はそれを見た瞬間、即座にオークの胸元へ飛び込んで心臓に短剣を突き刺そうとする。


 しかし、オークは振りかぶっていた腕を片方だけ下ろして胸の前でガードしてきた。

 短剣はオークの腕を突き刺して止まってしまう。


 俺は短剣を引き抜くついでに、相手の体へ触れて魔法を放つ。


「スタンガン!」 バチッ!!


 棍棒を片手で振り上げたまま硬直してしまっているオークの隙を突いて、短剣で首を切り裂く。


 血が大量に噴き出してはいるが、オークの瞳の光は消えていない・・・

 オークは硬直が解けて、振り被ったままの棍棒を俺へ向かって振り下ろそうとしている。

 その瞬間、目の前にいるオークの右目に何処かから飛んできた矢が突き刺さった。


「ナイス!」


 俺は再び隙が出来たオークの首へ短剣を振り抜く。さっき付けた傷跡の上からより深くエグり斬った。

 大量の血液を噴き出させているオークは、瞳から光を失って音を立てながら倒れた。


 どうやら今度は確実に仕留めきれたようだ。


 他の戦況を確認すると、既に1体はファルとオードリーさんによって仕留められている。

 クリスが相手にしている最後の1体も、援護に入っている2人からの遠距離攻撃を受けて虫の息になっていた。


 俺も遠距離攻撃の合間を縫って戦いへ参加して、難無く最後の1体を仕留めきった。


「やっぱりオーク複数体でも全然いけるな!」


「そうだね。ここ数ヶ月でオークの動きとか癖を把握出来ているのも大きいと思うよ」


「本当にオーク3体を1度に倒せちゃうとは・・・」


「俺達も色々努力はしてきましたからね。それでどうでしたか?ウチのパーティ」


「そうね・・・ 前頼み込んだ時よりも加入したい気持ちが強くなったわ」


「おー、それなら良かった。こちらもオードリーさんが入っても全く問題無い事は確認出来たので、新しいパーティメンバーとして歓迎したいと思いました」


「それじゃあ・・・」


「ええ、『雷鳴』にどうぞ入ってください。これからはパーティメンバーとしてよろしくお願いしますねオードリーさん」


「本当に!? やった! こちらこそよろしく!」


 この時、オードリーさんは会ってから初めてだと思われる心からの笑顔を見せてくれた。


 ファルとクリスも、新しいパーティメンバーに歓迎の言葉を掛けている。


 一旦オードリーさんに落ち着いてもらってオークの解体を済ませた俺達は、クリスの『収納魔法』に素材が入りきらなかったので、残りを背負って1度街へ戻る事にした。

 ちなみに帰り道はファルの誘導で魔物がいないルートを通った。




 街でオークの素材を売って昼飯を食べた後は、夕方までオードリーさんと一緒に南の川で依頼をこなす事にした。


 夕食の時は、エマも飲み屋に呼び出してオードリーさんの歓迎会をする事になり、夜中まで飲めや歌えやと楽しい時間を過ごした。


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