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迷鳴雷雷 〜二度目の人生は冒険者〜  作者: 下町のケバブ
第一章 二度目の少年時代編
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閑話『ファルの日記』


 アーク歴3032年 10月22日


 今日はリンクの15歳の誕生日だった。

 晴れて成人になったリンクは、いつもよりテンションが高かったようだ。

 相当嬉しかったんだと思う。アイツは昔から冒険者になる事だけを考えて生きてきた様な奴だから。


 朝会った時なんか、家から出てくる瞬間から幸せそうな顔をしていた。

 いつもアイツが1人で笑顔でいる時は、良からぬ事を考えている事が多いので警戒しないといけないのだが、今日は本当に幸せだったようだった。


 ギルドに行くまでもいつもより口数が多かったし、ギルドに着いてエマやクリスと会った後も、顔や言葉には出さないがソワソワしていた。


 冒険者になれた事は本当にアイツにとって大きな事だったんだと思う。



 子供の頃リンクに誘われて剣の稽古を始めた時の事は、昔過ぎてあまり覚えてないけど、リンクの親父のバロンさんが格好良くて真似ばっかしてたのは覚えてる。


 正直子供の頃は、リンクをちゃんと認識出来てなかったように思う。

 バロンさんの子供で、ニコールさんの弟って感じで、1人の人間として見れてなかった。

 俺の隣で何かに一生懸命になってる奴ってだけだった。


 でも俺が祝福で望んでなかったスキルを与えられた時に、リンクは前向きな言葉をかけて励ましてくれた。

 あれはもしかしたらリンクの独り言だったのかもしれないが、俺にとっては目的を与えてくれる言葉だった。


 その時ぐらいから俺は、リンクを1人の人間として見れるようになった気がする。

 しっかりと向き合ってみると、アイツはとんでもないレベルで物事を考えてるような奴だった。

 横で何かに一生懸命なのは知っていたが、その全てが冒険者として生きていく事を見越しての行動だったのだ。

 純粋に凄い奴だなと思わされた。


 そして気付くと俺は、アイツの人生という流れに巻き込まれてしまっていた。

 俺もそれを拒まなかった。

 何故なら、それより面白そうな生き方が他に見つかる気がしなかったからだ。

 俺みたいな無口で無愛想な奴でも、アイツは拾い上げて面白い場所に連れて行ってくれると思えた。


 気付いたら俺やエマ以外に、リンクの人生に巻き込まれてる奴が増えていた。

 クリスは貴族家の人間だが、俺みたいな庶民と同じように巻き込まれてしまっていた。

 

 そして、そんな人を巻き込んで生きている様な奴が今日、成人になって野に放たれて自由を手に入れたのだ。

 巻き込まれている側の俺達も、気合いを入れないといつ振り落とされてもおかしくないだろう。


 俺はしっかりリンクの人生に食らいついていくつもりだ。

 絶対アイツだけに楽しい思いはさせない。



 こんな事を書いている内にまた明日は来る。

 多分アイツは明日になったらまた俺達の少し先を歩いてる。そんな奴なんだ。


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