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俺の召喚獣だけレベルアップする  作者: アッキ@瓶の蓋。
第1章『俺の召喚獣はレベルアップする/雪ん子の章』

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第22話 さすらいの幽鬼(2)

 ダンジョンの中で、2体の獣が戦い合っていた。


「ジャマモノ! コロス! コロスゥ!」

「ピィッ! ピピッ!」


 1体は、子供の癇癪(かんしゃく)のように巨大な腕を振るう、幽鬼タケシ・ハザマ。

 もう1体は、子供のような体躯ながら熟練の剣技を披露する、雪ん子。


 幽鬼が腕を振るう度に、雪ん子が剣を振るう。

 今度は雪ん子が氷の吹雪を放つと、幽鬼は口から怨霊の炎を放って応戦していた。

 

 互いに相手の行動に合わせて力を振るい、その間隔がどんどん短くなっていく。

 それと共に、2体の獣の身体がどんどん色濃くなっていく。


 幽鬼タケシ・ハザマは胸の結晶が色濃くなっていき、どんどん赤みがかっていく。

 そして雪ん子の服の裾の黒かった部分は、服の下半分くらいの所まで侵食していた。


「イイゾッ! イイゾッ! モット、コォォォイッッッ!」

「ピィ、ピピ! ピピピピピピピーーー!」


 戦いのみならず、喋り自体も、2体ともヒートアップする中、俺は2体の戦いに集中してばかりもいられない状況だった。




《キケケケッ!》

《グベヘヘヘッ!》

《アーハハハッ!》


「----くそっ! なんだ、このスケルトン達?!」


 幽鬼タケシ・ハザマと雪ん子の戦いを、観戦しつつ、隙があったら加勢しようと考えていたら、いきなり3体の青白い骨の身体をした、骸骨兵士(スケルトン)達が俺に攻めてきたのだ。



 ===== ===== =====

 【サイドキック・スケルトン】 レベル;Ⅰ

 スケルトンの一種で、主人となる魔物に付き従って戦う。死ぬ以前に主人となんらかの関係があったとされており、その強さは主人の強さによって変動する

 ===== ===== =====



 3体の青白い骨の身体のスケルトンは、それぞれ武器を持って俺に攻撃してきたのだ。

 短刀、弓、そして大楯と大剣の2つ持ち……。


「短刀は【盗賊】、弓は【弓使い】、大楯と大剣の2つ持ちは【重騎士】って所だろうか……」


 この3体のスケルトンは、市役所職員が説明していた件の冒険者3人の成れの果て、といったところだろうか。

 幽鬼の力によって、無理やり従わされて、俺に向かってきていると見た。


「ならば、こちらはっ……! 来い、軍団(レギオン)スケルトン!」


 俺が召喚したのは、ごくごく普通のスケルトン達……を、100体近く。

 軍団タイプで召喚したとはいえ、かなりの大人数で、ダンジョンフロアのほとんどを埋め尽くしており、もう3体の敵スケルトンの姿が見えなくなってしまっている。


 引きこもって4日の間、俺は魔力を溜め続けていた。

 最大魔力値ギリギリを狙って、送還用の召喚獣をちょっとずつ召喚するなどして、準備していたのだ。

 4日間、俺が召喚しておいた召喚獣を全て送還し、その分、溢れた魔力と全魔力を用い、このスケルトン軍団を召喚したのである。


「(そして----今の俺は、一味違うぜ)」


 俺は脇にしまっておいたドロップアイテムの武器----【木こりの地縛霊】を何回も倒した際に、小さな魔石と一緒にドロップして手に入れた、この武器を手にする。



 ===== ===== =====

 【優しい木こりの鞭】……使役している魔物や召喚獣に対し、効果を発揮する木製の鞭。職人が手作業でやすりを行ってくれた想いは、相手にもきっと伝わるだろう

 効果;使役している魔物や召喚獣に命令できる。命令を実行する際、使用者の戦闘能力の一部が加味される

 ===== ===== =====



 今まで俺は、言葉と言う形でしか召喚獣達に命令をくだせなかった。

 当然、それはただの言葉でしかなく、こんな大軍を思い通りに御する力はなく、俺は戦闘中は、召喚と送還以外は何も出来ない男であった。


 【召喚士】は、召喚というスキルで、対応する召喚獣を別次元の世界から呼び出す。

 【魔法使い】がスキルを使い、魔法などを放つのと、一緒のようなものだ。

 火炎の球を放つファイアーボールが敵を倒しても成長しないのと同じように、【召喚士】が出した召喚獣が敵を倒しても成長しない。


 まぁ、雪ん子はその枠組みから外れてるけど、本質は一緒だ。

 スキルで呼び出す別次元の存在、それが召喚獣。


 だから数を呼び出したところで、ファイアーボールの威力が上がらないのと同じように、俺が今、大量に呼び出したスケルトン達の戦闘力は一定だ。

 ただ無駄に、いっぱい呼び出しただけに過ぎない。

 

 ----今までは(・・・・)、な!


「(でも、今の俺にはこの【優しい木こりの鞭】がある)」


 これは、鞭で叩くことで、叩いた召喚獣達に命令できる。

 これによってこんなに大量のスケルトン達にも、いちいち大声で指示を出す必要がなくなった。

 それに、戦闘能力の一部が加味されるという、バフ効果もある。


「サイドキック・スケルトンとやら、感謝するぜ!

 この【優しい木こりの鞭】を手に入れた、俺の練習試合の相手としてな!」


 俺はそう言って、近くに居た10体のスケルトン達に鞭を叩きつける。


 すると、軍団全体----100体近くのスケルトン達全てに、攻撃力や素早さなどの補助効果がついたことが分かった。

 感覚として、そのことを理解した。


《キケッ?》

《ウン? グベッ?》

《…………》


「おぅ、この危険性をそちらさんも理解したと見えるな」


 軍団(レギオン)タイプの特徴は、召喚獣を1つのグループとして召喚する事。

 グループとして考えるため、1体でも破壊された場合、送還できなくなってしまうという欠点もある。

 だがしかし、その軍団タイプの特徴を、この【優しい木こりの鞭】と合わせると、面白いことが起こる。


 俺は今、スケルトン10体に鞭を叩きつけて補助効果付きの命令を与えたのだが、その効果が他の皆にも与えられたのだ。

 群れのうちの1体が麻痺の状態異常になると、群れの残りも同時に麻痺になってしまうのと、同じ効果だ。


「10体を鞭で叩いたように見えるが、システム的には俺は100体分を一気に叩いたのと同じ効果を、いま、行った」


 これが俺が生み出した戦術----軍団強化戦術だ。


「お前達3人は、俺の雪ん子と同じように特別なんだろう」


 普通は白い骨のスケルトンなのに、3体のサイドキック・スケルトン達は青い骨の身体。

 なにか特別な能力だったり、性質だったりがあるのだろう。


 しかし、俺には敵わない。


「----さぁ、蹂躙の時間だ」 

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活動報告に今作の作成秘話を書きました
よろしければ、ご覧ください

今作についての活動報告

サイドストーリー、外伝を制作しました。第2章も始めましたので、こちらもどうぞ
俺の着ぐるみが超有能である
― 新着の感想 ―
[一言] レベルアップといい、この鞭といい、あの木こりって召喚士だったんか? ダンジョンで戦うことを夢見てたけど、召喚士になってしまったから、諦めて木こりになった。 その後、金と銀の斧を手に入れたこと…
[一言] アプリのキャラはある程度の人数に周知されててイメージしやすいから召喚しやすそうでかつ強そうwwwww 雪ん子との成長を楽しむ話だとは最初から思いませんでしたけどねえ 召喚獣は道具だって再三…
[一言] 伏線...ゲームキャラでも召喚するんやろか。
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