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クローバー  作者: しゅる
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第一章《下民》

  第一章《毒の正体”1”》

 その後の俺は、精神崩壊しそうなぐらい心がズタズタになっていたと思う。そして、あれから一日たった今日。その医者が勤めている病院…俺の両親の死んだ場所で。

「……どうして、俺の両親はいきなり…元気だったのに死んでしまったのですか?」

 俺は、恐る恐るそう聞くと。

「とても強烈な毒でご両親は亡くなりました……どうして毒で死んでしまったのかは分かりませんが、とにかく、死因は毒であることが分かりました」

 医者の返答に、なぜ毒が……と疑問に思ったが、とりあえず両親の……両親が眠っている場所を聞いた。庶民は葬式を行えず、死んだ人はただ土に埋められ、名前の入った墓石を立てられるだけだ。 

……なぜ王族や貴族だけ……と俺は心の中でそんなことを呟いた。

 翌朝、両親の死から二日目……

俺は、急に両親が死んだことでまだ実感が湧かないのかあまり眠れなかった。そして、少し遅刻しながらも魔術学園に向かった。今日は王の娘が訪問に来るそうで、俺意外の生徒は全員遅刻せず学園に来ていた。そして王の娘、エルミアル=スナイはすでに俺のクラスの教室に訪れていた。

「それでは現国の授業を始めまぁ……遅刻だぞセレイ=ソード

!!」

 授業が始まると同時に、教室に入っていった俺に気付くと教師は怒鳴った。俺は、すみませんと一言謝罪し席につくといつも通りに授業を受け、最後の授業が終わる三十分前に俺の脳に異変が起こった。

 なんだ……頭に何かが響いてくる……魔法か?

 脳に誰かの声が受信されていく。

 俺は辺りを見渡すとエルミアル王女が静かに魔法を詠唱するのが見えた。 

「私は、エルミアル=スナイです。よろしくお願いします。」

 王女が自己紹介をしているが突然のことだったので少し戸惑っていると。

「私は授業に飽きてしまったので今あなたにテレパシーで喋りかけているのですが…少しお話しませんか?」

 俺からは話せないようで、なんとか答えようとしていると…

「つい二日前、城の研究者につくらせていたあるポーションが完成しまして、その日の昼にそのポーションの実験を行ったのですがそれがとても効果あって……」

 と、王女が楽しそうに話すなか俺はその話しを軽く流していると……

「ちなみに、そのポーションの実験は人に行ったのですが……なんのポーションだと思います?」

 俺は、知らねえよと思いながらも話しを聞いていたが次の一言で俺の手は止まった。

「それはですね、毒のポーションなんですよ‼」 

 ……は?……いや、まさか…そんなわけ……

と、俺は考え込んでいると……

「その毒のポーションの実験は、庶民の方…民間人の方に使ったのですが……どのような実験を行ったのか気になりますよね‼」

と、言ってきた、王女は興奮しながらも話そうとしている中、俺は、半信半疑…いや、3対7ぐらいの、半信半疑でこのエルミアルの話しを聞いた。

「では、お話しますね。まず、私は毒ポーションを試すために民間人たちの住むゴミのような町に行ったんですが……」

 今こいつ…なんつった……

「そこでお昼御飯の買い出しに来ていたのか、女と男がいたのですが…私は早く試してみたかったのでそこで《人払い》を使って私とその二人だけにして実験を行いました。すると効果は絶大でその二人は声も出せないほど苦しんでいましたね。とても面白くて、つい吹き出してしまいましたよ(笑)」

 こいつ……イカれてやがる……

「あ、そう言えばその二人の名前を一応確かめておいたのですが。確か二人は夫婦で……名前は……ソードさん、て、名前でしたね」

 ドン、ガタン‼

 俺は……こいつの話しを聞いて、激しい音を立て、立ち上がっていた。俺はこいつの話しを聞いて確信がついた。こいつが俺の両親を殺したヤツだ。俺は、何かの事故かなんかではないだろうかと毒のことについて考えていたが、そんなわけない。毒なんて町に発生する確率は低いだろうし、毒のポーションなんてこの町には売ってない。事故というには不自然過ぎる。こいつが、人を実験台……いや、モルモットとしか見ていないだろうが何の罪もない人を平気で殺し、しかも苦しんでいるところが面白いなどとぬかしやがった。とにかくこいつは許せねえ……

「おい、何をしている‼セレイ=ソード‼席につけ‼」

 そんな教師の言葉は無視し、いや、今の俺にはそんな声聞こえていなかった。

「……てめえが俺の親を殺したのか……」

 俺は、エルミアルに目掛けそう言うと、あいつは。

「え、何のことですか?」

 と、満面の笑みで言いやがった。

「ぶっ殺してやる……てめえなんかぶっ殺してやる」

 俺は叫びあいつに殴りかかろうとした……だが、周りの護衛たちに取り押さえられた。あいつは、そんな俺を見て俺にテレパシーで「貴方のような下民に私を殺せるはずがないでしょう」と言ってきた。俺は、怒りで興奮していたが、その言葉に黙れの「だ」の一言も出なかった。そして、俺は取り押さえられながらも。

「下民を舐めるなよ、王族」今世紀最大の叫び声を出していた。周りを見ると、学園に通う貴族たちが下民、あいつイカれてるな、親死んだんだ…まぁ下民の親なんてどうでもいいけど、と、言うヤツもいた。こいつらもか……俺の目は、こいつらも王族と同じだ、こいつらは敵だ。といっているような気がした。

 そして、当然の事のように俺は退学になった。まぁ、王族を殴ろうとしたとなっちゃ当然なのだろう。王族を殴ろうとしたのだ、牢獄に入れられるのかなと思ったがエルミアルが罰を与えなかった。俺はこれから、この国を変えてあいつらに復讐してやると密かに誓った。貴族と王族はロクなヤツがいない、と、俺の脳と心はその言葉を練習するまでもなく、自然に覚えたようだった。

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