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112話「レベル上げ」

俺達は湖へとやってくる。


ザバァアアッ


「おあわぁああ!」


ヴォルフが現れたリヴァイアに驚きの声を上げる。


「ハデスさん、有難うございます」

「礼はコイツに言ってくれ」

「初めましてではありませんが、ヴォルフさん。私はリヴァイアと言います」

「お、俺様はこんな奴知らないぞ」

「私の分体であるマーメイドクイーンのリリの本体です」

「あのリリの嬢ちゃんが!?」

「その宝石は人魚の涙と呼ばれていますが、本来は私の魔核の一部なのです。それを返して頂きたいのです」

「こんな石がねぇ・・・たまたま拾ったんだけどなぁ」

「リヴァイア、この石を返したらまた起こるのか?」

「はい、これで最後の地殻変動です」

「おい、どういうこったよ?」


俺は手短に説明を済ませる。


「マジかよ・・・分かった、返すわぁ」


ヴォルフは人魚の涙をリヴァイアに投げる。


バクッ


リヴァイアは人魚の涙を飲み込み地殻変動が起こった。


魔帝領に居た俺、ヴォルフ、グラトニーの3人が空中へと昇っていく。


再び閃光が西の魔大陸を包み込みヴォルフ領も統合されて領土が拡大された。


「ありゃ、俺様のリスポーン地点じゃねぇか」


湖の北側にヴォルフのリスポーン地点である赤レンガ調の家が建っていた。


「ちなみに俺のはアレだ」


魔帝の近くにある墓地を指さす。


「げっ、墓地なのかよ。ひでぇな」

「スケルトンキングだからな」

「死体は墓地にって事かよ。グラトニーは何処なんだぁ?」

「僕のリスポーン地点は無いスラよ」

「無いだぁ?」

「僕の支配領域は無いスラからね」

「・・・あの話か」


ヴォルフは既に知っている様子だ。


「リヴァイア、残りの一つの行方は分かるのか?」

「聖大陸の遠くの方角までとしか」


まだ聖大陸にあるのか・・・


「そもそもリヴァイアさんの魔核が揃ったら何か願い事でも叶えてくれるスラか?」

「いえ? 私の本来の力が戻るだけです。近々起こるであろう襲撃に備えています。ですが、この体となってしまった以上迂闊に湖の外に出る訳にはいきませんからね」


体長100mのリヴァイアが湖の外に出て動き回られたら色々困るだろう。


「じゃぁ、俺様が探してきてやるぜぇ」

「聖大陸だけしか分かっていないんだぞ?」

「そんなん虱潰しに探すしかないだろぉ?」

「では、この子をお連れ下さい」


パァアッ


マーメイドクイーンだった頃の上半身のままで人間の姿となったリヴァイアが湖から現れた。


「この子の人格はリリの時の同じです」

「ヴォルフさん、お久振りですね」

「お、おぅ!」

「私、リリがお供いたします。本体であるリヴァイア程の力は出ませんが其処らのモンスターより強いのでご安心を」

「わ、わかってらぁ」


『リリ(Lv71)』


なんならヴォルフより強いな。


「聖大陸に行くにはレベル60には最低なってもらわないとな」

「なんでだよ?」

「そんな恰好で行ったら聖大陸プレイヤーに攻撃対象になるぞ」


ヴォルフのレベルはワイバーンを倒せる力を持っていても人化する術を持っていない。


「これ以上レベルが上がらねぇんだよ」

「まずは東の魔都に行け。そこでレベル55まであげてからドラゴンズアイランドでドラゴンと戦ってもらう」

「ドラゴンだと!?」

「通りでドラゴンと戦えなかったスラね! 僕も一緒に行っていいスラか?」

「あ、あぁ」


魔大陸ではドラゴンと戦うような出来事は今の所見つかっていない。


恐らく古竜たちの監視が行き届いているのだろう。


「よぅし、分かったぜぇ。まずはレベル上げからだな。魔都には送ってくれるのかぁ?」

「あぁ。ゲート」


ブォンッ


「此処に入れば」


フッ


行ってしまった・・・


「私も行ってまいります」

「はい。お気をつけて」


リヴァイアとリリが挨拶を交わしてゲートへと潜る。


「では、私はこれにて」

「あぁ」


ザバァッ


リヴァイアが湖に帰っていく。


俺達も魔都へと移動する。


「うぉおお! こいつぁスゲェぜ。魔帝よりも立派じゃねぇか」


最近できたばかりの魔帝と比べられてもな。


「で、俺様は何処で修業すればいいんだぁ?」

「55までなら僕が案内するスラよ」


フェンリルが居るような場所が好ましいな。


魔都の東側にある荒野にはスコーピオンという凶悪なモンスターが跋扈していた。


固い外皮に守れていて防御力も高い蠍だ。


「毒には気をつければ勝てるスラよ」

「当たらなければどうって事ねぇよ!」


フッ


ワーウルフナイトの特性は駿足を生かしたヒットアンドアウェイ戦法の様だ。


「おらおらおら! ノロマぁ」


足をセカセカと動かして方向転換をしている最中にヴォルフの姿がかき消えて背後から襲い掛かっている。


メイン職業は拳闘士らしく爪付きナックルで攻撃している。


ブチィッ


ギピィイイイイ


爪での連撃で蠍の尻尾が千切れて痛がる。


「五月雨突き!!」


ドドォンッ


レベル53のスコーピオンを倒していくヴォルフはあっという間にレベル55になった。


「2人とも弱点属性は闇か?」

「違うスラよ?」

「火だぜぇ」

「なら、問題ない。黒のベール。ゲート」


ブワッ


俺の体が黒のベールに包み込まれる。


「行くぞ」


フッ


ゲートを通じてドラゴンズアイランドへと移動する。


「うっ、眩しいぜぇ」

「さっきまでとは全然違うスラね」

「ここは聖大陸の領域に近い場所だからな。こっちだ」


以前の決闘場へと足を運ぶとドラゴン達が待っていた。


「俺は参戦した方がいいか?」

「いんや、まずは俺達だけでやろうぜぇ」

「分かったスラよ!」


まずはグラトニーとヴォルフの2人だけで戦ってみるようだ。


・・・


「だぁああ!」

「ハデスさん、入ってスラ!!」


1頭目、2頭目のドラゴンを何とか倒したが3頭目から集中力が切れてしまってダメージを貰いすぎていた。


ピピピッ


≪ヴォルフのパーティーに入りました。レベル差が発生しますが宜しいですか?≫


「平均化を発動しろ」


≪平均レベル57となり、パーティーに入りました≫


平均化・・・レベルの高いプレイヤーが低いプレイヤーのパーティーに入るときに使うシステム。

      パーティーの平均レベルは自分の人数分は除かれた形でレベルを下げる。

      スキルとかは現在のままだがステータスが大幅に下がる。


「顕現:スケルトンロイヤルナイト、スケルトンロイヤルガード、ウィッチ」


更に前衛と後衛職を3人分追加する。


「半分以上は貰うが勘弁してくれよ」

「とりあえずは安定した戦いだぜぃ!」

「その後考えるスラね!」


6人パーティとなって俺達は3頭目へと向き合う。


・・・


「神速拳!」


パパンッ


音を置き去りにする拳がドラゴンの左頬に数回ヒットする。


「硬質槍の雨スラ!」


以前、メタルスライムが行っていた技をドラゴンに放つ。


ヴォルフもグラトニーも自分の特性を生かした戦い方をしている様だ。


伊達にソロで活動していたプレイヤーという訳ではないな。


グォオオオッ


ドスゥンッ


ファイアドラゴンが断末魔をあげて地に倒れる。


「殆ど俺の出番は無かったな」

「いや、タンクが居なきゃ、あぁはならなかったぜぇ」

「安心して戦えたスラよ」


ドラゴンのブレスも防ぐドラゴンボーンタワーシールドを持つロイヤルガードが居たことに感謝する2人。


戦うに連れて2人の連携力も増していき、ギクシャクするような場面も無くなっていた。


その分、ロイヤルナイトとリッチはしまって4人分の戦力で倒し切っていた。


「物理攻撃無効が強いよなぁ!」

「そういう神速脚で避けてるスラね」


そう、この2人の力は強い・・・速さで攻撃に当たらないヴォルフ、スライム体を生かした物理攻撃無効がドラゴンを圧倒している。


いいコンビになりそうだな。


「おっ、レベルが60になったぜ・・・なるほど人化か」


ヴォルフがスキル取得の動きを見せる。


パァアア


ヴォルフが光に包み込まれて変化し始める。


「これが人化ってやつか」


茶色の髪の毛を襟足まで伸ばして、釣り目気味の黒い目、八重歯がチョコンと飛び出している。


上半身は裸で鍛え抜かれた胸筋や腹筋が見えている。下半身には狼の毛皮で出来たズボンを履き、腰には上着の袖の部分を巻いて縛っている。


「背も縮まっちまったかぁ」

「人化」


俺も聖大陸へ入るために人化する。


「で、これからどうするんだ?」

「位置まではハッキリしていませんが、聖大陸の南西に気配を感じますね」


今まで黙ってみていたリリが口を開く。


「聖大陸プレイヤーがいる国の中なのか?」

「そこまでは分かりません」

「とりあえず、聖大陸に向かうスラ」

「一つよる場所がある」

「何処スラ?」

「魔大陸と聖大陸では言語が全然違う。俺達が日本語だと思って話しているが魔族共通言語なだけだ・・聖大陸には人族共通言語だ」

「かぁ! っんで、運営は2つの言語を用意するかねぇ」

「聞いたことがないスラよ」

「そこも含めてリアルに近づけたんだろう・・・俺達の世界ですら数十という言語があるんだからな」

「分かったぜぇ。まずは其処を何とかするんだろぅ?」

「そういう事だ」


ドラゴンズアイランドのフレイヤに挨拶をして俺達は七の街へと移動する。

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