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110話「7人目」

「北の大陸?」

「はい」


湖の主であるリヴァイアからそんな言葉を聞いた。


「この魔大陸より北に位置する大陸に私の魔核が眠っている気配を感じました」


不完全とはいえリヴァイアには自身の魔核を探し出す能力があるようだ。


ヤングドラゴンやイヴも北の大地という言葉を使っていたな。


≪エクストラクエスト:魔核探索が受注できます≫


「どうか、残りの2つを探し出してきて貰えませんか?」

「それは構わないが、北の大地の情報が欲しい」

「北の大地とは別名氷の大地と呼ばれております。常時極寒の地域となっており植物はおろか動物も住み着かない死の領域です」


極寒か・・・生物である以上はアイツ等も厳しい環境ではあるな。


「その場所には何かあるのか?」

「太古の昔から私達の想像を超えた敵がおります」


新たなフラグか?


「その敵は定期的に南に向かって進んでくるのです・・・以前の戦いは500年前でしたね」


500年前? 


どこかで聞いたことのあるな・・・


「その時、現魔王の父君が亡くなりました」

「ダークネスドラゴンが言っていた事か」


数か月も前に聞いた話がここで繋がってくるのかよ。


「元々、魔大陸は東の魔王と西の魔蛇である私が二分して統一していました。中央には古竜一族が境界線を担ってくれています」

「つまり魔王、魔蛇、古竜は魔大陸の頂点に君臨しているという事か?」

「おおむねそうですね。今はパワーバランスが崩れていますが」

「500年前に北からの侵略者によって前魔王が亡くなったんだな?」

「はい。以降は前魔王の娘であるイヴ様が君臨しているようですね」

「あぁ」

「その100年後、私を魔王と勘違いした勇者達によって討たれマーメイドクイーンとして生きながらえる事となりました」


つまりこの500年は魔大陸のパワーバランスが崩れに崩れていたわけか。


「よく古竜達が魔大陸を統一しようとしなかったな」

「古竜達はプライドが高いのですよ。いつまでも自分たちが最強の種族だと思っているみたいですからね」


これは俺一人の方が早いか?


「少し考えさせてくれ」

「お待ちしております」


俺は一度、魔帝へと戻り考える事にした。


コンコンッ


「ハデス、客人が来たぞ」

「通してくれ」


考えている途中に客人が来たようだ。


ペタッ


現れたのは背丈は150㎝くらいの小柄な体格、少し青っぽい肌をしている整った顔立ちに蒼い眼。


銀髪のサラサラとしたロングヘアーで白いワンピースを身に纏っている少女だった。


「お久しぶりスラ」

「その声、グラトニーか?」

「そうスラよ?」

「どうしたんだ?」

「僕も人化が出来るようになってハデスさんに会いに来たスラよ」

「そうか」

「何か考え事スラか?」

「あぁ、次の目的地についてでな」

「僕にも話すスラよ」


俺は魔核の件について手短に話す。


「僕もついていくスラ」

「極寒だという話だぞ」

「僕をそこら辺のスライムと一緒にしないで欲しいスラ。ミスリル化!」


キンッ


グラトニーが銀色に輝いた人型になった。


「僕の能力である吸喰は吸収した物の特性を体に反映する事が出来るスラ。つまり無機質にもなれるスラよ」

「つまり、極寒の地は問題ないという事か?」

「そういう事スラね」

「行くか」


俺とグラトニーだけで行く事となった。


ヒュォオオッ


話の通り氷に覆われた大地へと俺達はやってきた。


「あれは?」


吹雪いている中でチラチラと何者かが歩いている姿が見えた。


※ハデス達には会話が聞き取れていません。


『見当たらないな?』

『ベータテスター用のフィールドと聞いていたが・・・惑星内の様だが』

『それにしても、何もないな』

『あぁ』

『通信が来た・・・あぁ、分かった。そっちに行く』

『モンスターとの交戦中か。俺達も行くぞ』


ゴォオッ


「世界観がズレているぞ?」


現れたのは全身鎧を着込んだ2人組だった。


手には銃らしき物も持っている。


背中から何かが吹き出して重いはずの鎧が空中に浮き上がり移動していった。


リヴァイアが言っていた脅威というのはアイツ等の事か・・・


「今の、どう見る?」

「何時からファンタジーMMOからSFモノになったスラか?」

「違和感しかないんだが」


俺達も2人組が向かった先へスケルトンホースに乗って行く。


パカラパカラッ


「ん?」


ピュンピュンッ


緑色の光線が幾本も見え始めた。


ドッ


スケルトンホースを返還して身をかがめて進む。


「顕現:ウィスプ」


ボワッ


ウィスプを召喚し透明化、視覚・聴覚共有化させて先行させる。


スゥウウウ


徐々に前方の様子が見え始める。


ドシドシドシドシッ


『そっちに行ったぞ!』

『なんてスピードだ』

『俺達の連携を物ともしないだと』

『偏差射撃もかよ』

『グレネード!』


ドォオンッ


5人の全身鎧を着込んだ連中がレーザーらしき物を乱射し、爆発力の高いアイテムを投げて何かと戦っていた。


フッ


『当たるかよw ノロマぁ』


残像と共に現れたのは3mには届きそうな体躯、全身が茶色の毛に覆われている、二足歩行だが足元は狼の様だ。


狼のような頭部を持ち、鋭い眼光が5人組を睨みつけている。口元からは犬歯が除き、長い舌を出している。


5人組の言葉は分からないがワーウルフの言葉は聞き取れた。


【ブラチライトの機械人(Lv15)】

【ワーウルフナイト(Lv51)】


レベル差がかなり開いている筈だが・・・光線銃や鎧のお陰で戦力が底上げされているのか?


『おい、そこの奴隠れてないで出てきな』


ドキッ


俺達と彼らの間には何もないが距離がそれなりに離れている。


『俺ぁ、鼻が効くんだぜ。この匂いはアンデット特有の奴だなぁ』


『おい、アイツ何処を向いているんだ?』

『そんな事は良いから撃て!』

『今がチャンスだ!!』

『待て、誰かが来たぞ』

『なんだ、アレは!?』


ザッ


俺達が姿を現すと両者が目を向ける。


『俺様ぁ、アンタの事を知ってるぜぇ。聖大陸での戦争で一番目立った奴だぁ。つまり、魔大陸プレイヤーで間違いないなぁ?』

「あぁ、お前は最後の一人という事で良いのか?」

『あぁ。俺様こそが7人目の魔大陸プレイヤーであるヴォルフ様だぁ』

「俺はハデス。手伝おうか?」

「正直助かるぜぇ」

「僕はグラトニースラよ」

「パーティー申請を出しておこう」


≪ヴォルフがパーティーに加わりました≫


「こいつ等の目的はコイツだぁ」


取り出したのは人魚の涙だった。


「そうか、尚更手伝うしかなさそうだ」


俺達の目的は人魚の涙を探す事だ・・・それが目の前にあって奪おうとしている連中が居たのだからな。


俺達とヴォルフが共闘の姿勢を見せると機械人の5人組が銃を構える。


『撃てぇえ!』

「遅せぇよぉ!」


ブンッ


ヴォルフの姿が一瞬でかき消える。


「シャドウワープ」


フッ


俺も一瞬にして5人組の背後に出現する。


『消えた!?』

『隊長後ろ』

『ガハッ!』


俺の一撃をモロに食らった機械人の1人が吹き飛ぶ。


レベル差60のダメージは何処まで入るか・・・


ビュンッ


緑色の光線が鎧を溶かして貫通する。


痛みも無いがダメージ量が目に見えて大きい。


「早くて見えん」


『デカい的だ』

『撃て撃て!!』


ピュンピュンッ


盾で防ごうにも光線を防ぐに至らない。


「ごちゃごちゃ、ウルセぇ!」


ドゴッ


コッチを向いている4人組の背後に一瞬だけ姿を現したヴォルフが2人の頭をワシ掴んで氷の大地に叩きつけた。


「フッ」


注意が後ろに向いた所で俺も足払いをする。


ガクンッ


膝裏の関節部分に足払いが入り、体勢が崩れる。


「ダークフレアアロー!」


ボッ


「駄目か」


俺の魔法ではブラチライトの鎧に通用しなかった。


「ププッ、ダッせぇの」


背後からヴォルフの笑い声が通り過ぎていった。


『この骸骨を先に』

『うぉおお!』


銃を構えて俺を集中的に攻撃してくる。


ジュォオオ


「くっ」


何発も被弾して体力が大幅に削られる。


「やっぱ銃相手だとキチィわ」

「光線銃だしな」


俺達の攻撃でダウンしかけていた3人が起き上がってきた。


もう回復したのか。


「あの鎧が強力過ぎんだよなぁ」

「あぁ」


武器と鎧で俺達と対等に渡りあえている・・・たった5人だけでだ。


「どうするよ、旦那ぁ」

「旦那?」

「俺様はあの中で一番リーダーなのはアンタだって思ってるんだぜぃ。だから旦那って呼ばせて貰うぜ」

「戦力がな」


幾ら前衛と後衛に分かれても、根本的に戦い方が違いすぎる相手だ・・・


『撃てぇえ!』


ビュンビュンビュンッ


無数の光線が俺達に放たれる。


「吸喰!」


ブワッ


グラトニーが俺達の前に飛び出て光線を食らう。


文字通り食らった。


「ケプッ! メロンソーダの味スラね」

「今のはなんだ?」

「僕の特性スラ、なんでも食べるすらよ」

「早く言ってくれよ」

「2人が楽しそうにしてたスラね。それより倒していいスラか?」

「頼む」

「スゲェな」

「じゃぁ、遠慮なく頂くスラね」


ペタペタペタッ


ドロォッ


グラトニーがゆっくりと5人組へ近づいていく、途中で体をスライム体へと変化させる。


『く、くるなぁ!』


ビュンビュンビュンッ


レーザーがグラトニーの体に吸い込まれていく。


「サイズ変更:5mスラ」


ブワッ


5人組を覆いかぶさるように空中へ跳ぶ。


モガモゴモゴッ


5人組はグラトニーの下敷きとなって藻掻く。


「吸喰!」


ジュォオオオオ


グラトニーの下から煙が出て溶かされているのだと感じる。


「くっせぇ」


鼻が効くヴォルフが鼻を押さえる。


「勝ったスラよ」

「グラトニーは強いな」

「タダのスライムじゃないスラからね」

「助かったぜぇ」

「あぁ、帰るか。顕現:スケルトンドラゴン」


ブワッ


スケルトンドラゴンを呼び出して飛び乗る。


「しっかり、掴まれ」

「おうよ!」


バサッバサッ


羽ばたき、上空へと急上昇する。


「ハッハー!」


後ろでヴォルフが興奮気味で叫んでる。


「そういえば、最近BEG会社が新しいVRMMOのゲームのβテストを開始しているみたいスラ」

「なんの話だ?」


脈絡もない話が出てきて不思議に思う。


「そのゲームのカテゴリがFPSファーストパーソン・シュータースラよ。ゲームに出てくる最初期アバターがアレにそっくりスラ」


と言う事はあの連中がそうなのか?


今はよく分からないが話が進めば分かるだろう。


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