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109話「地殻変動」

「これは人魚の秘宝ではないですか?」

「偶々、手に入ったから聞きに来たんだ」

「ありがとうございます」


マーメイドクイーンに秘宝人魚の涙を戻しにきた。


「これで元の姿に戻れます」


ん?


元の姿?


カチッ


マーメイドクイーンの横に立っていた杖の先に秘宝を嵌めた。


グワッ


突然、視界がズレた。


スケルトンキングの後ろ姿が見えて、どんどん後ろへと引き込まれていく。


空へ無理やり引き上げられている感覚になった。


「なんなんっすか!」

「これは一体!」

「どんどん遠ざかっているわ」

「何が起こっているのでしょう」


他の4人も半透明状態で何かの力に引っ張られ魔大陸を見渡せる位置へと浮かび上がっていた。


カッ


魔大陸の西側で5つの光点が浮かび上がった。


その位置は俺達の支配領域だ。


ズズズズッ


5つの光点が中心部へと集まる様に収束されていく。


パアァアアア


中心部に集まった5つの光点が光り輝き大陸の半分を飲み込んでいく。


ブワッ


「これは!?」

「凄いっす!」

「私達の地域が集まったのかしら?」

「まさか、こんなギミックがあるなんて」


中心部には巨大な湖が出来上がり、湖畔に俺の配下達が作り出した首都が移動していた。


更には土地がかなりの範囲で広がっていた。


「5人が支配していた領域を全て合わせたのでしょうか・・・あの砂漠地帯の城は私のリスポーン地点です」

「あの古城は私のリスポーン地点よ」

「ウチのリスポーン地点はあの屋敷っすよ」

「俺のリスポーン地点はあの砦だ」


4人のリスポーン地点は湖に沿うように置かれていた。


「俺のリスポーン地点は・・・・あそこか」


首都の近くに墓場が置かれていた。


「一体なんでこうなったのかしら?」

「人魚の秘宝をマーメイドクイーンに渡したらこうなったんだ。元の姿に戻れると言っていたが」


バシャァアアアアン


巨大な湖で30m程の水柱が発生した。


ゴゴゴゴゴッ


【リヴァイア(Lv80)】


シードラゴンに酷似したモンスターが現れる。


顔はドラゴンの様で、体は蛇のように細長く背ヒレが尻尾の方まで続いている。


フワッ


再び下降を始める俺達。


いつの間にか俺達のアバターである5人が湖の近くに立っていた。


そこへ各自が入っていく。


おそらく霊体という設定だったのだろう。


『ありがとうございます。人魚の秘宝である涙を5つ集めて貰い無事本来の姿に戻る事ができました』


全長100mはありそうな巨大なモンスターが女性的な声で礼を言ってくる。


『私の本来の名前はリヴァイアと言います。マーメイドクイーンの姿は魔核を7つに砕かれた為に体を7つに分けて縮まっていた姿です』


7つ? と言う事はあと2つあるという事か?


「残念ながら残り2つの内1つは回収できても分体は戻ってきません」


恐らくグラトニーの支配地域の事を言っているな。


「ここは元々~」


リヴァイアが長々と昔話を語り始めた。


要約すると昔は大きな湖に住んでいたリヴァイアと人魚の一族達。


遥か昔にやってきた勇者たちとの闘いに敗れさりリヴァイアは体内にある魔核を7つに破壊されマーメイドクイーンの姿を取らなければ生きていけなくなった。


その際、魔核は世界中に散らばり6つは聖大陸の人間たちに持ち去られていたようだ。


力を失う前に地殻変動を起こして7つの領域を作りだしたそうだ。


力を失ったリヴァイアは生きながらえる為に7人のマーメイドクイーンに分裂した。


「もう、神様ね」

「そうっすね」

「スケールの規模が違うのであるな」

「ですね」

「そうだな」


大陸の地図を変えてしまう力を持つリヴァイアは凄まじい力を持っている事となる。


「本来の力は出せませんが、この姿に戻れ感謝しています。皆さんにはコレを授けましょう」


パアァア


リヴァイアから5つの光に包まれた何かが下りてきた。


「これは」


【リヴァイアさんの杖】

 攻撃力:650

 耐久力:400

 素材①:リヴァイアさんの鱗×250

 素材②:リヴァイアさんの棘×2

・水属性魔法に+50%


各々に適性の武器を送られたみたいだ。


「体の一部を使った武器です。お役に立てるかは分かりませんが」

「大事に使わせていただくわ」

「ありがとうっす」

「感謝する」

「有難く使わせてもらいますね」

「大事にする」

「私はいつでも湖に居ます。用事があればいつでもどうぞ」


ザバァッ


リヴァイアは湖へと身を沈めていった。


≪エクストラクエスト:地殻変動が完了しました。SPが4増えます≫


「とりあえず首都に行ってみるか」


空から見た限りでは首都の大きさが5倍以上大きくなっている感じだった。


「これがハデスの首都なのね」

「前来た時より立派ではないか?」

「魔都や王都みたいに立派っすね」

「この壁は石ですかね?」


首都に近づいてみるが様相が一変していた。


主に木造で出来ていた首都だったが石や岩を積み重ねた巨大な壁で覆われている。


門へと近づくと門番達が俺達の存在に気が付いて膝をついた。


『お待ちしておりました!』

『五天侯爵の皆様方、最奥の城へお越しください』


門番に促されて湖に一番近い石造りの城へと案内される。


「あの門番ウチの所に居た魔族っすよ?」

「チラホラ配下達が歩いているのである」

「サキュバスまで居るわね」

「ナーガ族もですね」

「どうなっているんだ?」


俺が配下にしてこなかった種族の魔族達もいるという事になる。


城に到着して道なりに進んでいく。


ギィイイ


魔王城でも見たことのある巨大な扉、謁見の間だった。


紅い絨毯が真っすぐに敷かれて数段高い場所に5つの椅子が置かれている。


左右には俺の幹部達が立ち並んで待っていた。


それどころかラースの所の幹部たちも居た。


ピンッ


椅子には誰が何処に座るのか指定されていた。


座れという事だろうか?


ギッ


俺は中央の大きな椅子に座り左右にラース、ラスト、スロウス、グリードが体に見合ったサイズの椅子に座る。


「リンドール、説明をしてもらってもいいか?」

「あぁ。リヴァイア様からは既に話を聞き及んでいると思うが」


昔話には続きがあったようで、もともと一つの地域に住んでいた各種の種族達も地殻変動の影響でバラバラに住むことになったようだ。


各地にバラけてしまった種族達は種の存続を後世に残す為に纏まって行動を始めるしかなかったと言う。


昔はもっと種類が多かったが急激に変動した土地に適用できなかった種族が死に絶えて行ったという。


だから各地域ごとで同じ種族が共通して関わってくるのか・・・サキュバスやナーガ族は偶々地形にあった場所だったようだ。


「じゃぁ、ヴァンパイア族も昔は居たって事っすか?」

「伝承では居たみたいだが、環境の変化に耐えられず去っていく種族も少なくなかったようである」

「そうっすか」


ヴァンパイアは魔都ではチラホラといたが全体的に数が少ないと思っていた。


「今回の地殻変動で昔の状況に戻ったという事で良いのか?」

「あぁ。生き残った種族は少ないが、おおむねは」

「この玉座は?」

「五天侯爵の座る席だ。ワシら幹部達で作ったのだ」

「では俺達がこの地域の支配者として君臨するのか?」

「あぁ。我々ダークエルフやケンタウロスが文官となり、武官としてオーク、オーガ、トロルとなる。他の皆にも細分化して魔帝を守ろう」

「魔帝?」

「リヴァイア様から遥か昔は魔帝と呼ばれたこの地域名称をこの都市名にあやかったものだ」

「東の魔都に西の魔帝か・・・悪くないのである。俺は変わらず将軍のままで行くか」

「これで晴れて女王の座は私の物ね」

「卿の座は誰も奪わせないっすよ」

「副王は私が勤めましょうか。ね、キングさん」

「俺が王なのか?」

「その位置はどう見てもそうでしょう」

「・・・分かった。今日をもって新たな都"魔帝"が誕生した事を宣言する」


ォオオオオオオ!


「今夜は宴だな」


5人が支配していた種族達が一箇所に集まって新首都である魔帝の誕生を祝う。

最終章突入します。

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