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106話「宴」

「今はその様になっておったか・・・ご苦労じゃったな」


俺達は魔大陸へ戻り魔王イヴへ聖大陸の情報を報告していた。


≪グランドクエスト、魔王の依頼(5/5)をクリアしました。SPが4増えます≫

≪経験値:8,820,000取得。プレイヤーレベルがカンストしているため、メイン職業へ割り振ります≫

≪死霊術師のレベルが73になりました≫


「見事、聖大陸の情報を持ち帰ったのぉ。褒美として五天辺境伯の五名には陞爵とし侯爵を与える」

「「「「「有難き幸せ」」」」」

「今宵、新たな五天侯爵が魔大陸にて生まれた事を此処に宣言するのじゃ」


≪プレイヤー:ハデスの持つ称号の五天辺境伯は五天侯爵に変化しました。効果は領民への潜在能力が+85%増加されます≫


五天侯爵・・・魔王に認められし者に与えられる称号。魔王への発言権を持ち、魔都に屋敷を建てる事が可能となる。

       効果は領民への潜在能力が+85%増加され、配下を1000引き連れていける。

       ※ただし5種族までしか参加出来ない。


「長い旅であったな。今宵はこの城にて宴を開催する」


バッ


イヴが宣言すると周囲の魔族達が動き出した。


1時間ほどの準備時間があるという事で魔都をみてまわり時間を潰す。


魔族も人間と変わらず同程度の文化・文明を持っているようだな。


「乾杯じゃ!」


魔王の乾杯に出席者全員がグラスを掲げて宴は始まった。


魔族特有の料理が沢山並べており・・・正直食べられる種類は多くは無かった。


旨いんだろうけど中身人間だからな。動物の脳みそは遠慮しておこう・・・


それは他のメンバーも同じような感じだった。


地位のある魔族達が交代して軽く挨拶をしてくる。


恐らく貴族社会だった頃もこんな感じだったのだろう。


『御仁とは仲良くなれそうだ』

「うむ」


魔王の近くにいた軍団長とラースが握手を交わしていた。


おそらく、戦い方について語り合ったのだろう。


『どうしてその様にお美しいのですか?』

「うふふっ、それは常に人に見られているという意識が大切なのよ」


こっちは美について魔族令嬢たちと話しているラスト。


『カッケー!』

「アハハッ! ウチは最強のヴァンパイアロードっすからね!!」


体の下半分を蝙蝠に変えて、魔族の子供たちと戯れるスロウスだ。


『ほぅほぅ、それで』

「であるからしてですね。コレを・・・」


小さなメガネを掛けた理知的な魔族と語りあうグリード。


なんだかんだで皆は宴を楽しんでいる様だ。


俺はボッチだがな!


スケルトンキングは3mの身長、侯爵という地位に骸骨の容貌に他の魔族達は遠巻きながら見ているだけだ。


挨拶程度はしてくるが会話にはつながらない。


「ハデスよ、楽しんでおるか!」


そんな中、魔王イヴが紅い液体の入ったグラスを片手に近づいてきた。


いつも通り近くにはラルフもいる。


「それなりにはですかね」

「まぁ、その姿じゃ誰も近づくのは無理かのぉ」


周囲の魔族達が思っていることをズバッと言ってのけた。


「じゃが、高位の魔族となれば人化は出来るじゃろぉ?」

「それはそうですが、良いので?」


魔族として本来の姿をせずにいる事は失礼に当たるのではないかと思っていた。


「妾とて、人化の術で皆と接しておるわ」

「という事は魔王様の真の姿は別にあると?」

「見たいか? じゃがダメじゃ」

「そうですか」

「見たければ、北の大地へと向かわねばな」

「それはどういった意味で?」

「妾の真の姿はこの城では収まりきらんのじゃ」


この巨大な城よりも大きいだと?


「魔大陸は弱肉強食が常じゃ。いつでも挑戦を待っておるぞ」

「挑戦なんて恐れ多いです」

「して、人化はせぬのか?」


魔族のトップが人化している以上、誰も文句は言う事はできない。


むしろ魔王がするように促している程だ。


「装備を変えます」


シュッ


鎧系の装備からローブ系の装備に変更して準備を整える。


「人化」


シュォオオ


「お待たせしました」

「これは、これは」


イヴが俺の顔をじっくりとみる。


「何をみているのですか?」

「生前のお主を元としておるのか?」

「一応、そういうことです」

「そうか。では、妾は他の五天侯爵とあいさつをするでのぉ」


颯爽と去っていくイヴとラルフ。


カツンッカツンッ


『これは、ハデス殿』


イヴが去った後に遠巻きで見ていた魔族の一人が近づいてきた。


それからは他の魔族達も手のひらを返したかの様に挨拶以外の世間話程度を話しかけてくる。


印象って大事なんだなと思った。


宴も終わり、俺達はあの場所へと戻る事にしていた。


イベントで手に入れた秘宝は5つ、【人魚の涙】・・・人魚と付いているのだからマーメイドクイーンが何か知っているのだろう。


「ゲート」


一度行ったことのある場所へ瞬間移動できる魔法を使い4人の支配地域へと繋げる。


「終わったら連絡するっす」

「またねぇ」

「楽しかったのである」

「お世話になりました」

「あぁ」


スロウス、ラスト、ラース、グリードの4人がゲートをくぐり抜けて去っていった。


ラースと旅を始めてここまで本当に長かった・・・仲間達と出会い、魔王に謁見をして、無理難題を吹っ掛けられ、交易都市でガレオン船を作り、海ではシードラゴンに襲われ、ドラゴンズアイランドに漂着し、聖大陸では戦争イベントを行った。


レベルもカンストして残すグランドクエストも無くなってしまった。

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