料理を作る仕事
はじまりはじまり~
あるところに、とても料理を作るのが好きな男の子がいました。
彼はとても料理が上手で、家族や友達からも絶賛されていました。
ある日、彼の友達の一人が言いました。
「君は本当に料理が上手だから、将来良い料理人になれるよ」
「うん。俺は料理を作るのが好きだから、料理を作る仕事をする。そしてすごい料理人になって、自分のレストランを作るんだ!」
それから数年がたち、男の子もその友達も大人になりました。
ある日、男の子は友達の1人に電話しました。
「実は料理学校を卒業してからすぐ、あるレストランの厨房で働き始めたんだけど、すぐクビになったんだ。
しばらくは、他の料理屋とかを回っていたんだけど、どこもすぐクビになってさ。
それでレストランを始めたんだけど、上手くいかないんだ。
料理学校でも成績は優秀だったし、いろんな資格も手に入れたんだけど全然うまくいかなくて…。
明日、店に来て相談に乗ってくれないか?」
「うん。明日は休みだから構わないよ」
翌日、友達はそのお店を訪ねました。
昨日の電話で聞いた通りに行くと、お店はありました。
友達はお店に入ってみました。
次の瞬間、彼はビックリしました。
店の中がとても汚いのです。
ごみ箱はごみであふれかえり、食器もテーブルも汚れていて、とても食事ができる状態ではありません。
冷蔵庫の中を見てみると、食材はほとんどありません。
残っているのは賞味期限が切れたものや、明らかに傷んでいるものばかりです。
レジを見てみると、お金は乱雑に入っていて管理されていません。
友達はすぐに訊ねました。
「お店の掃除はどうしているんだい?」
「していないよ」
「食器は洗っているのかい?」
「いいや」
「食材の調達は?」
「使用のついでにするだけだよ」
「お金の管理は?」
「特に何も」
「誰か人を雇ったりは?」
「してない」
「どうしてやらないんだい?それじゃあ、すぐにクビになるのも、お店が上手くいかないのも当然だよ」
「料理人は料理を作るのが仕事だろ?だったら、掃除や食器の片づけや食材の調達、お金を管理したり、人を雇ったりするのは料理人の仕事じゃないだろ?」
「料理人っていうのは料理だけしていればいいワケじゃないんだよ。料理を作る準備や道具の手入れ、作ったり食べたりする環境を整えることも仕事なんだよ」
「僕は料理だけをしたいんだ。だったら料理人なんて辞めるよ」
その言葉に友達はため息を吐くのでした。
仕事を選ぶときは、実際には何をやるのかよく調べましょう。