目指せケンミンマスター! 野生のキョウトミンが現れた!
※ 作者の思い込みが入っているため、広い心でお読みください。
トドウフケンミン……略してケンミン。この世界には、トウドウフケンミンと呼ばれる生き物たちが、いたるところに住んでいる。人はケンミンたちと、仲良く遊んだり、一緒に戦ったり、助け合いながら暮らしていた。
ここに、一人の少年の冒険が幕を開ける。全てのケンミンを集め、バトルの頂点に立ったケンミンマスターになるための旅が始まったのだった。
その少年の名は、オーツ。相棒のシガミンと共に、ふるさとであるクサツシティを旅立った。
肩に乗っているシガミンは、彼が生まれた時から一緒にいた、かけがえのない友人だ。亀に似た生き物で、甲羅には琵琶湖のマークがある。鳴き声は『シガァ』、決め台詞は『琵琶湖は滋賀県面積の六分の一』だ。
オーツは、シガミンのレベルを上げるため、草むらの中に入っていく。街道にはトレーナーたちが対戦相手を探しており、視界に入らないように歩く。無理はしない。
数歩歩いたところで、何かが飛び出してきた。
バトルモード突入だ! オーツの頭の中には、戦いを盛り上げる自作の曲が流れる。
野生のキョウトミンが現れた!
『京都は千年の都!』
決め台詞をともに現れたのは、十二単の色をした羽に、頭に宝冠を付けた鳥のような生き物だ。
「行け! シガミン!」
オークがビシッとキョウトミンを指せば、シガミンはやる気満々で飛び降りた。キョウトミンとシガミンは仲が悪いことで有名だ。
『琵琶湖は滋賀県面積の六分の一!』
決め台詞を、長い首を偉そうに反らせて言い放つ。まずは、こちらのターンだ!
「シガミン、お前の力を見せてやれ! <飛び出し注意!>」
オーツが技名を叫ぶ。
滋賀県に多数乱立する看板のごとく、シガミンは勢いよくキョウトミンに体当たりした。
キョウトミンは痛みを払うように首を振り、威嚇する。
キョウトミンの<政令指定都市>攻撃!
都市の格差に、シガミンは怯えている。シガミンの攻撃力が少し下がった!
「まだまだ! <琵琶湖疎水!>」
シガミンは口から水鉄砲を繰り出した。キョウトミンの体力ゲージが三分の一まで減る。
「よし!」
キョウトミンの<清水の舞台から飛び降りる>攻撃!
キョウトミンは高く飛び上がると、急降下し鋭いくちばしでシガミンを刺した。
シガミンの体力ゲージが半分まで減る。だが、オーツに焦りはない。
オーツはニヤリと笑って、鼻息の荒いシガミンに技を指示する。
「やるなぁ。これで決めるぜ! <琵琶湖の水を止める>攻撃だ!」
シガミンの必殺技。地割れが起き、大ダメージを与えられる。水が無ければ生きてはいけないのだ。
だが、キョウトミンはふわりと空に舞い上がった。空にいるため、技が効いていない!
「うそだろ!」
キョウトミンの目がキラリと光る。
キョウトミンの<琵琶湖疎水の管理は京都の権限>攻撃! キョウトミンは羽を広げ、竜巻を起こした。
効果はばつぐんだ!
「なんだって!?」
一気にシガミンの体力ゲージが減り、赤く点滅する。キョウトミンは勝ち誇ったように、空を舞っていた。琵琶湖疎水の監理局は、京都にあるのだ!
「くっ……<琵琶湖は近畿の水がめ!>」
シガミンの体力が半分まで回復する。
キョウトミンは空から降りてこない。
「悔しいけど、これを使うしかない!」
必殺技が破られた以上、切り札を使うしかない。対キョウトミン用に、トーキョーミンが得意とする技を、マシーンで覚えさせたものだ。
「東京遷都!」
空を飛ぶキョウトミン目掛けて、シガミンは口から光線を放った。太い光の帯がキョウトミンに命中する。
効果はばつぐんだ!
キョウトミンは目を回し、ぱたりと地面に落ちた。
敵のキョウトミンは倒れた!
シガミンは30の経験値をもらった!
おめでとう! シガミンはレベルが上がった!
<免許を取ったら琵琶湖を一周>を覚えた。速さが少しあがるぞ!
「すごいぞ! シガミン!」
オーツは足元に寄って来たシガミンを抱き上げ、頭を撫でる。シガミンは誇らしげに、『シガァ』と鳴いた。そして肩に乗せると、次の街を目指して歩き出すのだった。
オーツの旅はまだまだ続く。
つづかない。
滋賀県民及び京都府民の皆様、勝手なキャラ付けをお許しください。
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きっと、チャンピオンはトーキョーミン使ってるんだろうな。「首都光線!」で破壊されそう。