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俺ちょっとガンだから  作者: 新庄知慧
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爆発!・・・そして。

デスクの向うで、不快な笑い声が断続的に聞こえた。


 社長がデスクに向ってゆっくりとやってくる。


 課長は手流弾のピンを抜き、秒数をかぞえる。


 最期の力を体全体に充満させる。


 ・・・「そうらっ」と!


これが、私の、「生きる」だ。


派手でいいや・・・


 課長は、 びゅん! と飛び上がった。


 銃声がした。


 続けて乱射された。


 課長の体のどこかに命中したかもしれない。


 しかしかまわない。かまわず手にした爆弾を相手に投げつける。


 ジャストタイミング!


 さして広くもない部屋で、手流弾が爆発した。


 社長の悲鳴。


 轟音。


 飛び散る火花と火炎。


 目の前も頭の中も白熱のフラッシュ。


 空気が一瞬にしてひび割れ、奔流して逆流して逆巻いて炸裂して、煙の中で粉々になって、飛び散った・・・



 ・・・・・・



 「俺の金・・・入るはずの、俺の退職金・・・マリに、全部やってくれ、俺の会社の名前は・・・」

 

  話している相手が誰なのかわからなかった。


  しかし課長は必死に頼んだ。


  もがき苦しむ暗闇のなかで必死に嘆願した。


  本当に、誰にむかって頼んでいるのか?


  ただ、その相手は何でもいいから話せることは話せ、知っている電話番号、身内のこと、話せ、といっていた。


  課長はいわれるままに話した。


  目をあけても真っ暗で、何もわからなかった。


  そのうち、また意識が切れた。


  ぷっつんと、ぶち切れて、遠くにいってしまった・・・・・・・・



  ・・・・・



 天井で光が白く燃えた。


  大きな円形の眩しい光だった。


  課長は目を開けた。


  そのとたんに目が焼けてつぶれて、世界が消えてしまった・・・



  ・・・・・・・・・


  そして。


  しゃべっている、人の声が、聞えた・・・


  「ガン?この患者ガンなのか?」


 「ちがいますよ」


  「どこが一体・・・ガンなのか?」


 しかし、うわごとで、俺ちょっとガンだからって、いってたんだが・・・?


 なんでだろう?


 なんで自分のことを肺ガンだなどと思っていたのだろう?





・・・・そんなことをいっていた。


誰も何もわかっていないのだ。


 課長はあきらめた。


 わかってもらうことは、あきらめた。


 そして自分の存在が、無限大に膨張して密度が限界を超えてうすくなり、思い切り拡散して見えない霧になってしまった・・・


・・・つづく


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