表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

698/1217

693話 間違っていた

 いつの間に動いていたのか、ティナが跳躍。

 そのままサクラの頭の上に着地した。


「ティナ、危ない!?」

「大丈夫や。この体は仮のものやし、うち、幽霊やから物理は効かないで」

「それは……」

「待っててな! ちと、強引に取り憑いてみるわ」


 そう言って、ティナはサクラの頭に両手を当てた。


「ガァアアアッ!」


 離れろというようにサクラが暴れた。


 ティナが振り落とされそうになって……


「ティナ!」


 慌てて駆け寄り、支える。


「おおきに!」

「頼む!」


 ティナを支えつつ、さらに魔眼でサクラの動きを封じる。


 それでも尚、サクラは暴れるのをやめない。

 みんなの拘束を振りほどこうとして、怒りに吠える。


 くそっ、なんて力だ。

 みんなで協力しているのに、抑えるのが精一杯なんて。


 これが闇落ち。

 とんでもない力だ。


 ただ……

 どこか、今の状態のサクラに見覚えがあるような気がした。


「いくでー!」


 気合を入れるような声を上げて、ティナが再びサクラに取り憑いた。


「ガウ……!?」


 途端にサクラの動きが鈍くなった。

 自由に動けない様子で、時折、体がビクビクと震えている。


 うまくいったのだろうか?


 引き続き、全力でサクラの動きを封じつつ、様子を見る。


「ガッ……グググ、ウウウウウゥーーー!」


 唸り声は継続して響いていた。

 まだサクラの自我が残っている証拠だ。


 そして……


「あわわ!?」


 がくりとうなだれていたティナの人形が動き出した。

 とても慌てた様子で、一度、サクラから距離を取る。


「ティナ、大丈夫か!?」

「ウチは問題ないで。ただ、失敗してもうた!」


 ティナの憑依も通用しないなんて……

 いったい、どうすれば!?


 諦めるつもりなんてない。

 最後の最後まであがいてやる。


 ただ、攻略法を確立しないと……


「サクラちゃん!!!」

「っ……!?」


 フィーニアが強く強く叫んで……

 そして、サクラが足を止めた。


「だ、ダメだよ、こんなこと……こんなことしてたらいけないんだよ!」

「ウゥ……」

「お願い、元の優しくて元気なサクラちゃんに戻って?」

「グゥ……ウウウゥ……」


 いつも一緒にいるフィーニアの言葉に、サクラは迷うような動きを見せた。

 でたらめに暴れるのを止めて、じっとフィーニアを見ている。


 ただ、完全に正気に戻ったわけじゃない。


 禍々しい姿は変わらず。

 どうにかこうにか殺意を押さえているという感じで、低い唸り声が響いていた。


「……そっか」


 やり方を間違えていたと、今までの行動を恥じる。


 無理矢理押さえつけようとしても意味がない。

 動物を使役する時、心を通わせないといけない。


 それと同じで、今の状態のサクラとも心を通わせないといけないんだ。

 闇落ちしたからといって、力をぶつけるなんてダメだ。

 フィーニアがそのことを教えてくれた。


「ありがとう、フィーニア」

「ふぇ!? わ、ワタシ、なにかしたでしょうか……?」

「ものすごく大事なことを教えて……思い出させてくれたよ」


 色々とあって。

 特訓などをして。


 それなりの力を得ることができた。

 だからこそ、本分を忘れていたのかもしれない。


「みんな、別の意味で援護を頼む」

「別の意味……ですか? それはどういう……」

「詳しく説明しているヒマはないけど、でも、わかると思う」


 そう言って、俺はサクラの前に立つ。


「サクラ!」

「グルルルゥ……!!!」

「両親があんなことになっていてショックだよな。悲しいよな、苦しいよな。でも、大丈夫だ。二人は絶対に助けてみせる」

「……」

「だから、絶望することなんてないんだ。いつもみたいに、元気に笑ってくれるところを見せてくれないか?」

「ガァッ!!!」


 吠えて、駆け出した。


 速い。

 目で追えないほどで、圧も半端ない。


 でも、無理に対抗する必要はない。

 武器を向ける理由もない。

 だって、サクラは仲間だ。


「止まってくれ」

「っ……!?」


 俺に襲いかかろうとしていたサクラが足を止めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇

中身は最強黒騎士、外見は天使な幼女王女。
母が愛した国を守りたいだけなのに、侍女も騎士団もなぜか女神扱い!?
『最強黒騎士、幼女王女に転生する』を読む



悪役令嬢に転生したけど、妹が可愛すぎる!
妹をいじめる? とんでもない。むしろ溺愛します!
『 悪役令嬢に転生したので、メインヒロインの妹を全力で甘やかします 』を読む






Kラノベブックス様から書籍1~12巻、コミカライズはマンガUP!にて連載中で、コミック1~11巻、発売中です!

紹介ページへ 紹介ページへ
― 新着の感想 ―
 ただ……  どこか、今の状態のサクラに見覚えがあるような気がした。 >> 昔のイリスか『闇堕ち』しかけたカナデか、それとも昔対峙した怪我をした狼とかかな……?
[良い点] そう、それこそこの小説の本分と言える所と言えるだろう。 現実でも熟練を重ねて力を得た分初心の想いやきもちを失っている所がありますからね。 「暗殺教室」でもそういう場面がありましたし、ここの…
[一言] 漫画を読み、先が気になったため最近小説を読み始めましたが飽きることなく読むことが出来ました ビーストテイマーの基本を思い出しサクラとどう向き合うのか気になりますね
2022/07/24 23:18 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ