683話 研究施設を探せ!
翌日。
研究施設を探すため、俺達は家を出た。
メンバーは、ティナとサクラとフィーニア。
それと、イリスだ。
イリスは別行動の予定だったのだけど……
過去に囚われた研究施設が関わっているとなると見過ごせないと、同行を願い出た。
もちろんオッケー。
一緒に行動することにして、研究施設を探しに街を出る。
「わたくしの記憶によると、ここからそう遠くありませんわ。歩いて半日ほどでしょうか?」
「そんな近いところに……」
ホライズンに拠点を構えてけっこう長いけど、研究施設の話を聞いたことはない。
噂もない。
「正確な場所は覚えているか?」
「ええ、問題ありませんわ。ただ……」
「ただ?」
「当時、ありったけの力で魔法を叩き込んだので、地形が変わっているかもしれず……少し手間取るかもしれません。ふふ」
イリスなりの冗談みたいだけど……
いや、笑えないから。
「えっと……とりあえず、時間が惜しいから手を借りることにしよう」
近くにいた熊をテイム。
仲間を集めてもらい、三頭揃ったところで、俺とフィーニアとイリスがその背中に乗る。
ティナはサクラの上だ。
「あっちへ連れていってくれないか? 頼むよ」
「ガウッ!」
熊は大きく頷いて、一気に駆け出した。
熊は意外と速い。
それに体力もあるから、長時間走ることができる。
飼いならすことができれば、馬に匹敵するくらい、助けてもらえることができる。
ただ……
「あら、フィーニアさん?」
「……」
「えっと……レインさま。フィーニアさんが熊に怖がり、気絶してしまっているのですが……」
「あー……ごめん。彼女を落とさないように、気をつけてくれるとうれしい」
「ガウッ!」
任せておけ、という感じで吠えた。
とても頼りになる熊だった。
――――――――――
本来なら半日ほどかかる行程を三時間に短縮することができた。
そうして俺達がやってきたのは、山の麓だ。
イリス曰く、この近くに研究所があったらしい。
「とはいえ……当時、超級魔法に匹敵するものをばら撒いて徹底的に破壊したので、欠片も残っていないはずなのですが」
サラリと恐ろしいことを言う。
いや、まあ。
イリスがされたことを考えれば、それくらいは当然のことなのだけど。
「場所は覚えてないん?」
「その辺りは記憶が曖昧で……山の麓にあったのは間違いないのですが」
「オンッ、オンッ」
「さ、サクラちゃんが、自分が探してこようか? ……と」
「んー……いや、ここでバラけるのはやめておこう」
研究所があるとして……
そこにサクラの両親が囚われているとして……
そこにいる連中は間違いなく敵だ。
迂闊に別行動を取らない方がいいだろう。
「探索は他にお願いするよ」
近くを通りかかるリスと仮契約。
仲間を集めてもらい、一斉に散ってもらう。
「相変わらず、レインさまの力は便利ですわね」
「別に俺が優れているわけじゃないけどな」
俺は力を貸してもらっているだけ。
本当に優れているのは、色々な能力を持つ動物達の方だ。
「なあなあ、レインの旦那。この前カナデから聞いたんやけど、同化って使わないん?」
「同化か……あれを使うと探しやすいんだけど、すでに敵地にいるかもしれないからな。いざという時は危ないかもしれないから、今は控えておきたいかな」
「そかー……ん?」
ティナは、なにか閃いた様子で言う。
「なら、レインの旦那が同化しとる間、ウチが取り憑いておこか?」
「え?」
「そうすれば無防備にならんやろ? ナイスアイディアやと思わない?」
「えっと……」
同化で空っぽになった俺の体にティナが取り憑く。
可能と言えば可能だろうけど……
「……ごめん、それはなしで」
「えー」
「いや、ちょっと……女の子が俺の体に入るとか、なんか落ち着かなくなりそうで……」
「……ちぇ」
なぜか、ティナはものすごく残念そうにするのだった。




