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679話 サクラの悩み

 南大陸にある、レインの故郷……ラウドネア。


 最近になって、いつの間にか復興されていることが確認された。

 さらに、村の中にダンジョンがあるという。


 その調査を請けたレインだけど、すぐに出発することはない。


 南大陸は遠い。

 精霊族の里も繋がっていないため、自力で移動しないといけない。

 そのために準備と情報収集に一週間を費やすことにしたのだ。


 レイン達はあれこれと準備に奔走する。




――――――――――




「サクラ……わたし、重く……ない?」

「オンッ!」

「大丈夫みたいやで」


 街の中をゆっくりと歩くサクラ。

 その背中にニーナが乗り……

 さらに、ニーナの頭に、人形バージョンのティナが乗っていた。


 三人は買い物に出ていた。

 旅に必要なものを買うのではなくて、単純に、夕食に必要な食材を買いに来たのだ。


 三人も旅の準備の手伝いを申し出たものの……

 ニーナはまだまだ子供で、ティナは夜でなければ外に出ることができない。

 人形バージョンなら外に出ることはできるが、色々と大変だ。

 サクラは言わずもがな。


 なので、三人は日常生活を担当することになった。


「ニーナ、サクラ。今日の夕飯、なにが食べたい?」

「えっと、えっと……ハン、バーグ」

「ええでー。ポテトと目玉焼きもつけよか。サクラは、リクエストはあるん?」

「……」


 サクラはティナの話を聞いていなかった。

 心ここにあらずという感じで足を進めている。


「……オフゥ」


 サクラは悩んでいた。


 先日の戦いの最中、とても懐かしい匂いがした。

 絶対に忘れることのない、温かい匂い。


 それは……


「クゥーン……」


 サクラの両親の匂いだ。


 激戦の中、どこから匂いが流れてきたのか?

 ハッキリと突き止めることはできなかったものの、推測を立てることはできる。


 アルトリウスだ。


 彼は零式監獄を発動させるため、事前に街の至るところに姿を見せていた、という証言がある。

 その時に、街の一部に匂いが移り……

 サクラがそれを嗅ぎ取った、という図式が成立する。


 アルトリウスは行方不明の両親のことを知っているのかもしれない。

 だがしかし、もうアルトリウスはいない。

 話を聞くことができない。


 両親の手がかりまで、あと少し。

 そんなところまで来たのに、どうすることもできず、答えにたどり着くことができない。


 すごくもどかしく……

 寂しく、悲しかった。


「どうしたんや、サクラ?」

「だい、じょうぶ?」


 サクラの異変に気づいた二人が、優しく声をかける。


 サクラはそれに甘えそうになって……

 でも、やめた。


 今は旅の準備をしなければならない。

 余計なことを口にして、二人に……レインに迷惑をかけたくない。


 そう我慢するのだけど……


「こら」

「キャンッ」


 ティナにげんこつを落とされた。

 あまり手加減していないらしく、けっこう痛い。


 なぜ?

 と、サクラは混乱しつつティナを見る。


 ティナは怒っていた。


「サクラはまだ子供なんや。だから、我慢する必要なんてないんや。うち、そういう妙な気遣いは怒るでー。うちとサクラは、そんな関係だったん? サクラに我慢を強いてしまうような、そんな関係だったん?」

「キューン……」

「サクラ」


 ニーナはサクラの背中から降りた。

 それから、サクラをギュッと抱きしめる。


「悩み……教えて、ほしいな」

「オフゥ……」

「わたし、がんばる。レインも……きっと、がんばってくれる。だから、大丈夫」


 にっこりと、太陽のような笑みを向けられた。


 それを見て、サクラは決意する。

 邪魔をしてしまうかもしれない。

 迷惑をかけてしまうかもしれない。

 でも、今、胸に抱えている想いを話してみることにしよう。


 それが……仲間ということなのだろう。

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◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

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ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ひとまず、この小説を読むのはここまでにします。 お楽しみは後にとっとくので、ここから先は南大陸編になりそうですね。 あ、作者様、妄想の時間となりました。 登場人物達が作者様にエールを送って…
[一言] シグレさん...あなたのお孫さんは素敵な仲間達に恵まれていて幸せ犬(?)ですね......。
[気になる点] フィーニアの目の前で、物凄く悲しい表情をしていたのは、サクラが、自分の両親の匂いを嗅ぎ取ったからだったんですね。それにしても、アルトリウスがあの男が関わっていた。 いや、むしろ。あの男…
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