↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

546/1224

543話 倒すべき敵

「……」


 アルテラは、キョトンと目を大きくして驚いて……


「え?」


 次いで、小首を傾げた。

 その表情は疑問の色でいっぱいで、わけがわからないというような顔をしていた。


「んー……今、なんて?」

「断る、って言ったんだけど?」


 改めて、ユウキはアルテラの誘いにノーを突きつけた。

 俺もアルテラを睨みつけて、誘いに乗ることはないと態度で示してやる。


「えー、なにそれ。わけがわからないんだけど。私の誘いを断るとか、どういうこと? 人間のくせに、生意気なんだけど!」

「どうして、俺達が誘いを受けると思っていたのか、すごく不思議なんだけどな」

「悪いけど、僕達は魔族に魂を売り渡すなんてしないよ。最後まで……」

「戦うだけだ!」


 それは、ある意味で宣戦布告のようなものだ。


 アルテラの思い通りにさせない。

 その野望を叩き潰す。


 改めて、そんな俺達の意思を突きつけてやった。


「……ふぅん」


 アルテラの顔から笑みが消えて、その目はどんどん冷たいものに変化した。

 プレッシャーが増して、ギシギシと空気が悲鳴をあげる。


「そっか、私の誘いを断るんだ。せっかく目をかけてあげたのに……あーあ、だから人間ってバカなんだよねー。唯一、生き残る道を自分で蹴っちゃうなんて。ほーんと、バカ」

「そういうわけでもないさ」

「どういうこと? まさか、この状況で逃げられるとでも?」

「いいや。さすがに、それは無理だろうな」

「だよねー。なーんだ、それくらいは理解していたんだね。バカだけど、そこそこ物を考えることはできるみたいだね」

「逃げられないだろうが……なら、敵を倒せばいい」

「……」

「お前を倒して、突破させてもらう」


 そうして言葉にすることで、俺は、改めて決意をした。


 アルテラは、ルイエの魂を冒涜した。

 グレイの命を弄んだ。

 そして、たくさんの人々を傷つけてきた。


 絶対に許すことはできない。

 今、ここで倒しておかなくてはいけない、敵だ。


「……あはっ」


 ぽかんとして……

 ややあって、アルテラは歪んだ笑みを浮かべる。


「あはっ、あははははは!!!」


 腹を抱えて笑う。

 涙を流すほどに笑う。


「私を倒す? 人間が? 私を? あはっ、ダメダメ、きゃははははは! なにその冗談。おもしろすぎるんだけど。あははは、笑いすぎて、どうにかなっちゃいそう!」


 ひとしきり笑い、


「……調子に乗らないでね?」


 ピタリと笑いが止み、ぶわっと殺気があふれだした。

 圧を感じるほどの強烈な殺気で、嫌な汗が流れてしまう。


 アルテラの足元から炎が舞い上がり、その小さな体を包み込む。

 それは、彼女を守る鎧であり、敵を貫く刃だ。

 全身に炎をまとわせて、構える。


 無事……と言うのも変な話だけど、アルテラを戦線に誘い出すことに成功した。

 厄介な敵が一人、増えたのだけど……

 しかし、彼女を討てば、一気に現状を打開できる。


「殺してあげる。骨も残さないで、焼き尽くしてあげる」


 アルテラが手の平を上に向けて広げて……

 そこから、ゴゥッ! と紅蓮の炎が舞い上がる。


「リースちゃんと他の連中は、そこでじっとしててね? アレ、私の獲物だから」

「わかりました。ただ、敵の力は相当なもので……」

「大丈夫、大丈夫。リースちゃんが言うように、そこの人間がアレの血を引いていたとしても、所詮、人間だもん。雑魚は雑魚。それに……」


 さらに炎が膨れ上がり、周囲の気温がどんどん上昇していく。


「私、本気でいくからね」


 アルテラの瞳の色が変わる。

 真紅。

 燃えるような赤に染まる。


「だから、心配はいらないよ。リースちゃん達は、あいつらを逃さないように注意しておいて」

「はい、任せてください。アルテラさまが本気を出すというのなら、私達の出番はないでしょうし……逃げ道を塞ぐことに専念しますね」

「うん、お願いね。リースちゃん」


 ちょくちょく、リースという名前が聞こえてくるのだけど……

 あの女性の魔族が、イリスから聞いたことのあるリースなのか?


 そうだとしたら、色々と聞きたいことがある。

 アリオスやモニカのこと。

 今まで裏で色々と動いてきたのは、なにを企んでのことなのか……などなど。


 ただ……


 今は、リースのことを考えている余裕はなさそうだ。

 アルテラに集中しないと、たぶん、一瞬でやられてしまう。


「ユウキ……あと少し、がんばれるよな?」

「もちろん。レインと一緒なら、なんでもできると思うよ」

「ありがとう、すごく頼もしいよ。ユウキが一緒で、本当によかった」

「それ、僕の台詞だよ」


 こんな時だけど、互いに笑い合う。


 すぐに死闘が開始されるのだけど、それに対する悲壮感や恐怖といったものはゼロだ。

 ユウキが口にしたように、俺達が一緒なら、なんでもできる。

 叶わない願いなんてないし、打倒できない敵なんていない。


 そう……なんでもできる!


「気に入らない、気に入らないよ……本気になった私を前にして笑っていられるなんて、すごく気に入らない! 泣いて、叫んで、恐怖して、無様に命乞いをするべきなんだから!」

「お前に屈することはない」

「あぁ……もうっ! 本当に生意気、生意気、生意気っ!!!」


 ダンダンダン、とアルテラは地団駄を踏む。

 その度に地面が割れて、わずかに大地が揺れた。


 なんていう力だ。

 見た目は幼い少女なのだけど……

 その力は、ギガブランドを軽く超えている。


 四天王に序列はあるらしいと、以前、勇者パーティーにいた頃に聞いたことがあるが……

 おそらく、アルテラは、ナンバーワンかツーなのだろう。

 それくらいの力と圧を感じた。


「燃やすっ!!!」


 全身に炎をまとうアルテラが突撃を開始して……

 戦闘が開始された。

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇

中身は最強黒騎士、外見は天使な幼女王女。
母が愛した国を守りたいだけなのに、侍女も騎士団もなぜか女神扱い!?
『最強黒騎士、幼女王女に転生する』を読む



悪役令嬢に転生したけど、妹が可愛すぎる!
妹をいじめる? とんでもない。むしろ溺愛します!
『 悪役令嬢に転生したので、メインヒロインの妹を全力で甘やかします 』を読む






Kラノベブックス様から書籍1~12巻、コミカライズはマンガUP!にて連載中で、コミック1~11巻、発売中です!

紹介ページへ 紹介ページへ
― 新着の感想 ―
[気になる点] > おそらく、アルテラは、ナンバーワンかツーなのだろう。 537話でカシオンから「四天王で二番目の力を持っているからな」って言われてるのに、レインよ忘れちゃったのか?
[気になる点] ※まぁ”彼女”のこの格好を見たら・・・(NGで) 「だから、心配はいらないよ。リースちゃん達は、あいつらを逃さないように注意しておいて」 「はい、任せてください。アルテラさまが本気を…
[一言] 火の四天王ならきっと生足チラチラで戦闘前に全回復してくれるはず。そして戦闘中に火の魔法で攻撃したら全体に蘇生魔法をかけてくれるはず
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。