↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

521/1224

518話 防衛成功。そして……

「おいおいおい、どういうことだ!?」


 戦いが終わり……

 なにやら慌てた様子でカシオンが駆けてきた。


 驚きの表情。

 それと、信じられないものを見たような顔。


 もしかして、俺達が人間だとバレた……?


「お前ら……」

「えっと……」

「なんなんだよ、めっちゃつええじゃねーか!」

「え?」


 途端に笑顔になるカシオン。

 それから、よくやったというかのように、バシバシと背中を叩く。


「いた!?」

「腕に覚えがあるとか言ってたが、そんなレベルじゃねーだろ。見てたぜ、二人の戦い。あのレベルの魔物を、一対一で圧倒するなんて思ってもなかったぜ。俺でもできるかどうか」

「えっと……ありがとうございます?」


 褒められているん……だよな?


 相手が魔族というせいか、まだ警戒してしまう。

 もしかしたら裏があるのでは? とか、こちらを油断させるための言動なのでは? とか。


 ただ、カシオンにそんな様子はない。

 純粋にこちらのことを褒めていて、そして、勝利を喜んでいるようだ。


 本当に……調子が狂う。

 彼は、本当に魔族なのだろうか?


 それとも……

 俺が知らなかっただけで、魔族とは、本来はこういう表情をするものなのか?


「襲撃はどうなったんですか?」

「おう、安心しとけ。しっかりと迎撃したぜ。いくらか取り逃がしそうになったが……それも、レイとユウがやってくれた。ホント、感謝しかねえよ。ありがとな!」

「そうですか……街に被害が出なかったのなら、よかったです」

「この借りは必ず返すからな。っと……すまねえな、色々とやることがまだ残ってるんだ。二人はゆっくり休んでてくれ」


 忙しない様子で、カシオンはどこかへ走り去っていった。

 たぶん、戦いの事後処理をするのだろう。


 残された俺とユウキは、互いの顔を見る。


「とりあえず……ソラとルナのところへ戻るか」

「うん、そうだね」




――――――――――




「……なるほど、そのようなことが」


 ソラとルナと合流した後、カシオンについての話をした。


 四天王の親衛隊。

 そして、この街の魔族達を束ねる者。


 魔族ではあるが……

 しかし、とてもまっすぐで、好感が持てる男というのが俺とユウキが出した結論だ。


「むう、どういうことなのだ? 我は、魔族は破壊と混沌の使者とばかり思っていたぞ」

「ソラも似たようなものです。長と母さんからも、このような話は聞いたことがありませんし……」

「アルさんですら知らないこと、っていうことか」


 とはいえ、それは仕方のないことなのかもしれない。


 魔族は、他の種族全てと敵対している。

 まったく交易を持たないため、魔族側の情報が入ってくることは一切ない。

 故に、今まで詳細な情報は謎に包まれていた。


 その行動から、血も涙もない悪魔のような存在と思っていたのだけど……

 ここにきて、その前提が一気に崩れた。


 カシオンやその他の魔族が人間をどう思っているか、それはまだわからないけど……

 少なくとも、血も涙もない存在じゃない。

 俺達と同じように笑い、悲しみ……そして、死に恐怖する。


 なにも変わらない。


「レイン、どうするのだ?」

「……」

「ソラとしては、魔族のことは気になりますが、それよりもまずは、本来の目的を果たすべきではないかと、そう提言します」

「四天王の計画を阻止、なのだ」

「そう、だな」


 少し考える。

 色々な新事実が浮上して、それをきちんと整理することができず、知恵熱が出てしまいそうだ。


 それでも、じっくりと考えることで、なんとか答えをまとめた。


「……基本方針は変わらない。さらわれた人達の救出及び、続けての襲撃をなんとしても防ぐ。これは絶対だ」

「うん、そうだね。僕らは、そのために西大陸にやってきたんだから」

「ただ、魔族のことも気になる。放っておいたらいけないというか、みなかったことにしたらいけないというか……知らないとダメだ。そんな気がする」


 魔族はただの敵。

 そんな風に考えていたら、なにか、とんでもないミスをしてしまいそうな……そんな予感がした。


「僕もレインに賛成かな」

「ユウキも?」

「うん。魔族は生きとし生けるものの天敵……って、思っていたんだけどね。でも、この街の様子を見たら、そんな風には思えない。僕らと変わらないように見えた」

「そうですね……ソラ達は、何度か魔族と戦いましたが、この街にいる人達はまるで違います。破壊や殺戮とは無縁そうに見えますし、人間と変わらないようです」

「うむ。敵だから、という理由で戦うのは、ちとまずい気がするのだ。最終的に対立することになったとしても、魔族のことを知っておくのはマイナスではないと思うのだ」


 ユウキ達の賛同を得ることができた。

 ただ、タニア達のことを忘れたらいけない。


「今後の方針について、改めて話し合いたいな。一度、タニア達と合流しよう」

「そうだね。軽く休んで……そうしたら、いい時間だと思う」

「決まりだな」

「なら、まずは少し休みましょう。レインとユウキは、疲れているでしょう?」

「我がおいしい料理を作っておくのだ」

「料理なら、ソラも……」

「「やめて」」

「レインまで!?」


 ユウキは、なんのことがわからない、というような顔をしていたが、それでいい。

 ソラの料理については、ずっとわからないままでいいと思う。


「じゃあ、まずは休憩をしよう」


 疲労が溜まっていたら、いざという時に失敗をしてしまうかもしれない。

 そんなわけで、タニア達との合流時間までは休憩をすることになった。




――――――――――




 あれから、ほどなくして日が暮れた。

 ルナが作ってくれた料理を食べた後、早くにベッドへ入る。


 そして、戦いで疲れた体を休めて……


「……しまった、早くに起きてしまった」


 まだ日が登りきらない早朝よりも早い時間に目が覚めてしまう。

 一度目が覚めると、なかなか眠ることができず……

 みんなを起こさないように注意しつつ、俺は外に散歩に出た。


「これが魔族の街……か」


 こんな時間なので誰もいない。

 ただ、とても平和そうな街であることは見ればわかる。


「俺達は、なにを敵と定めるべきなんだろうな?」

「おはようございます」


 俺の独り言に反応するかのように、そんな声が聞こえてきた。

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇

中身は最強黒騎士、外見は天使な幼女王女。
母が愛した国を守りたいだけなのに、侍女も騎士団もなぜか女神扱い!?
『最強黒騎士、幼女王女に転生する』を読む



悪役令嬢に転生したけど、妹が可愛すぎる!
妹をいじめる? とんでもない。むしろ溺愛します!
『 悪役令嬢に転生したので、メインヒロインの妹を全力で甘やかします 』を読む






Kラノベブックス様から書籍1~12巻、コミカライズはマンガUP!にて連載中で、コミック1~11巻、発売中です!

紹介ページへ 紹介ページへ
― 新着の感想 ―
[良い点] 実は私が作者のブックマークお気に入りしてるのは貴方ともう一人だけなんですよ(もう一人は明鏡シスイさんという方です) 作品のブックマークは沢山してるんですが、作者は二人だけなので、つまり、そ…
[一言] >「料理なら、ソラも……」 >「「やめて」」 >「レインまで!?」 レインにまで止められた! お腹痛い! まあ、上級魔族をギブアップさせたんだからしょうがないか!
[気になる点] 『ユウキは、なんのことがわからない、というような顔をしていたが、それでいい。』に対してです。 ユウキは以前にソラの手料理を食べていると思いますが、その説明は彼にしていないのですか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。