表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

408/1157

408話 潜入

「ど、どうですか……?」

「……うん。この先には誰もいないみたいだ。行こう」

「は、はひっ」


 昆虫を使役して周囲を探らせた結果、不死鳥族の反応はなし。

 呀狼族もいない。


 それをしっかりと確認した後、俺達は前に進む。


 フィーニアは、エルフィンさんも仲間もみんな説得してみせると意気込んでいた。

 ただ、俺を狩るために外に出た不死鳥族の人達は、最低三人で行動している。


 一対一ならともかく、相手がまとまっていると話がこじれることが多い。

 フィーニアも、さすがにいきなり数人は厳しいらしい。

 なので、まずは誰にも見つからないように進むことにした。


 その上で、単独行動をしている不死鳥族がいれば、フィーニアが説得する。

 いないのならば、さらに奥へ進み、エルフィンさんの元を目指す。

 そういう作戦がとられることに。


「ふぐーっ、ふぐぐぐ! んぐー!」


 リーンとモニカは拘束したまま、サクラの背に乗せて運んでいた。

 連れ歩くとなると荷物以外の何物でもないのだけど、真犯人である二人を放置するわけにはいかない。

 二人も連れていき、フィーニアの説得の後、こいつらが真犯人です、とエルフィンさん達に突き出さないと。

 そうしなければ、説得に成功したとしても、俺の容疑が完全に晴れることはないだろう。


 ちなみに、騒ぐとうるさいので口は塞いでおいた。

 それでも、もがもがと暴れていて、ややうるさい。

 睡眠魔法でも使えればいいのだけど、そんな高等魔法はさすがに習得していない。


「おふぅ……」


 自分の背中でぎゃーぎゃーと騒ぐリーンに辟易しているらしく、サクラが疲れたような鳴き声をこぼす。

 げんなりとした様子で、尻尾も垂れ下がっていた。


 一方のモニカはおとなしい。

 逃げる隙をうかがっているのかもしれない、要注意だ。


「すまない、サクラ。迷惑をかけて」

「オンッ」


 気にするな、という感じでサクラが吠えた。

 優しい子だ。


「今回の件が解決したら、特製のごはんを用意するからな」

「ハッハッハ!」


 その時を想像したらしく、サクラはよだれを垂らしそうな勢いだった。

 そんなサクラを見て、フィーニアがくすりと笑う。


「ふふっ……サクラちゃんってば、現金なんだから」

「オフゥ……」

「ワタシも、お、おいしいごはんを作ってあげるね?」

「オンッ!」


 仲の良い二人だ。

 呀狼族と不死鳥族は交流があると聞いているし、普段からこうして仲良く遊んでいるんだろう。

 その光景を想像して、微笑ましい気持ちになる。

 同時に、チクリと胸が痛む。


 俺が余計な火種を持ち込んだことで、二人を騒動に巻き込んでしまった。

 そのことを申しわけなく思う。

 最低限の責任を果たさないといけない。

 今回の事件、キッチリと解決しないと。

 改めて強く決意をした。


「……ストップ」


 声を潜めて言うと、フィーニアとサクラはすぐに足を止めた。

 俺に続いて木陰に隠れる。


 そっと顔を出して先を見る。

 不死鳥族らしき男が三人、見えた。

 なにかを探しているような感じで、ゆっくりと前に進んでいる。

 武装はしていないが、炎を操ることができるため、そんなものはいらないのだろう。


「ど、どどど、どうしましょうっ? この先は隠れる場所が……あわわわ。さ、三人も説得できるかな?」

「いや、大丈夫だ。たぶん、なんとかなる」

「え?」


 俺は木の上にいるリスと仮契約をした。

 ……よくよく見てみると、普通のリスではなくて爪が異様に長い。

 ただ、こちらは最強種というわけではなくて、北大陸で独自の進化を遂げたリスらしい。

 今度、時間があればじっくりと調査、観察してみたい。


 そんなリスに動いてもらい、不死鳥族達の横の茂みへ。

 そこであえて、ガサガサと音を立ててもらう。


 当然のように、不死鳥族達がなんだ!? と反応する。

 うまく注意を引けたところで、さらにリスを遠くへ。

 もちろん、この際、音をわざと立てることも忘れない。


 不死鳥族達はリスを追いかけていき……

 そのまま遠くに消えた。


「よし、うまくいったな」

「……」

「どうしたんだ、ぽかんとして?」

「す、すごいです……動物をあんな風に操ることができるなんて」

「俺はビーストテイマーだからな。リスくらいなら簡単だよ」

「え? でも……あのリスは、ニードルリスという魔物すら倒してしまう希少種で、ふ、普通は操れるものじゃないと思うんですけど」

「……そうなのか?」

「そ、そうです」

「……」

「……」

「まあいいか」

「い、いいんですか!?」


 使役できてしまったものは仕方ない。

 あまり深く考えることなく、今は先を急ぐことにしよう。


「……レインさんって、ふ、不思議な人ですね」

「そうか?」

「す、すごく不思議です……お母さんに聞いてきた人間とはとても思えないです。その、えと……思っていたよりも近くにいるような、そ、そんな感じです」


 近くにいる、ということは……

 多少の親しみを覚えてくれている、っていうことかな?

 そうだとしたらうれしい。


 不死鳥族であるフィーニアには、力を貸してもらいたいという理由もあるが……

 その件がなかったとしても、できるなら仲良くしたいと思う。

 だから、距離が縮まっているだとしたらうれしい。


「あっ……!? ま、また狩りに出ている人達がいました。こ、今度は五人組です……でも、さっきと同じようにすれば、もしかしたら」

「よし、わかった。今回も俺に任せてくれ」


 最強種だけあって、フィーニアはとても目がいい。

 それに、同族の気配を探知する能力もある。


 そんな彼女のおかげで、奥へ奥へと進むことができた。

 不死鳥族をたくさん見かけるようになり、その数はどんどん増えていく。

 もしも見つかれば、たちまち囲まれてしまい、そこで終わり。


 ただ、言い換えれば、数が増えているということは里に近づいているということだ。

 リスクなしにリターンを得ることはできない。

 覚悟を決めて、俺とフィーニア、それと捕虜を連れたサクラはさらに奥へ進む。


「あわわわっ」

「これは……」


 ようやく里の入り口が見えてきた。

 しかし……

 入り口をぐるりと囲むように、十人以上の不死鳥族が、ピリピリとした様子で見張りをしていた。

『よかった』『続きが気になる』と思っていただけたら、

ブクマやポイントをしていただけると、とても励みになります。

よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[一言] モニカは普通に殺すなり手足を切り落とすなりしとけよ。しない意味が全くわからない。今後の展開の為に置いとかなければならないのだろうけど不自然すぎる。
[良い点] フィーニアちゃんかわいいです。 うまく役目を果たせると良いですね。 [一言] いつも楽しく読ませていただいております。
2020/08/14 22:12 退会済み
管理
[一言] リーンに死ぬまでソラの手料理を食わせることを提案する。 なんでかって? レインが体調不良を起こし、状態異常完全無効化させる代物だから。 というのは冗談ですw だってソラに殺されるかr(イクシ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ