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300話 吸血鬼

 鬼族は細かく分けるといくつかの種族に分類される。


 例えば、鬼人。

 おとぎ話に出てくる鬼と似た外見を持ち、圧倒的な腕力を持つ。

 瞬発力、速度などを含めた総合的な身体能力は猫霊族に劣るものの、腕力だけは負けていない。

 その力は猫霊族を遥かにしのぎ、最強種の中で一番と言われている。


 例えば、霊鬼。

 身体能力は人に比べて高いけれど、他の最強種に比べると遥かに低い。

 最強種の中では一番下と言われている。

 しかし、霊を操ることができると言われていて、サポートなどに長けている。


 そして……吸血鬼。

 リファのことだ。


 吸血鬼の最大の特徴は、血を操ることだ。

 血を矢のように降らせ、あるいは固定化して武器とする。

 そのようなことが可能なのだ。


 また己の血を対象に与えて、眷属とすることができる。

 ビーストテイマーの使役と似ているが、やや違う。


 眷属の場合は、対象の命、魂を己と完全に同化してしまうのだ。

 主が死ねば眷属も死ぬ。

 ただ、その逆はない。

 眷属の運命は主が全てを握っている、ということになる。


 普段は主の影の中に潜み、一体化している。

 そして命があれば実体化して己の役目を果たすことになる。


 リファが呼び出した黒いオオカミは眷属で……

 度々体をコウモリにしているのも、それも眷属だ。

 眷属の体を借りている、という常人からは考えられないような技を行使している。


 もっとも最強種と呼ばれる存在なのだから、常識はずれの力を持っていたとしても不思議なことではない。


「ふっ!」


 リファがしっかりと大地を踏みしめながら、血の大鎌で周囲を薙いだ。

 真紅の刃が円形に走る。

 それに触れた魔物が一瞬で両断されて、悲鳴を撒き散らした。


「うわー、リファってすごいね」


 その戦いっぷりに、カナデはついつい感心するような声をこぼしていた。

 ただ戦いの手は止めていない。

 殴り、蹴り、体当たりで吹き飛ばして……

 魔物の群れを蹂躙していく。


「カナデっ、感心してる場合じゃないわよ!」

「せや! もっと手を動かしてやー!」

「わかってるよーっ、わかってるけど……!」


 カナデ達が戦線に突入して、30分ほどが経っただろうか?

 傷ついた冒険者と騎士達は手当のために、一度街の中に戻り……

 その間、カナデ達がほとんどの敵を惹きつけることになっていた。


 今のところ問題はない。

 そこらの魔物がいくら群れようと、最強種を倒すことなんてことは不可能だ。

 伊達に最強種と呼ばれていない。


 しかし……そこそこの力を持つ魔物が群れで襲いかかってくると、話は変わる。

 Cランク……時折、Bランクの魔物が混じるようになり、カナデ達に襲いかかる。

 カナデ達はそれを的確に撃破していくが、今までのように一撃というわけにはいかない。

 また、攻撃を避ける必要も出てきてしまい、時間がとられてしまう。

 その間に他の魔物が襲撃をしかけてきて……


 ジリジリと追い詰められていた。

 質よりも量。

 倒しても倒しても途切れることのない魔物の群れに、さすがのカナデ達も疲労を覚えていた。

 今は一騎当千の活躍を見せているが……

 疲労がたまることで集中力が乱れ、時に大きなミスに繋がってしまう可能性も否定できない。


 なにかしら手を打たないといけない。

 しかし、どうすればいいか?

 迷いと焦りを抱いていると……


「「ドラグーンハウリングっ!!」」


 竜の幻影が戦場を駆け抜けて、魔物の群れを飲み込んだ。


「にゃっ!? 今のは……」

「ふふんっ、我、参上なのだ!」

「遅くなりました」

「ソラとルナ……連れてきた、よ?」


 街を出て北側……魔物の群れの側面を突く形で、ソラとルナ、ニーナの姿があった。


「ソラ! ルナ!」

「ニーナが連れて来てくれたのね! ナイスタイミングよっ」

「えへへ」


 ニーナがはにかみながら∨サインを決めた。

 そんなニーナの頭の上にティナが着地。

 ここが自分の定位置というような感じで、迫りくる魔物の群れを睨みつけた。


「よっしゃっ、みんな、やるで!」

「「「おーーーっ!!!」」」




――――――――――




「イクシオンブラストっ!!!」

「イフリートインフェルノっ!!!」


 ソラとルナの超級魔法が炸裂した。

 荒れ狂う雷撃。

 怒り猛る炎撃。

 その両方が戦場に降臨して、魔物の群れをごっそりと消し飛ばした。


「うにゃにゃにゃにゃにゃっ!!!」


 カナデが単身、魔物の群れに突撃して……

 拳を蹴撃を連発した。

 嵐のように暴れまわり、次々と魔物を打ち倒していく。


「ニーナ、うちの合図でいくで!」

「うんっ」

「今や!」


 ニーナが亜空間を開いて、敵の真上に穴を繋げた。

 そこにティナが魔力を叩き込む。

 死角からの攻撃に対応することができず、魔物達は悲鳴をあげて倒れた。


「これでも……くらいなさぁいっ!」


 トドメというように、タニアがドラゴンブレスを放つ。

 光の奔流が全てを薙ぎ払う。

 大地が揺れて、衝撃波が周囲に広がった。


 ソラとルナとニーナが加わり、カナデ達の本領発揮だ。

 仲間同士だからこそできる連携で、魔物の群れを制圧していく。

 その力は圧倒的で、同じ最強種であるリファもついつい驚いてしまうほどだった。


 これが彼女達の力。

 これが仲間の絆。


 しかし……


「「「グルァアアアアアッ!!!」」」


 魔物達は未だ大量に残っていた。

 カナデ達の活躍で、3割ほどは消滅しただろう。


 しかし、あれだけの攻撃を与えて、あれだけの時間をかけて、ようやく3割だ。

 残りはおおよそ1万4000匹。

 なかなかに絶望的な数字だ。


「カナデっ、すまない! 遅れた!」

「ステラ!」


 一度退避した冒険者と騎士達を連れてステラが現れた。


「どうするの? 私達はまだ平気だけど……」

「やっぱり敵の数が尋常じゃないわ。あたしらもさすがに疲れてきたし……」

「わかった。今度は私達に任せてくれ。時間を稼いでくれたおかげで、けが人の治療もできた。次は私達が討って出る」

「にゃん? 籠城戦じゃないの?」

「そろそろ門の耐久具合が不安になってきてな……万が一門が破壊されれば、一気に魔物が街になだれこんでしまう。それだけは避けなければならない。故に、ここで迎え撃つ!」

「にゃー……私達、責任重大だね」

「ふはははっ、我がいる限り問題なんてないのだ! あのような魔物の群れ、我の超絶秘技究極必殺絶技絶大仰天驚愕天地神明天上天下無敵絶体絶命魔法にで薙ぎ払ってくれるのだ!」

「長いわ……」

「というか、不吉な言葉が含まれてなかった……?」


 どんな時でもマイペースなルナに、一同の緊張が少しだけ和らいだ。


「よーし。それじゃあ、みんな、いくよー!」

「カナデが号令飛ばしてどうするのよ」

「あっ、つい」

「構わないさ。私よりも、カナデの方がふさわしいかもしれないからな。なにはともあれ……気合十分だ! いくぞっ」


 改めてステラが号令を出して……

 街を守るために集まった人々が一斉に武器を構えた。




――――――――――




 戦場は混沌としていた。

 ありとあらゆる場所で人と魔物が激突して、血を散らしている。


 すでに戦闘が開始されて一時間が経過していた。

 時間が経過するにつれて負傷者が増えていき、戦線を離脱する者が後を絶えない。

 しかし、敵の勢いは衰えない。

 スタンピード中の魔物は死を恐れることなく、狂ったように突撃を繰り返す。


 その勢いに押されてしまい、ステラ達は最終防衛ラインまで後退せざるをえなかった。


 カナデ達最強種は、さすがに疲れてきたものの地力がとんでもなく高いこともあり、大健闘していた。

 一人で魔物を1000~2000匹は倒している。

 しかし、他の冒険者や騎士達はそういうわけにはいかず……

 全体的な戦況を見ると魔物に押されているのが現状で、ホライズンの街が戦場になってしまうのは時間の問題だった。


 このままではいけない。

 誰もがそう思い、焦りを覚えるが、どうすることもできない。

 そして……ついに魔物が門に到達した。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >すでに戦闘が開始されて一時間が経過していた。 カナデ達が参戦した時点で既に一時間経過していたはずでは?
[良い点] 読み直して、やっと300話まで戻れました。 ここまで読むのに途中パッパッと読んだとしても何時間もかかってますから、本当にこれだけのストーリーをかけてる作者さん、いや深山鈴先生!素晴らしいで…
[一言] 盛り上がってまいりました!300話おめでとうございます!!! ご無理せずに末永く続きます様に!
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