表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

256/1167

256話 処刑開始

 現場が慌ただしくなった。

 騎士達があちらこちらを行き交い、様々なやりとりを交わしている。

 何が始まったのだろうか?

 イヤな予感がする……


 ひとまず様子を見ていると、みんなが囚われているであろうテントに騎士達が入っていった。

 少しして……


「うにゃーっ! 離してよっ、離してってば!」


 騎士に連れられるカナデの姿が見えた。

 両手を後ろで縛られて、さらに足首に鉄球をつけられている。

 普段のカナデならなんてことはないだろうが……

 首と両手に魔力錠がつけられているため、力が封じられているのだろう。

 ひどく重そうにして、苦しそうにしていた。


「このあたしにこんなことをするなんて……あんたたちの顔、全員覚えたわよ。後で覚えておきなさいっ!」


 タニアも姿を見せた。

 カナデと同じように、魔力錠で自由を奪われている。

 力を封印されていても、その迫力は変わらない。

 睨みつけられた騎士達はたじろいでいた。


「今度はなんなのだ? こんなところに我らを連れてきて、どうするというのだ?」

「ソラ達は、あなた達には絶対に屈しません」


 ルナとソラも見えた。

 二人の体に魔力錠は大きく見えて、痛々しい感じがした。

 二人にあんなことをするなんて……

 見ているだけで怒りが湧いてくる。


「あっ……みんな。よかった……無事、だった」

「せやな。あんまええ状況とは言えんけど、それでもよかったわ」


 最後に、ニーナと鳥かごに入れられたティナが姿を見せた。

 最初に出会った頃を思い出すように、ニーナは首に魔力錠をつけられている。

 鳥かごが魔力錠と同じ役割を発揮しているらしく、ティナも窮屈そうにしていた。


「みんな……」


 物陰に隠れて様子をうかがう俺は、一週間ぶりにみんなの姿を見ることができて、体中の力が抜けそうになっていた。

 疲れているみたいだし、辛い思いもしただろう。

 でも、無事だ。

 怪我をしている様子もない。


 よかった。

 本当によかった。


 安堵の吐息をこぼして……


「……よしっ」


 気を引き締める。

 まだみんなを助けることができたわけじゃない。

 ここからが勝負だ。


 この先の道は……絶対に間違えない!


「さあ、こっちへ来い」


 一人の騎士が先導して、みんなを遺跡中央の広場へ連れて行った。

 試験の時、説明会場になったところだ。


 いつの間に建てたのか、そこには四本の柱があった。

 10メートルほどの間隔を置いて、四角形を描くように配置されている。

 太さは50センチメートルほど……高さは5メートル、というところか?


 その中央に鉄の柱が見えた。


 騎士はみんなを柱の内側に連れて行くと、鎖を使い、鉄の柱と繋いでしまう。

 鎖を一本、二本、三本……一人五本の鎖を使い、みんなをがんじがらめにしてしまう。


 なにをするつもりだ?

 あの四本の柱はいったい……?


 嫌な予感がどんどん膨らんでいく。


 どうする?

 もう少し様子を見るか?

 それとも、突撃するか?


 準備はできた。

 いつでもいけるが……

 タイミングが重要だ。


 俺が隠れているところと、みんなが囚われているところは、おおよそ50メートル。

 ブーストをかけて全力疾走したとしても、数秒はかかる。

 いや。

 加速に時間がかかるから、もう少しプラスされるだろう。


 その間に剣が振り下ろされたら終わりだ。

 今のみんなは自分の身を守ることはできない。


 やるなら、みんなから騎士が離れた後だ。

 それまでは我慢だ。

 我慢しないといけない……!


 もどかしい思いを抱えながら、ぐっと自制心を働かせて、事の成り行きを見守る。


 すると……

 騎士達はみんなから離れて、四本の柱の外に出た。


「準備はできたみたいだね」


 澄ました男の声が響く。

 アリオスだ。

 拘束されて動けないみんなを見て、満足そうな笑みを浮かべている。


 それから、おもむろに周囲を見回して……


「聞こえているか、レイン!?」


 ……俺に呼びかけてきた。


「抜け目のないキミのことだ。すでに近くに潜り込んでいるんだろう?」


 当てずっぽう……というわけではなさそうだ。

 アリオスの口調には、なにやら確信めいたものがある。

 俺がこの遺跡に潜入していると、そう考えているのだろう。


 そんなことはないと、油断してくれていたらよかったんだけど……

 さすがに、そう簡単にはいかないらしい。


「レイン、これ以上罪を重ねるな。かつてパーティーを組んでいたものとして、キミが堕ちていくところを見るのは忍びない。素直に出てきて、そして姫さまを解放しろ。そうすれば、キミの命は保証するし、キミの仲間に危害を加えることもしない」


 仲間のことを持ち出されて、一瞬、気持ちが揺らいでしまう。

 俺の身を差し出すことでみんなの安全が守られるのなら……


 いや、まてまて。


 相手はアリオスだ。

 まともに約束を守るとは思えない。

 素直に出ていったりしたら、そこで全てが終わりだ。


「……悲しいね。僕のことを無視するのか」


 アリオスが芝居がかった口調で嘆いてみせる。


 なにを企んでいる?

 いったい、なにを……


「あくまでも表に出てこないというのなら……キミの罪は、代わりにキミの仲間に贖ってもらおうか!」

「っ!?」

「やれ」


 アリオスが騎士の一人に命令を下した。

 騎士は四本の柱に近づいて、そのうちの一本に触れる。


 カチリ、とスイッチを押すような音がして……

 バチリッ! と柱が放電を始めた。


 あれはマズイ!


 頭の中で警報が鳴り響く。

 このままだとみんなが危ない。


 そう思った時には後先のことなんて考えていられなかった。


「ブースト!」


 魔法をかけて……

 一気に飛び出した!

『よかった』『続きが気になる』と思っていただけたら、

ブクマや評価をしていただけると、とても励みになります。

よろしくおねがいします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『追放された回復役、なぜか最前線で拳を振るいます』

――口の悪さで追放されたヒーラー。
でも実は、拳ひとつで魔物を吹き飛ばす最強だった!?

ざまぁ・スカッと・無双好きの方にオススメです!

https://ncode.syosetu.com/n8290ko/
― 新着の感想 ―
[一言] レイン達を嵌めやがったアリオスたちよ!! お前ら纏めてぶっ潰します!! そんでとっ捕まえてソラの料理を食わせまあああす!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ