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239話 暗転

 最終試験が終了して、地上へ移動した。


「あれ?」


 カナデが不思議そうな顔をした。


「一つ、パーティーが足りないね」

「そういえば……」


 最終試験に挑んだのは、8組のパーティー、計30人だ。

 でも、ここにいるのは7組のパーティー、27人だけ。


 全てのパーティーが合格するわけじゃない。

 一組は脱落してしまったのだろうか?

 そうだとしても、試験は全て終了したのだから、ここにいないのは不自然だ。


「試験結果の発表をする予定だったのだけど……少し待ってちょうだい」


 セルがそんな話をして、他の試験官とどこかへ行ってしまう。

 同行するアクスも険しい顔をしていた。


 なにかトラブルが起きたのだろうか?


「そういえば……」


 タニアがなにか思い出した様子で、つけくわえる。


「ここにいないパーティーって、レインに絡んできた連中じゃない?」

「そういえば……」

「なにかあったのかしら? まあ、あんな連中だから、不合格だとしても同情はしないけどね」

「そうなのだ、そんなことを気にしていたらキリがないのだ!」


 みんなは大して気にしていないみたいだが……

 俺は、どうにもこうにも気になってしまう。


 なにか、見えないところで大きな事件が起きているような……

 そんなイヤな予感がした。




――――――――――




 一仕事終えたアリオスは、自分達のために用意された大きなテントに戻った。

 中に入ると、アッガスがちらりとアリオスを見た。


「しばらくの間、姿が見えなかったが……どこへ行っていたんだ?」

「試験の手伝いで、色々とやることがあってね」

「……そうか」


 それきり興味をなくしたように、アッガスは明後日の方を向いた。


 アリオスは小さく、誰にも聞こえないように舌打ちをした。

 最近、アッガスの態度が鬱陶しい。

 なにかある度に、あれこれと尋ねてくる。


 なにをしていた?

 どこに行っていた?

 やらかしていないだろうな?


 そんなことばかりだ。

 何様のつもりだろうか?

 ただの戦士のくせに、選ばれた者である勇者に対する不遜な物言い……許せることではない。


「……アッガスも、そろそろいらないかもしれないな」


 戦士としてはとても優秀だ。

 しかし、自分に楯突くような者はいらない。


 いっそのこと、レインのように追放してしまうか?

 理由なんてどうにでもなる。

 なければ作ってしまえばいい。


「まあ、アッガスのことは後にしておくか」


 それよりも、今はしなくてはいけないことがある。


 アリオスは気持ちを切り替えて、リーンとミナ……そして、モニカがいるテーブルへ移動した。


「あっ、アリオス。おかえりー」

「試験の手伝いをしていたんですね。おつかれさまです」

「けっこう遅かったね。なにしてたの?」

「まあ、色々とね。勇者ともなれば、やらなくてはいけないことがたくさんあるんだよ」

「ふーん、大変ね」

「私達にお手伝いできることはありませんか?」

「いや、大丈夫だよ。それよりも、ちょっとモニカを借りていいかい? 話しておきたいことがあるんだ」

「? 話なら、今ここですればいいんじゃない?」

「大事な話なんだ」

「二人きりの内緒話? あやしー」

「リーン、下賎な勘ぐりはいけませんよ」

「はいはーい」


 アリオスはモニカを連れてテントの外に出た。

 念のために、さらに移動して、人気のない場所に向かう。


「それで……うまくいきましたか?」


 小さな声でモニカが尋ねた。

 それに対して……アリオスは笑顔で応える。


「ああ、問題ないよ。僕が失敗するわけがないだろう?」


 アリオスは親指サイズくらいの宝石をモニカに渡した。


「これに全部収められているはずだ」

「わかりました。では、問題のないように加工をして、念のためにチェックしておきますね」

「頼むよ」

「はい、お任せください。全ては、勇者様のために……」




――――――――――




 事態が大きく動いたのは、最終試験が終了して1時間ほど経った頃だった。


 一組のパーティーがゴール地点に姿を見せない。

 最初は落第したのかと考えられていたが、試験が終了しても姿を見せない。

 遺跡内部は至るところに罠が仕掛けられているため、動けなくなっているのでは?

 そんな推測がされて、捜索隊が結成されたらしい。


 セルとアクス。

 それと他の試験官数人で結成された。


 アリオス?

 そんなのは自分の仕事じゃないというように、テントでのんびりとしていた。


 その後、セル達が遺跡を捜索して……

 変わり果てた三人の姿を見つけた。


 三人は試験を乗り越えることができず死亡した……

 最初はそんな見解が示されていたものの、途中で雲行きが怪しくなる。

 三人の遺体には切り傷があったのだ。


 魔物に襲われたにしろ、遺跡の罠にかかったにしろ、切り傷がつくということはありえない。

 ここにきて、誰かに襲われた可能性が浮上した。

 そして、その犯人は……


「残念だよ、レイン。まさか、君がこんなことをするなんてね」


 事件の捜査を仕切り始めたアリオスは、しばらくの調査の後、俺を逮捕するように試験官達に告げた。

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