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237話 絶対に大丈夫

「こんにちにゃー」

「こんにちは……今の挨拶なのよね?」


 カナデが妙な挨拶をして、セルが戸惑っていた。


「あっ、タニアとニーナ!」

「二人共、遅いわよ」

「……んっ」


 セルだけではなくて、タニアとニーナの姿もあった。

 適当な段差を利用して、イスの代わりにしていた。


「こんなところでどうしたの? 休憩?」

「違うわよ。っていうか、セルがいる時点で察しなさい」

「えっと……?」

「この猫、頭の中身、ちゃんと入っているのかしら?」

「たぶん、空っぽだと思いますよ」

「にゃんですと!?」


 カナデは、ガーンというようなショックを受けた顔をした。

 それに構うことなく、タニアが話を続ける。


「試験は遺跡の最下層にたどり着いたら合格、っていう話だったでしょ? それで、試験官のセルがここにいる。ということは、ここがゴール地点なのよ」

「そうなの?」


 カナデがセルを見た。

 セルが頷いた。


「ええ、そうよ。タニアの言う通り、ここがゴールよ」

「やったーーー!!! それじゃあ、私達、合格したんだねっ」

「だから、早とちりしないの。この勘違いせっかちぐるぐる猫」

「ぐるぐるってどういう意味!? ねえ、どういう意味!?」


 よくわからないが、呆れられていることは確かだった。

 カナデが拗ねたような顔になる。


 そんなカナデを慰めるように、ニーナが隣に移動した。

 そして、背伸びをして、ぽんぽんとカナデの頭を撫でる。


「いい子……いい子」

「にゃふー……ニーナの手、気持ちいいにゃあ♪」

「レインと同じように、ヒーリング効果を発揮しているのでしょうか?」


 ソラが真剣に考察をしていた。


「私達だけがゴールにたどり着いても仕方ないでしょう?」

「あ……それもそっか」


 まだレインとルナとティナの姿が見えない。

 その三人が一緒でなければ、ゴールしたとみなされないだろう。


「レイン、ルナとティナと一緒なのかな?」

「どうかしら……最悪、一人っていう可能性もあるけど」


 仲間のことを考えていると、爆発音が響いた。


「なにっ!?」


 セルが一番最初に動いた。

 なにが出てきてもいいように弓を構える。

 カナデ、タニア、ソラ、ニーナも構えた。


「魔物かな?」

「この広間は、魔道具で結界が張られているから、魔物は近づけないはずなのだけど……」


 セルが険しい顔をして言う。


 一般の魔物ならば、結界を越えることはできない。

 しかし、変異種などが発生していたら?

 それが想定以上の力を有していたら?


 結界を越えられたとしてもおかしくはない。

 そのような事故が起きないように万全を期しているが、それでも、事故が起きる時は起きてしまう。


 どーん、どーん、という爆発音が近くなってきた。

 広間に繋がる通路の一つから響いていた。

 全員の視線が集中して……


「ふはははっ、我の敵ではないのだ!」

「やったるでー!!!」


 ルナとティナが姿を見せた。


 魔物に追いかけられているらしく、後ろの方に異形の姿が見えた。

 それらに向けて、ティナが棒を手にした。

 棒を魔力で覆い……同じく魔力で編み込んだ塊を、打つ!


「ホームラン打法やっ!」


 カーンと魔力の塊が飛んで、魔物を数匹まとめて蹴散らした。


「そして……ドラグーンハウリング、なのだ!」


 続けてルナの魔法が炸裂して、どーんと爆発音が響いた。


 ドラグーンハウリングは、広域に影響を及ぼす範囲魔法だ。

 遺跡のような狭いところで使うと、自然と周りの壁や天井を傷つけてしまう。


 ルナの魔法は魔物を蹴散らしたが、同時に、遺跡にダメージを与えた。

 壁や天井にピシリとヒビが入り、パラパラと小さな瓦礫が落ちてきた。


「ふはははっ、この程度の魔物、我らの敵ではないのだ!」

「そうや! ウチらをどうこうしたいなら、もっと強いヤツをよこさんかい!」


 戦闘が連続していたのだろう。

 バトルハイになっているらしく、二人は妙に強気だった。


 ソラは、そんな妹のところで歩み寄り……


「なにをしているんですか、このボケ妹!」

「ふぎゃん!?」


 おもいきり頭をはたいた。


「おおう……ボケ妹とは、新しいパワーワードだな……」


 はたかれた頭をおさえて、涙目になりながらルナがつぶやいた。


「こんなところであんな魔法を使うなんて、なにを考えているんですか? ルナはアホなんですか? それとも、アホがルナなんですか?」

「ちょっと、ソラの言っていることがよくわからないのだ」

「まあまあ、落ち着いてーや。しゃーないねん。けっこうな数の魔物に追いかけられたから、仕方なく……」

「何度も爆発音がしたような気がしますが……はあ、まったく」

「なにはともあれ、合流できてよかったわ」


 話をまとめるように、タニアがそう言った。

 カナデ、タニア、ソラ、ルナ、ニーナ、ティナ。

 これで六人が揃った。


 残りは……


「あとはレインだけね」


 パーティーメンバーが揃っていたとしても、レインがいないと意味がない。


 カナデがセルに問いかける。


「ねえねえ、セル。時間制限とかあるの?」

「それも説明したと思うのだけど……もちろん、あるわよ。制限時間内にここにたどり着くことができなければ、失格ね」

「にゃー……」


 カナデは心配そうに、尻尾をゆらゆらと落ち着きなく揺らした。


「まだそんなに心配する段階ではないと思うわ。あと……そうね、2時間はある。それだけの時間があれば、ここにたどり着くことは不可能ではないわ。他のパーティーのこともあるし、心配する必要はないんじゃない?」

「うーん、それはそうなんだけどね……」

「気になるものは気になっちゃうのよね……」


 カナデとタニアが憂い顔になる。


 二人共、レインに対して共通の想いを抱いている。

 恋心だ。

 そんな想いを抱えているから、過剰に心配をしてしまう。


 ちゃんとゴールできるだろうか?

 怪我はしていないだろうか?

 動けなくなったりしていないだろうか?


 レインなら大丈夫……と信頼する気持ちもあるが、それでも、心配なものは心配なのだ。

 早く会いたい。

 そんなことを思い、レインの無事を祈る。


「大丈夫……だよ」


 ニーナがカナデとタニアの頭をぽんぽんと撫でた。

 そして、にっこり笑う。


「レインなら……絶対に、大丈夫♪」


 ニーナの瞳には、レインに対する絶対の信頼があった。


 そんなニーナの姿を見て、カナデとタニアは落ち着きを取り戻した。

 自分達よりも小さいニーナがこれだけ落ち着いているのだから、慌てている場合じゃない。

 なにも問題はない、心配ないと、どーんと構えて待つだけだ。


「信じているからね、レイン♪」


 カナデ達が気持ちを固める一方で……

 セルは、ちょっとした不安を覚えていた。


 他の試験官達は、受験生の行く手を阻む障害として、遺跡の至るところで待機している。

 カナデ達は運良く誰とも出会わなかったみたいだけど、幸運は何度も続かないだろう。


 多数の最強種と契約しているレインの能力は、Aランク冒険者に匹敵……あるいは上回る。

 そんなレインが未だにゴール地点に姿を見せないということは、試験官に遭遇して、足止めをされているのかもしれない。


 そうだとしたら、レインは誰と対峙しているのだろうか?


 セルは相方の顔を思い浮かべた。

 今回はアクスも試験官として参加している。

 今まではアリオスと一緒に行動したくないと不参加を表明していたが……

 最終試験はたくさんの人手が必要なのだ。

 問答無用で参加してもらうことにした。


「もしかしたら……」


 レインはアクスと対峙しているのではないか?

 なんの根拠もないが、セルはそんなことを思った。

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