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236話 本領発揮

「ふう」


 戦うこと十数分……


 なんとかキメラスパイダーの群れを蹴散らすことに成功した。

 一匹一匹は大したことないのだけど、やたらと数が多かった。


 倒しても倒してもキリがなくて、ヒヤリとしたものの……

 打ち止めになったらしく、ようやく応援が止まり、全滅させることができた。


「なかなか厄介なところだな」


 遺跡に仕掛けられた無数のトラップ。

 一筋縄ではいかない魔物。


 下手をしたら命を落としてしまうかもしれない。

 それくらいの難易度だ。

 Aランク昇格の試験だけあって、普通に難しい。


「みんなは大丈夫かな……?」


 みんなは俺よりも遥かに強い。

 そうそう滅多なことは起きないと思うが……

 それでも心配なものは心配だ。


「できるだけ早く合流しないとな」


 こういう遺跡なら端の方に……いた!


「ちょっと力を貸してくれないか?」


 ネズミをテイムした。

 仲間を集めてもらい、さらに数十匹をテイム。

 遺跡中に散らばらせる。


 ここを根城にしているネズミなら、みんなを見つけることができるだろう。

 みんなを探して……

 それから、合流できるように案内をしてもらう。

 そんな命令を出しておいた。


「おっ、早いな」


 三匹のネズミが戻ってきて、俺を見上げてチュウと鳴いた。

 どうやら、誰かを見つけたらしい。


「案内、よろしくな」


 再び元気よくチュウと鳴いて、ネズミが走り出した。

 けっこう足が速い。

 こちらも走らないと置いていかれそうだ。


 時折、遭遇する魔物を蹴散らしながら、ネズミの後を追いかける。

 その間に、何層か遺跡を下る。


 どうやら、みんな最深部を目指しているらしい。

 闇雲に探すよりは、ゴール地点なら確実に合流できると考えているのだろう。


「あれは……ストップ」


 とあるものを見つけて、ネズミに停止命令を出した。

 ネズミが止まる。

 俺は物陰に身を隠して、そっと通廊の先をうかがう。


「……ヒカリゴケ蜘蛛だ。珍しいな、こんなところに生息しているなんて」


 さきほどの魔物とは違い、普通の蜘蛛だ。


 サイズは指先くらい。

 擬態として光る苔を身につけていることから、ヒカリゴケ蜘蛛と呼ばれている。


 このヒカリゴケ蜘蛛は、おもしろい生態をしている。

 その生態というのが……


「……いた」


 ヒカリゴケ蜘蛛の行き先を目で追うと、魔物の姿が見えた。

 懐かしいといえば懐かしい存在……キラータイガーだ。

 通路の先が広場になっていて、そこに複数のキラータイガーが見えた。


 ヒカリゴケは魔物の体液を餌としている。

 そのため、ヒカリゴケの近くには魔物がいると言われている。


「注意して正解だったな」


 今更、キラータイガーに負ける気はしないが、面倒な相手であることに間違いはない。

 限られた空間の中で、しかも複数を相手にするとなると、それなりに厄介だ。


 幸いというべきか、他にも通路はある。

 ネズミに別の道を使うように指示を出した。


 俺の命令を受けて、ネズミたちは左に曲がり、違う通路を進む。

 その後ろ姿を追いかける。


 そんな風にして……

 途中途中で見かける小動物や昆虫などを頼りにして、危険を回避する。

 そして、ネズミに道を案内してもらう。


 順調に進んでいた。

 みんなと離れ離れになってしまい、一時はどうなることかと不安になったものの……

 俺一人でも、なんとか乗り越えることができそうだ。


「とはいえ……やっぱり、一人は寂しいな」


 一時的に離れ離れになっただけなのに、ひどく心もとない気がした。

 安心できないというか、落ち着かないというか……


 それだけ、みんなと一緒にいるのが当たり前になっていたのだろう。

 それだけ、みんなのことを頼りにしていたのだろう。


 すぐに合流できるだろうと思っているから、それほど慌てていないが……


 もしも。

 もしも……長い間、みんなと離れることになったら?

 会いたくても会えないような状況に陥ったら?


 その時は、俺はどうするんだろうか……?




――――――――――




「こっち! こっちが怪しいよ!」

「本当に大丈夫なんですか? ソラは、ものすっごい不安なんですが……」


 元気いっぱいに通路を指差すカナデ。

 それとは対照的に、ソラは不安そうな顔をしていた。


 レイン達とはぐれてしまい……

 カナデとソラは二人で遺跡を探検していた。


 ゴールである最下層に行けば合流できるだろう。

 そう思い、ひたすらに階段を下る。


「さっきのネズミをカナデが追い払わなければ、レインと合流できたかもしれないのに……」

「あう……ご、ごめんね?」

「やれやれです」


 少し前……


 カナデとソラの前にネズミが現れた。

 ネズミは用心深い生き物なので、わざわざ人前に現れることは滅多にない。


 ソラはすぐに理解した。

 きっと、このネズミはレインがテイムしたものだ。

 自分達を探してくれているに違いない。


 ネズミの後を追いかければレインと合流できるだろう。

 そんな期待を抱いたのに……


 ネズミを見たカナデが黒目を細くして、にゃんにゃん鳴きながら追いかけ始めた。

 これにはネズミもひとたまりもない。

 レインの指示よりも恐怖が勝り、一目散に逃げ出してしまった。


 そうして、カナデとソラは道案内を失い……今に至る。


「どうして、あんなことをしたんですか?」

「あう……なんていうか、ネズミを見ていたらウズウズしてきて、我慢できなくて……本能?」

「猫ですか」

「猫霊族だから、ある意味では猫なんだよね……」

「まったく……困った駄猫ですね」

「ソラにまで言われた!?」

「ほら、行きますよ。案内がいなくなった以上、ソラ達は自力でレイン達と合流しないといけないんですから」

「うぅ、ごめんなさいなのにゃ……」

「まったくもう……カナデはルナ以上の、がっかり猫ですね」

「がっかり猫!?」


 なんだかんだで、仲が良さそうな二人だった。

 呑気な話をしながら、最下層を目指して遺跡の奥へ進む。


 そうして、どれだけ階段を降りただろうか?

 どれだけ通路を歩いただろうか?


 開けた空間に出た。

 地下にあるとは思えないくらいに広く、空気が澄んでいた。


 広場の中央に祭壇のようなものが見えた。

 神を模した彫像が立っている。

 その手前の床に魔法陣が描かれていた。

 複雑な模様が描かれていて、ぼぅっと光っている。


 そして……


「あっ、セル!」

「あら?」


 試験官であるセルが祭壇の手前に立っていた。

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