197話 真犯人はどこ?
騎士団本部を後にして……みんなと連絡をとり、街の広場で合流した。
それから、タニアのことについて話した。
「にゃうー……タニアのニセモノ、許せない! 悪いことをして、タニアに罪をかぶせるなんてっ」
「意図してのことなのか、そこは不明ですが……許せないというのは同意見ですね」
「我らが真犯人を捕まえて、ボッコボコにしてやるのだ!」
「ん……タニアのために、わたし……がんばる、よっ」
「ウチらを敵に回したこと、後悔させてやらんとなー。やったるで!」
みんな、自分のことのように怒っていた。
頼もしい。
同時に、やりすぎてしまわないか、ちょっと心配になった。
「じゃあ、みんないくよーっ!」
カナデが拳を突き上げながら、出発進行とばかりに足を進めた。
慌ててその肩に手をやり、止める。
「ストップ。いくって、どこにいくつもりなんだ?」
「街の近くを見て回って、ドラゴンを見つけたら殴る!」
猪突猛進すぎる。
「目的もなく、むやみに歩き回っても仕方ないだろう? そんなことをしても、いたずらに時間を消費するだけだ」
「にゃあ……そういわれると、そんな気が」
「なら、どうするんや?」
ティナが首を傾げながら、尋ねてきた。
体がヤカンから人形に変わり、こんな細かい仕草もできるようになった。
「被害に遭った人、目撃者のところへ話を聞きに行こう。なにか情報が得られるかもしれない」
ステラに頼んで、被害者と目撃者のリストを作成してもらった。
まだ表立った事件になっていないので、全部で10人ほどだ。
でも、10の情報を一つにまとめれば、それなりに確かなものができあがるだろう。
「あまり時間をかけたくないから、三つのグループに分かれて聞き込みをしよう」
「はいはーいっ、私、レインと一緒がいいな!」
カナデがまっさきに挙手をした。
そんなカナデを見て、ソラとルナが不思議そうな顔になる。
「やけに勢いよく立候補しましたね。なにかあるのでは? と疑ってしまいます」
「そういえば、最近のカナデは、ちょくちょくレインと一緒にいたがるな。我はうらやましいぞ、とやっかんでみる」
「そ、そそそ、そんなことにゃいよ!? 私は、特に何も……えっと、えっと……ただ、レインの力になれたらなあ、って思っているだけで……」
カナデがあたふたと慌てた。
「「あやしい」」
ソラとルナの目が細く、ジト目に変わる。
そんな二人の視線を受けて、さらにカナデが慌てて……
「って、話がそれているからな」
とにかくも、みんなを落ち着かせた。
「グループ分けは、そうだな……俺とカナデ。ソラとルナ。ニーナとティナで」
「結局、いつもの組み合わせやな」
「わたし……がんばる、よ?」
ニーナが小さい拳をぎゅっと握りしめて、気合を入れていた。
「一時間後にここで。大丈夫だとは思うけど、気をつけてな?」
「はい、問題ありません。なにか起きたら、ルナを盾にするので」
「妹シールド!?」
「いって……きます」
「ウチの軽快なトーク、見せてやるでー」
みんなが散らばり、俺とカナデが残される。
「それじゃあ、俺達も行こうか」
「うん、そうだね……あっ」
なにか気がついたような顔をして、カナデが足を止めた。
「……図らずとも、レインと二人きり……こんなチャンス、めったにないよね? よね? な、なら、ここは……せ、攻めるべきじゃないかな!?」
「カナデ?」
「にゃう!? え、えっとぉ……」
カナデはあちこちに視線を飛ばして……
ややあって、なぜか赤い顔をしながらこちらを上目遣いに見る。
「あの、ね……? えっと、そのぉ……手を繋いでもいいかな?」
「うん? 手を?」
はぐれるから……ということなのか?
確かに、今日はそこそこ人が多い。
それに、以前、カナデと街中ではぐれた経験があるんだよな。
「いいよ。ほら」
「い、いいのっ!?」
「なんで驚くんだ? 別にいいさ、それくらい」
「にゃあ♪」
カナデはうれしそうに俺の手を握る。
尻尾が落ち着き無く、左右にふりふりと揺れていた。
「タニアには悪いけど、私、幸せだよぉ♪」
「よくわからないが、行くぞ?」
「うんっ!」
とてもごきげんなカナデと共に、聞き込みに出発した。
――――――――――
……一時間後。
聞き込みが終わり、俺達は元の場所で合流した。
「ソラ達が聞いたところによると、ドラゴンは北の山へ飛び去るのが見えた、ということです」
「わたしたち、も……同じだよ。山の方で……目撃情報が、たくさん……あるの」
「俺達が聞いた話と似ているな。なんでも、山から飛来してくるところを見た人がいるらしい」
それぞれが得た情報を交換して、話をまとめる。
「つまり……タニアの名前を騙るニセモノは、北の山を住処にしている、っていうことか」
「うむ、それで間違いないと思うぞ」
「せやな。他にそれらしい話を聞くことはできなかったし、問題ないと思うで」
特に異論は出てこない。
今のところ、他に手がかりもないし……
北の山を捜索してみる、ということで問題ないか。
「それじゃあ、出発進行ーーーっ!」
「ストップ」
カナデが元気よく言うものの、再び、それに待ったをかける。
「にゃん?」
「山へ行くとなると、準備をしないと。下手したら、数日かかるかもしれないし」
「にゃー……それもそうだね」
「しかし、なるべく早く解決したいのに、さらに時間をとられるなんてもどかしいぞ」
「仕方ありませんよ。ソラ達が無茶をして失敗したら、元も子もありませんからね」
「ん……大丈夫、だよ」
ニーナが、ちょっと得意そうな顔をした。
「準備、なら……もう、終わっているよ?」
「ん? どういうことだ?」
「タニアのニセモノが、山に、いるかもしれないって聞いて……あらかじめ、色々と……買っておいた、の」
ニーナは亜空間収納の入り口を開いた。
軽く中を見てみると、食料や水を始め、登山用具が一通り揃っていた。
「いつの間に……」
「ふふーん。ニーナは、日々、成長しているんやで」
ティナが自分のことのように、誇らしげにした。
よく一緒にいるから、ニーナのことを相棒のように思っているのかもしれない。
仲が良いことはなによりだ。
「あれ? でも、金はどうしたんだ?」
財布は俺が管理しているのだけど……
「……あとでいいよ、って」
「ツケにしたのか……まったく」
後で街の人にお礼を言わないといけないな。
「あう……怒った?」
「いや、そんなことはないさ。ただ、ツケはあまりよくないことだから、こういう非常時以外はしないこと。約束できるな?」
「んっ」
「よし、いい子だ」
ニーナの頭を撫でて……
それから、みんなの方を見る。
「それじゃあ、さっそく出発しようか。タニアを待たせるわけにはいかないからな」
「「「「「おーーーっ!」」」」」
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