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147話 最凶との戦い・4

 ソラとルナは身構えた。

 襲いかかる魔物を迎撃するべく、無詠唱で魔法を……


「ふっ!」


 瞬間、魔物が横に両断された。


 やったのはアクスだ。

 神速の勢いでカタナを抜刀。

 そのまま魔物を切り伏せた。


 速い。


 ソラとルナは遠隔職ではあるが、最強種なので、常人よりも動体視力に優れている。

 それでも、アクスの斬撃を視認することができなかった。

 一陣の風が吹いた。

 そう思った次の瞬間には、魔物が絶命していたのだ。


「しっ! せいっ!」


 抜刀したアクスは、そのまま次々と魔物を切り倒していく。

 いずれも一撃だ。

 また、流れるような動作で、一切の隙がない。


「おぉ……すごいのだ。ちゃらんぽらんな男ではなかったのだな」

「さすが、Aランクですね。ちゃらんぽらんな男ではないのですね」

「そういうことは余所で話してくれないか!? 聞こえてるんだよっ」


 器用に魔物と戦いながら、アクスがツッコミを入れた。


「それはまあ」

「聞こえるように言っているから、当たり前なのだ!」

「あのなっ!」


 怒鳴り声を上げながらも、アクスの動きに乱れはない。

 研ぎ澄まされた刃のごとく、襲いかかる魔物を見事な動きで屠る。


 しかし、敵の数が多い。

 ある程度の知能を有しているらしく、魔物はアクスを取り囲むように展開した。


 それでもアクスは慌てることはない。

 落ち着いたまま、目の前の敵を切り捨てていく。

 なぜそんなことができるのか?

 彼には、頼りになる相棒がいるからだ。


「ふっ!」


 後方にいたセルが弓を引き絞る。

 そして、矢を放つ。


 矢は吸い込まれるようにして、アクスを襲おうとしていた魔物の頭部に刺さる。

 矢は頭部を貫通するほどに深く刺さり、魔物は悲鳴をあげることもできず絶命した。


「グァッ!」


 新しい敵を認識して、魔物達がセルを向いた。

 数匹の魔物が一斉に襲いかかる。


 セルの得物は弓だ。

 遠隔戦闘にこそ真価を発揮するものであって、距離を詰められたらどうしようもない。

 どうしようもないはずなのだけど……


「ふっ! はっ!」


 セルは慌てることなく、自分に向かう魔物に向けて矢を放つ。

 正確無比な射撃に、二匹の魔物が地に沈んだ。


 仲間の死に足を止めることなく、魔物がセルに迫る。

 セルは三本の矢を同時に構えて……放つ!

 矢は意思を持つ鳥のように飛翔して、それぞれ魔物の頭部を貫いた。


 それでも、生き残りの魔物が存在していた。

 仲間を犠牲にすることでセルに肉薄した。


 敵の接近を許してしまうが……

 セルは、それでも慌てることはない。

 弓を棍のように回転させて、魔物を殴りつける。

 そして、怯んだ隙を逃すことなく、ゼロ距離からの射撃。

 セルに襲いかかろうとしていた魔物は全滅した。


「うわ……すごいのだ。どうやれば、あんな動きができるのだ……?」

「この前の超遠距離射撃もすごかったですが……近接戦闘ができる遠隔職なんて、聞いたことがありませんよ……」


 ルナとソラが唖然とした。

 それくらいに、セルの戦いは常識の外にあった。


 そんな戦いを見せつけられて……

 二人は奮起する。


「姉よ! 我らも負けていられないのだっ、いくぞ!」

「ええ、そうですね!」


 アクスやセルに負けていられない。

 やる気をさらに出した二人は、新たな魔法を詠唱した。




――――――――――




「ぬぅんっ!!!」


 アッガスの大剣が唸りをあげてイリスに襲いかかる。

 しかし、イリスは涼しい顔をしたままだ。

 おもちゃの剣を受け止めるような感じで、片手で受け止めてしまう。


 受け止めた手に傷がつくことはない。

 また、圧に体が押されるということもない。


「ちっ、なんなんだこの頑丈さは!?」

「ふふっ、その程度なのかしら?」

「アリオス!」

「わかっている!」


 アッガスは剣を握る手にさらに力を込めた。

 そのまま薙ぎ払うようにして、イリスを吹き飛ばす。


 そうして体勢が崩れたところに、アリオスの魔法が炸裂する。


「ルナティックボルトっ!!!」


 極大の雷撃が降り注いだ。

 まるで、天から巨大な神の拳が落ちてきたみたいだ。


 圧倒的な光がイリスを包み込み、破壊の嵐をもたらす。

 地面が抉れ、周囲の草木が吹き飛ぶ。


 しかし……


「貴様……化物か?」

「ふふふっ」


 イリスは健在だった。

 大したダメージを負っている様子でもなく、笑みを浮かべている。


「そういえば、あなたは勇者でしたのね」

「それがどうした?」

「いえいえ、さすがと思っていたのですよ? わたくしの結界を吹き飛ばすなんて」

「……なに?」

「わたくしは普段は結界を展開しておりまして……その結界は、召喚魔法を応用したもの。異なる次元、時間に語りかける力をベースに、わたくしの周囲の空間を歪曲させるというもの。これにより、普通の攻撃ではわたくしにかすり傷一つつけることはできません。もっとも……限度がありますけどね。今のような攻撃を食らうと結界が耐えきれず、崩壊してしまいます」

「ペラペラと……そのようなことを喋っていいのかい?」

「わたくし、最近になって思うところがありまして」


 ニヤリ、とイリスが凶悪な笑みを浮かべる。


「一方的な殲滅戦はつまらないと思いまして。ああ、いえ。勘違いしないでくださいまし? 人を殺すのは大好きですわ♪ 虐殺ができると思うと、達してしまいそうになりますわ。しかし、しかしですね? あまりに抵抗がないと、それはそれで寂しいというもので……」

「この悪魔め……!」

「ふふっ……せいぜい抵抗してください。そして、わたくしを楽しませてくださいな?」

「お前こそ、僕を裏切った報いを受けてもらうぞ!」


 アリオスは剣を抜いてイリスに斬りかかる。


 結界を破壊されたという言葉にウソはないらしく、イリスは魔力で刃を生成して、アリオスの剣を受け止めた。


「ぐっ!」


 アリオスはイリスを両断しようと全力で立ち向かうものの、刃がこれ以上進んでくれない。

 イリスの魔力刃に阻まれてしまい、ピタリと、そこで拮抗してしまう。


「コイツ、なんて力だ……!」

「ふふっ、伊達に最強種は名乗っていませんわ」

「なら、これはどうだっ!」


 体勢を立て直したアッガスがアリオスに加勢する。


 しかし、イリスは余裕の笑みを崩さない。

 もう一本、魔力刃を生み出して、左右からの剣撃を受け止めてみせた。


「くっ、これでもダメか……!」

「アッガス、もっと力を入れろっ!」

「やっている!」

「くすくす、言い争いをしている場合ではないのでは?」

「なに?」

「わたくし、このような状態でも魔法を使えますからね?」


 イリスは二人の剣を受け止めた状態で呪を紡ぐ。


「来たれ。異界の炎」


 アリオスとアッガスの足元から、黒い炎が立ち上がる。

 それは竜巻のように渦を巻き、二人の体を焼き、吹き飛ばした。


「うおおおおおっ!!!?」

「ぐぅうううううっ!!!」


 二人の悲鳴が重なる。

 そこへ、さらに追撃が放たれた。


「来たれ。滅びの旋風」

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