表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1176/1182

1171話 なにをおかしなことを

 さらにコハネは魔道具を取り出した。


 起動。

 ほぼ同時に、体にかかる妙な負荷が消えた。


 対策は完璧。

 そう言っていたコハネ。

 その言葉に嘘偽りはないし、俺も、欠片も疑ってなんかいない。

 絶対になんとかしてくれる、って信じていた。


 そして今、それが現実になり……


 さあ。

 ここからが反撃の時間だ。


「なに?」


 俺が普通に駆けて炎弾を回避すると、グローヴェインが怪訝そうな声をこぼすのが聞こえた。

 俺が普通に動けることを疑問に思っている様子。


 これで確定だ。


 決闘の最中、イカサマを仕掛けてきたのはグローヴェインの意思であり。

 確信犯だ。


 正々堂々と言っていたが……

 笑わせてくれる。


「貴様、どうして……」

「俺が……いや。俺達がお前のつまらない、くだらない罠に気づかないとでも?」

「なんだと?」

「仕組みはよくわからないけど、相手の力、能力を減衰させる……そんな罠を仕掛けていたんだろう?」

「……」

「だから俺達は、それに対抗する手段を用意しておいた。これが竜族の正々堂々っていうのなら、なかなか笑えるな」

「……」


 軽い嫌味をぶつけてやると、グローヴェインはきょとんとした顔に。

 なにを言っているんだろう? という感じ。


 予想外の反応にこちらが戸惑う。


 なんだろう?

 もしかして……グローヴェインは、罠に関してはなにも知らないのだろうか?

 彼を慕う人は多いようだから、その中の誰かが勝手に罠を仕掛けたのだろうか?


 だとしたら、グローヴェインに非はない。

 ある意味で彼も被害者というわけで……


「なにを当たり前のことを言っている? 一生に関わるような決闘なのだ。どのような手を使ってでも勝つのは当然のことだろう?」

「……」


 今度は俺がきょとんとした。


 ……今、こいつはなんて言った?


「ふむ。罠を仕掛けることが卑怯と言いたい、ということかな? だとしたら、それは甘いと言わざるをえないな。敗者はなにも語ることができない。勝者のみが可能となる。なればこそ、勝利に全てを賭けるのは当たり前だろう?」

「お前は……」


 煽っているわけではなくて。

 嫌味でもなくて。

 本心からの言葉らしい。


 グローヴェインの目を見ればわかる。


 決闘で罠を仕掛けたことを恥じることはなく。

 なにをしても勝利することが正しいと信じて疑っていない。

 それが『当たり前』のことすぎて、なにも疑問を抱いていない。


 ……歪んでいる。


 人間と竜族の間で価値観は違う。

 俺が悪いと思うことを、竜族が正しいと思うことはあるだろう。


 しかし、今回は話は別だ。

 ミルアさんが決闘の不正に憤っているし……

 全ての竜族がグローヴェインを支持しているわけじゃない。


「それが……正しいことだと?」

「決まっているだろう。論ずるまでもないことだ」


 「しかし」と間を挟んで、グローヴェインは続ける。


「嘆かわしいことに、いくらかの同胞も甘い考えを持つ。神聖な決闘を汚すつもりか、と怒りを強く叫ぶ」

「なら、その声を聞くべきじゃないか?」

「必要ないな」


 一蹴してみせた。


「声をあげているのは、大抵、年寄りだ。これまでの時代を作ってきた方々には敬意を払うが……しかし、いつまでもしがみついていられては困るな。これからを作っていくのは私達なのだから」


 なんというか……

 もはや声も出ない。


 この男、自分がやることなすこと、全て正しいと信じて疑っていない様子。


 根にあるのは正義心。

 ただ、さらにその前提にある価値観が大きく歪んでいるため、実際に行われているのは正義からは程遠い。

 独善。

 あるいは暴君だ。


 俺も、俺の全部が正しいなんて思えないし、自覚していないところで色々とやらかしているかもしれないけど……

 ここまで、とは思わない。


「私はタニア殿を手に入れて、この里を束ねて、新しい長となる。そうしなければいけない、そうするべきだ。私は、偉大な血を引く、グローヴェインなのだから」

◇ お知らせ ◇

新作はじめました。

『最強だけどバズりたくない陰キャダンジョン配信者と、放っておけないアイドル配信者』

二人の女の子のダンジョン配信ものです。

よかったら読んでみてください→https://ncode.syosetu.com/n7272lv/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◇◆◇ 新作はじめました ◇◆◇
『最強だけどバズりたくない陰キャダンジョン配信者と、放っておけないアイドル配信者』

――人見知りで陰キャのダンジョン配信者の女の子。
でも実は、敵を瞬殺できる最強!

そんな主人公のところに陽キャのアイドル配信者が現れて・・・?

https://https://ncode.syosetu.com/n7272lv/
― 新着の感想 ―
……どうやらキツイお仕置きが必要のようだな^^ よっこらせっと!!(ソラの料理満漢全席
1.更新ありがとうございます。   グローヴェインが自分の意思でイカサマを使って事が確認できた上に、彼と取り巻きは男塾(魁!!男塾)で再教育すべき案件ですね。幸いにも、ラインハルトは異界に転送されたの…
分かるかまで何度もしつけるしか無いね。テイムして。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ