1155話 頂上決戦
ガァンッ!!!!!
空を裂くかのような轟音が響いた。
俺とミルアさんが真正面から激突した音だ。
ミルアさんは右拳を繰り出して。
俺は千鳥を振り抜いて。
「ぐっ……!」
衝撃が伝わってきて、思わず千鳥を落としてしまいそうになる。
すさまじいな。
ミルアさんとまともに力比べをしたのはこれが初めてだけど、予想以上だ。
「ファイアーボール・マルチショット!」
まともな力勝負では勝てない。
そう判断した俺は後退しつつ、魔法を唱えて火球をばらまいた。
これは牽制。
本命は……
「レインくん、それは悪手だよ? んんんーーーーーっ!」
ミルアさんの口から、ちらりと炎が舞い上がる。
それは一瞬で極大と化して、必殺のドラゴンブレスに……
「あれ?」
ぷすんっ、とミルアさんが煙を吐いた。
不発だ。
で……
俺はそれを待っていた。
再び突撃。
隙だらけのミルアさんに蹴りを叩き込み、吹き飛ばした。
「あれ? 今、なにが起きたのかな?」
「母さんが攻撃に失敗するなんて……」
「おそらくは、主さまはわたくしと契約したことで得た能力を使用したのかと。相手の能力の発動を妨害する……ジャミング。それを利用したことで相手の攻撃を外して隙を作り、同時に心に動揺も与えたのかと」
「自分の契約で得た能力だからか、コハネっちは自慢げに語るっすね」
「コハネ……かわいい」
「えっと……そのような評価をされてしまいますと、さすがに恥ずかしいのですが」
「照れるコハネもかわええなー」
そんな会話が聞こえてくる中もミルアさんとの戦闘は続く。
ミルアさんはすぐに体勢を立て直して、こちらに突貫してきた。
速度はそこまでない。
ただ、圧倒的な力を感じる。
下手に受け止めようとしたら、そのまま潰されてしまうだろう。
ただの突撃が必殺の一撃になるとか、とんでもないな。
改めて竜族の……というか、ミルアさんの力を思い知る。
「物質創造!」
ニーナと契約したことで得た能力で石の壁を作る。
ミルアさんは構わずに突撃して石の壁を粉砕した。
俺も構わず、さらに石の壁を生成。
突撃。
砕く。
突撃。
砕く。
そんな攻防が十回くらい繰り返された後、
「みぎゃ!?」
ゴォンッ! という大きな音と同時にミルアさんの悲鳴が響いた。
よし、成功だ。
石の壁と見せかけて鋼鉄の壁を作っておいた。
ミルアさんも油断していたらしく、鋼鉄の壁を粉砕しつつも自身もけっこう痛かったようだ。
涙目になっていた。
「うぐぐぐ……や、やるね、レインくん」
「今のはミルアさんが油断していたせいだと思いますけどね」
「うー……ちょっとだけだもん。もう油断しないもん!」
ミルアさんは頬を膨らませて、再び突撃してきた。
試しに鋼鉄の壁を作ってみるが、今度は油断していないらしく、力を集中して石の壁と同じように粉砕された。
……やばいな。
鋼鉄の壁を粉砕するだけじゃなくて、今度はまったく速度が衰えていない。
足止めにもならないところにミルアさんが本気を感じた。
「いっくよー!」
「くっ……!?」
ミルアさんの超高速の突撃。
単純ではあるものの、それ故に対処が難しい。
落石をどうやって止めるか? と似たところがある。
「ブースト!」
身体能力を上昇させる魔法を自分にかけた。
そして……
「うぇ!?」
ミルアさんの驚きの声。
「「「えぇ!?」」」
みんなも驚きの声をあげていた。
それもそのはず。
俺がミルアさんの突撃を受け止めていたのだから。




