1147話 里を守る者
途中、ティナとニーナと偶然の再会。
そのまま合流して、一緒に竜族の里へ向かう。
他に大きな事件は起きず。
……まあ、盗賊や魔物が現れたりしたが。
盗賊相手には、カナデ達が暴れて。
魔物相手には、エーデルワイスが大暴れして。
被害を受けることはなく、旅は順調に進んだ。
……エーデルワイスが暴れた際、ちょっとしたクレーターができてしまったのだけど、それは見なかったことにしておく。
帰り道、ちゃんと舗装しておこう。
「はぁ……ふぅ……」
隣を歩くルリは、少し吐息を荒くしていた。
人里から遠く離れた場所。
山に入り、傾斜もだんだんときつくなる。
子供には厳しいだろう。
「ルリ、大丈夫か?」
「……大丈夫」
「やせ我慢はしなくていいからな。ほら」
普段のルリなら間を置かずに答えている。
間があるということは、やはり疲れているのだろう。
強引にルリを背負う。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
もう少し、ルリは子供らしく甘えることを知ってもらいたいのだけど……
まあ、そういうことはおいおい、俺達が教えていけばいいか。
「にゃー……わかるっちゃわかるんだけど、ルリちゃんが羨ましいよ……」
「姉よ、我らも疲れた様子を見せるか?」
「ソラは、実際に疲れています……」
ルナとソラもあまり体力がないんだよな。
とはいえ、俺の背中は一つなわけで……
「ふむ。そういうことなら私が背負ってやろう」
「わたくしの背中もお貸しいたします」
エーデルワイスとコハネがそう申し出た。
相手は魔王と世界の管理者。
とんでもない肩書を持つ二人なのだけど……
「すみません、お願いします……ソラはもうダメダメです……」
「我も、ばたんきゅーなのだ……」
ソラとルナは二人の好意に甘える。
相手が魔王とか、そういうことは関係ない。
それ以前に仲間なのだから、頼り、頼られることは当然だ。
「それにしても……」
竜族の里があるという山を見上げる。
山は高く、途中から雲で覆われていた。
山頂まで、あとどれくらいだろうか?
あるいは、途中に竜族の里があるのだろうか?
先の見えない道。
いつゴールになるかわからない、という状況で進んでいくのは、体力的な問題だけではなくて精神的な問題も大きい。
ショートカットできればいいんだけど、さすがにそんな都合のいいものはないか。
「我が主よ」
ふと、エーデルワイスが言う。
「山を吹き飛ばしてもいいか?」
「いいわけないだろ!? いきなりどうしたんだ!?」
「なに。山頂まで登るのが面倒でな。ならば、中腹を吹き飛ばせば、自然と山頂が近くなるではないか」
「……本気か?」
「? なぜ、このような場で冗談を言う必要がある?」
「そっか……」
おかしいな。
エーデルワイスが、どんどんタニアのように過激なことを考えるようになっている。
今、タニアはいないから影響を受けるはずがないんだけど……
もしかして、他の誰か?
……ルナとか?
いやでも。
魔王であるエーデルワイスが、ここまで気さくに……内容はともかく、色々な考えを広げることはいいことでは?
馴染んできている、って考えてもいいのでは?
うん、そうしよう。
そういうことにしよう。
俺は、自分にそう言い聞かせた。
「もうちょっとだと思うから、がんばろう!」
「「「おーーー!」」」
みんな、気合を入れて足を踏み出した。




