復讐
『アイツまぢできもぃ吐きそ』
『ヲタクな上にネクラとかヤバWW』
『オカルト好きらしいぞ、近寄ったら呪われるから避けとけ(マジレス)』
無料掲示板の書き込みはいつもこんなのばかりだった。
皆、俺の事を汚物を見る様な目で見てきた。
確かにヲタクなのは認める。端から見ればネクラだというのも分からなくはない。
だがオカルト好き、というのは偏見が過ぎる。
俺はその分野に手を突っ込んだ事はない。
まあ、そんな中にも天使、いや女神がいた。
俺を他と同様に扱ってくれて、他の奴らと違って親切にしてくれた。そして何より笑顔が可愛い。
幼馴染という立場にありながら、俺は彼女にアタック出来ず、そのまま中学を卒業してしまった。
俺はサボって市内の中央部にある中レベルの高校に入り、彼女は努力の甲斐あって市内トップクラスの高校に入った。
俺は自分が許せなかった。彼女が好きで好きで仕方ないというのに臆病になって思いを伝えられなかったのだ。
あの時をやり直せたら、とどれだけ思った事か。
思うだけ。何も出来やしなかった。
何か行動に移せるだけの勇気が、俺にはない。
そんな俺が彼女を好きだと言って、もし付き合えたとしても、ましてその後結ばれる事となろうとも、彼女を幸せになど出来ない。
それならばいっそ、俺の代わりに幸せに出来るヤツが彼女を愛し、蜜月を過ごせば良いのだ。
・・・いや、出来るぞ。俺だって幸せに出来る。
もう俺の指はスマホの画面を叩きまくっていた。
書け。幸せになっていく二人を、書くのだ。
俺と彼女の愛情物語を身勝手に、そして気持ち悪いまでに相思相愛に描いていく。
七万字の病んだ愛の羅列を世の片隅へ送り出した後、燃え尽き症候群の様な状態になってしまった。
我ながら気持ち悪い文章でスタートしてしまったものだ。だが、それでいい。
どれだけ気持ち悪かろうと、それは全て現実化し、いずれ自然となっていく。
俺の記憶上書き能力があれば、それすらも可能だ。
次の日、俺は高校が休みという事もあって外出した。
俺は徒歩で国道の辺りまで歩いていく。歩くのは慣れすぎて飽きてしまう程なのだが、今回ばかりは違う。
何せ既に、彼女は俺のモノだから。