三章 七、一番星の瞬く頃に①
読んでくださり、ありがとうございます。
連投の一話目です。二話まで連投します。
足跡を辿り、森の奥へと進めば、微かな剣戟の音が聞こえてきた。それに、セイヤと思しき怒号も。その中に、イザークの悲鳴じみた声も聞こえた気がする。良かった。無事かどうかはさておき、二人共まだ生きている。
そのことに二人で安堵しつつ、声のした方へと急ぐ。
「だから! 俺達は王家の人間に! 手を出して無いって言ってるだろーが!!」
聞こえてくる剣戟の音を掻き消すような声量で、怒りを滲ませたセイヤの怒号が辺りに響き渡る。まだ姿が見えないが、思った以上に二人のところにまで近づいていたようだ。声を頼りに、乱立する木々越しに少し辺りを彷徨えば、それらしき人影を見つけた。俺達は人影の正面ではなく、側面に立つような位置取りだ。
木陰から窺えば、間違いなくセイヤだった。
ただ、予想通り状況はよろしくないようで、怪我を負ったらしく、右腕が不自然にダラリと垂れ下がっており、一向に動かす気配が見えない。動かせる左手だけで大剣を扱い、追手の剣筋を全て受け止め、対峙していた。
他にも、体のあちらこちらに切り傷などが見えて痛々しいが、致命傷は何とか回避したようだ。
今まで激しくやりあっていたためか、息も相当あがっており、肩で息をしている状態だ。白い吐息が、何度も荒く吐き出される。
「本当です! 濡れ衣もよいところです! 無実です! 審判の神、テルマニオに誓って!!」
セイヤの背後でイザークも、涙目になりながらではあるが、必死に弁明をしていた。セイヤが守ったのか、目立つ傷はなかった。
ただ、セイヤが簡易な盾の代わりとして突き立てであろう、もう一本の大剣に身を潜めながら訴えているので、追手の視界と耳に入っているのかは、些か疑問であるが。
対して、白いローブを身にまとった追手達は息一つ上がっていない。
口元を同じく白い布で覆って隠しているのに、それを全く苦にした様子が見受けられないのだ。
しかし、全くの無傷と言うわけではないらしい。所々、軽傷を負っている。それに、四人いた内の一人は、既に戦闘不能にされていたようで、少し離れた位置で倒れていた。どうやら気絶しているだけらしい。格段に良くなった視力で、気絶した追手の詳細が見えた。
外傷による致命傷は見当たらないし、激しい出血の跡も見られない。呼吸も胸の動きも正常だ。ただ、足をひどくやられているようだ。ふくらはぎの辺りが、異様に膨れている。あれはへし折られたな。起きても碌に動けないだろう。
また、履いていたであろう、獣に似せたスキー板がバラバラに砕かれ、気絶した追手の周辺に散乱していた。
さて。この状況でどうするか。
馬鹿正直に乱入しても、隙もなく、息一つ上がっていない手練れ相手では無意味だろう。それに、狙撃手らしき人物の存在も気になる。ただ、狙撃は最初の一発だけで、以降は撃っていない。その点で狙撃手の意図や追手との関係性に色々と疑問が生じるが、まぁ、まだ控えていると考えておけば、滅多なことはないだろう。
二人を見捨てることも選択肢に浮かぶが、 見知らぬ輩に襲撃を受け、それを撃退出来たにも関わらず、セイヤ達を見捨てずに合流することを選んだ甘っちょろい俺が、それを実行出来るかは自信がない。
我ながらままならないと思う。
思わず、ため息がこぼれそうになるが、グッと堪える。
代わりに、背負った矢筒から一本の矢を取り出す。
鏃に即効性の麻痺毒を仕込まれた矢を。
自分が何をしようとしているのかは、理解しているつもりだ。
セイヤ達に味方をしても、碌なことにならないことも分かっている。
それを理解して尚、助けようと思うのは、きっと、自身の甘さに引きずられているからなのだろう。体を作り変え、与えられた知識や経験などにより、性格が少し変わったくらいでは、どうにか出来るものではなかったらしい。
自身の名残が、嬉しいような、情けないような。
それを良心と言い換えられることも出来るだろうが、鈴鹿も巻き込んでいる以上、その言葉を使うことは憚られた。また、俺自身、その感情がそんな上等なものではないと思ったから。
俺は臆病な男だ。そのくせ、変に凝り性で、ほんの少しだけ合理的で、それを無視するような見栄っ張りと甘さがある人間だ。こちらが手を貸さなくとも、何とかなりそうな雰囲気を醸し出していた勇者くん達と違い、明らかに追い詰められているセイヤ達を見捨てたら、きっと俺は死ぬ以上に苦しみ、後悔してしまう。感情と理性が全然追いつかなくて。
だから助けることにした。
他ならぬ、俺自身のために。
「鈴鹿。魔法はまだ使えるか?」
矢を弓につがえ、追手に放つタイミングを見計らいつつ、鈴鹿に問いかければ、首を横に振られた。
「しばらくは使えないわ。使えたとしても、多分、ビー玉程度の大きさの雪玉か水球を幾つか飛ばせる程度だと思う」
自分でも把握しきれていないらしく、首を傾げながら鈴鹿は答えた。
まぁ、そうだろうな。俺もそうだが、鈴鹿も自身の能力を碌に試すことなく、実地で使っているのだ。あまり明確には言えないことの方が多いだろう。
『考えるな、感じろ』
と言う某映画の台詞を地でいっている。これで案外いけてしまうものだから、余計タチが悪い。俺は出来れば、考えてから感じたい派だ。無為になっても構わないから、考える時間が欲しい。
それと、魔法に関してはお互いに予想していた通り、ガス欠状態だそうだ。ここにくるまで魔法を使ってずっと足場を作ってくれていたのだから、まぁ、当然だろうな。道中で本人は平気だと言っていたが、走りながら使っていたため、幾分か疲れも溜まっていることだろう。
「そうか。それじゃあ、イザークを頼んでもいいか?」
出来れば休ませてやりたいが、追手をどうにかしない限りそうも言ってられないので、もう少しだけ頑張ってもらう。すまん、鈴鹿。
「助ければいいの?」
嫌な顔一つしない鈴鹿に申し訳なく思いつつ、その優しさにもう少しだけ甘えさせてもらう。
「助けると言うよりも、俺が矢を射る時に邪魔にならない位置に引っ張って欲しい。今の位置だと、追手が矢を避けた時に真っ先に当たるんだ。イザークが流れ矢を避けられるとも思えない。
それと、セイヤが戦闘に集中出来るよう、そのままイザークの側に控えてやって欲しい。出来れば、どこかにいるであろう、狙撃手への牽制も。無理そうなら、イザークの側で控えてくれるだけで大丈夫だ」
自分で指示しておきながらアレなのだが、抽象的で、面倒な指示だな。もう少しマトモな指示が出せたら良いのだが、今の俺にはこれが限界だ。
「分かったわ。怪我、しないでね」
「あぁ。鈴鹿もな」
本心から、その言葉をかけた。こんなところで、鈴鹿を失いたくないし、死にたくもない。
そんな俺の心情を、鈴鹿はどこまで理解しているのだろうか。屈託なく微笑んだ。
それから、「勿論よ」と一言だけ答えて、足音もなくこの場を離れて行った。
鈴鹿の姿が視界から消えたのを確認し、一所にとどまらない追手達を射るため、また、自身の精神を落ち着けるため、小さく、そして長く息を吐き出し、深呼吸をした。部活の大会前とか、よくやっていたな。
そうすると、周囲の音が消えていき、自身の鼓動の音がよく聞こえた。
追手の一挙一動を見逃さぬよう、視線を追手達に固定する。それに合わせ、カメラのフォーカスのように、視点が調整されていく。人体の素晴らしさを感じずにはいられない。追手がさっきよりも鮮明に見えた。
視線を変えぬまま、限界まで弦を引き絞る。
同時に、僅かな殺気を気取れないように細心の注意を払う。バレてしまっては、意味がない。
集中しないと。
その間にも、視線の先ではセイヤが短剣を使う三人の追手と渡り合っているのが見えた。
片手が動かない中、大剣だけでなく、体術も使い、更には蹴り技まで繰り出している。足元から掬いあげるように大剣を舞わせ、追手の迫り来る刃を滑るように全ていなし、首を目掛けた一閃を躱したのは、見事だった。
何もなければ見惚れてもおかしくない剣舞であるが、文字通り命懸けの剣技だ。セイヤが潰れる前に止めてやりたいところだが、難しいだろうな。
今、下手に矢を放つと、追手に当たらない上、セイヤに当たる。同士討ちは御免だ。ここでセイヤが動けなくなるのは、本気で不味い。
矢を放つタイミングを、じっと待つ以外になかった。
10mもない視界の先で、セイヤ達の剣舞は続く。
三人の追手が一つの生き物のように連携し、セイヤを攻め立てる中、追手を近寄せないその動きは無駄がない。伊達にこちらの世界で、冒険者として生計を立ててきたわけではないようだ。
対する追手も王女から送り込まれただけあって、獣の脚を模した奇妙なスキー板を履いているにも関わらず、その身軽さ、スピードは常人を軽く凌駕していた。
腰に獣の尻尾を下げていることで、さながら人狼を思わせる。
本物の獣の四肢を有しているのではないかと思わせるほど、三人はその奇妙なスキー板と腰から垂れた長い尾を使いこなし、その形状ゆえの癖を長所へと転じさせていた。
また、セイヤへの攻勢を緩めることなく、時折イザークの方へ飛び道具を使い、容赦のない連撃をかける。そうやって、大剣の背後へ隠れたイザークを恐慌状態へ誘おうとしていた。また、その中に致死性の高い攻撃も交えることで、イザークとセイヤ、双方の気力と平常心、それに体力を削いでいった。
まぁ、もうすぐ鈴鹿がイザークを救出( ? )するので、その揺さぶりは無為になるだろうが。
追手の変幻自在な動きに翻弄され、セイヤの動きは徐々に精彩を欠いてきている。慣れていないであろう雪原での戦闘、それも非戦闘員を庇いながらであるため、限界は近そうだ。
無論追手も気付いており、攻勢に勢いが出てきた。一瞬でも気を抜けば、致命傷を負うであろう精度と威力のある剣技を繰り出し、セイヤを更に追い詰めてゆく。セイヤ自身それを自覚しているらしく、表情が険しい。
イザークも、セイヤの表情は見えていないのだろうが、雰囲気から現状が不利に傾いているのを感じ取っているのだろう。祈るように、セイヤを見ていた。俺達に気づいている様子もない。
そんなイザークの様子も視野の端に入れつつ、俺は弓を構え続けているが、どうにも射てそうになかった。
相手に未だ隙が無かったことに加え、武者震いとでも言うのか、興奮して照準を定められなくなったのだ。向こうにバレないよう、そして、剣をとってこの場から飛び出してしまわないよう、自身を抑え込むので必死だった。
どうやら、隙を窺っているうちに、視線の先にある練度の高い戦闘の熱気と殺気に当てられたらしい。どんどん胸のうちが騒めき、己の鼓動が早鳴るのが分かる。俺達を「混じりもん」だと侮蔑した野卑な追手達と対峙した時には、心に何のさざ波も起きなかったと言うのに。
恐らく、対峙する相手に一定以上の強さを感じると、反応してしまうのだろうな。
剣を取ろうと戦慄く体とは裏腹に、まだ冷静さを保つ頭でそんなことを推察する。
断っておくが、俺は強い奴と出くわすと、喜び勇んで戦いに行くような戦闘狂では断じてない。むしろ、温厚な人間だった筈だ。
中学、高校と地道に陸上を続けた目立たない体育会系ではあったが、そんなに血の気は多くなかった。
十中八九、陽子さんから貰った記憶が原因なのだろう。
自分の中に燻り出した凶暴な熱が、あの場所へ立ち、己の持てる全てを以って対峙したい、と囁いてくるのだ。今すぐにでも、あの戦闘の輪に加われ、と。
一体なんの記憶が、俺の心をここまで駆り立てているのだろうか。
狩猟の民の記憶だろうか? いや、騎馬の民か? それとも、南部の民のものだろうか? 心がざわついて、それさえ分からない。
とりあえず、俺には無かった筈のそれらの記憶や知識が、急かすように戦闘の記憶を脳裏に次々に浮かべてくるのだ。熱に浮かされたうわ言のように。
あの場に立つことが「戦士」の誉れだろう、と内側から急き立ててくるのだ。確かに「中澤 道夫」であることを捨て、体を作り変えた。生き残るために。しかし、だからと言って「戦士」にまでなった覚えはない。追手も厄介だが、衝動もこちらで厄介だ。
まさか与えられた記憶に飲まれそうになるとはな。気を張っていないと、俺の中の凶暴な熱が、俺の全てを支配してしまいそうだ。
衝動に任せろと、じわじわとこの身を焦がしていく。
全く。陽子さんを恨む気は微塵もないが、暴走しそうになる、与えられた記憶を使いこなすには、あらゆる面でまだまだ時間と手間がかかりそうだ。やはり他所様の記憶。自分の記憶とするには、生半可な折り合いでは収まってくれそうにない。今後の課題だな。
なんて嘯いて見せるが、実際はかなり際どいところまで理性が追い込まれていくのを感じる。
残った理性を総動員して、衝動と興奮で小刻みに震える身体を無理矢理押さえつけた。ブレてしまった照準をもう一度合わせるため、強張る体を叱咤し、弓を構え直す。息もいつの間にか荒くなっており、獣のそれに近い。
闘争本能と理性が、ギチギチと嫌な音を立てて互いに凌ぎを削っているようだ。本気で勘弁して欲しい。まさか、こんなところで己が一番信用出来ないなんて辛過ぎる。
俺の体は、俺のものだ。
俺の心も、俺のものだ。
与えられた記憶は便利だが、だからと言って、それに全てを委ねる気は毛頭無い。
弓を強く握り、奥歯を噛み締めるように念じれば、幾分か武者震いが収まっていったように思う。おかげで、ブレまくっていた照準がようやくまともに合った。しかし、完全に興奮が収まったわけではないので、油断出来ない。
理性を失わぬよう、矢を放つタイミングを待つ中、唐突にしゃがんでいたイザークがすっ飛び、雪に埋もれた。
今だ!
恐らく鈴鹿が少々荒いが、イザークを移動させたのだろう。
絶好の機会。
限界まで引き絞った弦から、勢い良く矢を放つ。
待ってましたとばかりに、矢は獲物を追い詰める獣のように、鋭い音を立てて空を切った。そして、咄嗟のことで驚き、動きの止まったセイヤにトドメを刺そうとした追手の肩を、深々と射抜いた。
丁度、関節の辺りだ。背中側から打ち込んだので、鏃を抜くのには、中々やり難い部位であろう。
射抜かれた追手がくぐもった呻き声を上げ、それから時間をおかずして、雪に片膝をつける姿が見えた。早速毒が効いているらしく、矢を肩から抜こうとするも、位置が悪いのと、上手く力が入らないのとで、一向に抜ける様子がない。
俺が追手の一人を射抜いたのと同時に、申し合わせたように鈴鹿が木陰から姿を現したことで、追手は幾らか躊躇いを見せた。しかし、鈴鹿がすぐにイザークを庇うように立ち、セイヤに目配せをしたので、すぐに鈴鹿も敵と見なし、ナイフを構え飛びかかろうとした。
「させるか」
そう呟き、もう一度、限界まで弦を引き絞り、矢を連続して放った。
さっきよりも一段と風を切る音が鋭い。
「くっ!」
口惜しそうに慌てて鈴鹿から距離を取ったのは、三人いた追手の中で一番背の低い人物だった。鈴鹿から距離を置く際、先ほど毒矢を肩に受けた仲間を手早く引き寄せ、気絶していた者の近くまで運び込んだ。ただ、毒矢を完全には避け切れず、血の滲む傷口から毒が沁み込んでいるせいで、その動きに先ほどまでの機敏さはない。
残ったもう一人は難なく矢を避け、傷を負った仲間をフォローするように、こちらに警戒しながら後ずさる。
どうやら、セイヤと対峙していた追手達の中で一番の手練れは、この人物のようだ。擦り傷も、よくよく見れば殆ど布一枚で済んでいる。服装が白いから、よく分かる。
それにしても、狙撃手はどこにいるのだろう。セイヤ達と対峙していた追手に、小銃の類の装備はなかった。あの場限りだとは思えないのだが。
そんな俺の疑問に答えるように、パン、と乾いた音がした。
残った一人を射止めようと、弦を引き絞っていた手が、咄嗟に固まる。
想定した以上に近い位置から聞こえて、思わず息を飲んでしまった。この周囲に潜む気配なんて、何一つ感じなかったと言うのに。どれだけ隠密能力が高いんだ、クソが。
そんな驚愕と焦りの混じった感想を抱く中、銃声は止まることなく響く。
いずれの発砲も誰かを狙ったものではなく、合図のように、何度か緩急をつけて打ち上げられた。そして、こちらに向かう足音が聞こえてくる。足音からして一人だが、脅威に値する人物であることには違いない。
間違っても味方の登場とは思えなかった。
現に、追手達がその合図に明確に反応していたから。あれは不意の出来事に対する反応ではない。
このまま隠れながら移動して矢を射掛けるか、それともいっそ姿を見せ、剣で応じるべきか。
どうするか少し迷ったが、結局剣で応じることにした。このまま木陰に潜んでいても、不意打ちを許してくれるようには思えなかった上、また先ほどのように殺気に当てられ、衝動に打ち負けてしまっては目も当てられない。
ならば、最初から剣を取っていた方が、まだマシな気がする。少なくとも、剣を握っていれば、弓をかなぐり捨てるような真似はしないだろう。自分で自分の武器を捨てるとかどうなんだよ、本当に。
戦士と言うより、狂戦士の所業だろう。あまり使い道がなさそうだ。
それに、鈴鹿の側で出来ることをした方が、木陰で潜んでいるよりも、まだ心情的に楽だ。
「おかえり。ラーヴァ」
「ただいま。ファリア」
短いやり取りではあるが、互いの無事を確認して安堵する。
「助かったよ、ありがとう、ラーヴァさん。それにファリアさんも」
「来て下さったんですね。本当にありがとうございます!」
意外だ、と驚きを露わにしつつも、セイヤは俺達の参加を喜んでいる。味方が増えたことで士気も先程に比べ上がっているのか、表情にやわらかさが出ていた。
イザークも顔の青さは流石に消えていないが、それでも、安心からか、幾分かマシな顔色になっている。
「礼はこのゴタゴタが終わってからにしろ」
「はは。そうする」
俺の素っ気ない言葉に気を悪くするでもなく、セイヤは大剣を構え直した。突き刺していた大剣は引き続き、イザークの盾とするつもりらしい。まぁ、片手が使えないんじゃ、二本あっても使えないよな。
鈴鹿のガス欠はまだ収まっていないようなので、引き続きイザークを任せることにした。
追手と引き続き戦闘を行うとすれば、俺と手負いのセイヤの二人がかりになる。
これで事足りる相手であることを、願うばかりだ。
「三番さん以外はやられてしまいましたか。やりますね、皆さん」




