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二章 六、王都の雨と林檎の酒

6月24日

二回目投稿

7月2日 本文を加筆しました。

足りなかった本文中の説明を補ったつもりです。

投稿済みの次話も加筆する予定です。


これ以降の加筆は本編の進み具合に影響が出るためしません。

まだ分かりやすい文章には遠いかもしれませんが、長い目で見守って頂けると幸いです。

 先ほどの小ぶりな雨とは打って変わって、土砂降りの雨が一気に降り出す。

 いくらが心が晴れやかだとは言え、濡れるのは嫌だ。

 それに、これだけ降られてはコートを着ていようが意味がない。慌てて、雨がしのげそうな場所を探す。

 しかし、通りの人間に先を越され、殆どの軒先や、屋根付きの露店が人で埋まっていた。


  これじゃあ、俺達が入る余裕なんて到底ない。


「道夫、あの店に入りましょう。開いているみたいだわ」


  鈴鹿に指差された方を見れば、定食屋らしき看板が吊り下げられた店に人が入っていくのが見えた。確かに、あそこなら入れそうだ。ただ、あの手の場所に入ったら何か注文しないといけない。


  コンビニでトイレを借りたら、何かしらを買ってから出るようなものだ。

  一応、手切れ金として渡された硬貨はマヅドさんにある程度渡してあるとは言え、まだ余裕がある。


  早めに出ようとは思っているが、流石に雨が収まるまで居るくらいの余裕はあっても良いだろう。


 この際すし詰状態になっていようが、構うものか。荒野ならともかく、折角国に居るのだ。屋外でわざわざ雨晒しに遭う気はない。

  鈴鹿を連れ立って、店に入り込む。





  中は予想通り、混雑していた。

  しかし、ラッシュ時の電車やバスほどではなかった。外の軒先の方がまだ混んでいるだろう。やはり、金を取られる所にはあまり人は入らないようだ。

  おかげで、すし詰状態の憂き目には遭わずに済んだ。


  取り敢えず、場末感はあるものの、定食屋らしいので、何か頼んでおくか。本当に軽い軽食を食べただけなので、小腹が空いているし。


 給仕らしい女将や、その娘であろうおさげの少女があちらこちらで注文を聞いて回っている以上、何も頼まないと言う選択肢はない。


「いらっしゃい。何をご注文で? うちは外の屋台屋と違って、一番安くても大銅貨二枚は確実に取るけど平気なの? と言うか、言葉分かる?」


  人混みを難なくすり抜け、栗毛色の髪をした少女は訝しげに尋ねる。

  おそらく、一目で南部の出身だと分かる俺達の容姿を見たせいだろう。フードを被っていたが、遠目ならともかく、こんな至近距離では流石に隠せない。


 少女がこんな風に訝しげな態度を取るのは、この世界の常識から考えれば、致し方のないことだ。


  南部の人間の殆どは、狩猟で生計を立てているため、基本現金を持っていないのだ。持っていたとしても、買い叩きなどに遭い、微々たるもの。一番価値の低い鉄貨や銅貨なら持っていてもおかしくはないが、大銅貨となると持っている者は半々くらいだろう。金貨や銀貨は、まず持っていない。

  実際、俺もマヅドさんに対価として支払ったため、手元に残っていない。


  それが、北部での常識だ。偏見だと言い切れないところが辛い。

  言葉が通じるか、と少女が確認しているのも、北部の常識に起因している。南部と北部では言葉も習慣も大分違うから。


  ただ、少女の言葉は悪意や侮蔑からくるものではなく、場末ながらも、商人としての確認に近い。飯屋で金を払えなさそうな奴に、飯を出すのは手痛い出費だろう。


「これはまだ使えるか?」


  少女の不安を払拭するため、はっきりとした発音で、懐から手持ちの大銅貨を見せる。


  硬貨は百円玉くらいの大きさで、表面に王様らしき男性の横顔、裏面に鋳造された年が彫られている。

  硬貨とか貨幣って、鋳造年とかで価値がブレるから、今のうちに確認しておこう。


  少女は俺から受け取った硬貨を叩いたりして念入りに確認した後、問題無いと答えた。


  良かった。貨幣これがまだ使えて。

  顔には出さなかったか、内心でほっと一息つく。


  戦時中は貨幣の価値が不安定になりやすい。しかも、俺はこの国ではあまり歓迎されていない南部の民だ。金があっても、受け取ってもらえない可能性もあったことに今更ながら気付く。


  これで使えないとか言われたら、店を出ざるを得なかったことだろう。流石にそんな状態で長居出来るほど俺の心は強くない。




  少女に大銅貨五枚を渡し、二人分の温かい飲み物と軽いつまみのセットを頼む。

  これくらいのものなら、南部の人間(俺達)が頼んでも別段おかしくはない。

  その間に、空いてそうな場所に目星をつけ、座る。


  部屋の隅であるため、かなり狭いが贅沢は言っていられない。

  席に着き、濡れて重くなった枯れ草色のコートを脱ぐ。


  鈴鹿の美貌に何人かが反応したが、鈴鹿の小麦色の肌や斑模様のある髪の色、隣にいる似た特徴を持つ俺の姿を見て、皆一様に興味を失い、すぐに視線を逸らした。


  いくら美人でも、蛮族と名高い南部の女はお呼びではないようだ。皆、すぐに店にいた踊り子に声をかける。はっきり言って鈴鹿の方が美人ではあったが、肉付き、特に胸の辺りは向こうがかなり上だった。


  Eカップは手堅くあることだろう。


  陽子さんも鈴鹿も、スレンダーな美人であるため、おそらく精々でBカップ。下手をしたらAカップの可能性さえある。

  しかし、胸は確かに貧乳ではあるが、あの踊り子のように、デカければ良いと言うものではない。


  色気と言うものは、決して肉付きだけで決まるものではないのだ。俺としては、脚線美などに宿ると思っている。



  店の男達の反応に少し腹立たしく思うが、通りのように絡まれる(未遂で終わらせたが)よりはマシなので、何も言わない。



  いつまでもそんなことを思っていても仕方ないので、早々に切り替える。

  やはり内側まで湿っており、服まで濡れていた。道理で気持ち悪い筈だ。

  外のぬるい外気と相まって、気持ち悪さは倍増だ。


「道夫。ちょっと動かないで」


  鈴鹿が手をかざしながら、静止をかける。


  ゴミでもついていたのかと思ったが、鈴鹿が手を横にないだかと思えば、みるみる内に湿った部位が乾わいてくのが分かった。

  おかげで、雨に降られた後だと言うのに、濡れた跡が綺麗に消え去っていた。


「これで濡れた箇所は乾いた筈。どこかに水気が残っているところはある?」


  自分の分とも並行してやっていたらしい。

  見れば、鈴鹿もすっかりと乾いていた。


「いや。問題無い。今のは魔法か?」


  濡れて気持ち悪かっただけに、サッパリと乾いたのは爽快だ。


「えぇ。元々水の中で生きていたからか、水の扱いはかなり上手いみたい」


  自慢しても良さそうなのだが、鈴鹿は特に自慢する気はないらしい。

  勿体無いとは言うまい。鈴鹿にとって、きっと水の扱いと言うのは本当に当たり前だったのだろうから。


  しかし、これは便利だ。

  聞けば、雪でも多少操れるらしい。鈴鹿にとって、雪や雨、嵐と言った水気を多分に含む悪天候の中の方が魔法を使いやすいようだ。


「あの、すみません。お隣良いですか?」


  注文を待つ間、中肉中背の青年が控え目に声をかけてきた。

 風当たりの良くない者と相席を求めるなんて物好きな。一体どんな奴だ?


  歳の頃は二十代前半、と言うところだろうか。体の線は細い、と言うかモヤシだ。荒事に向いている様には到底思えない。少し長い茶色の髪に、眼鏡越しに細目がちな、茶色の瞳が見える。


  顔つきは穏やかなもので、良く言えば誠実そう、悪く言えば気弱そうだった。


  また、連れらしき少年もおり、黒目黒髪で、髪は青年よりも短く、学生のそれに近い。


  肌の色も、青年に比べ色がついており、いかにも日本人と言う風貌をしている。しかし、この世界、案外この手の顔は多い。青年の顔立ちも平たさの目立つアジア系の顔立ちだ。


  この国にはあまりいないが、西の土地にはよくある特徴なのだ。記憶として自然と頭に浮かぶ。


  少年は緩く、それでいて少しやんちゃそうな顔つきをしていた。

  また、その身の丈に合わなそうな大剣を二本、平然と担いでいる。眼鏡モヤシさん( 仮 )の護衛なのかもしれない。


  たまたまこの国に来ている現地(と言ってもこの国ではない外国ではあるが)の人間かもしれないが、新たに召喚された勇者の可能性も否めないので、警戒はしておこう。この国では何かにつけて幸先が良くないから。


  無言で頷き、鈴鹿に詰めて座ってもらい、空いたスペースに移動する。中途半端な大きさの長椅子に俺と鈴鹿、今までの俺が座っていた向かいの椅子に青年達が座る形となった。


「ありがとうございます」


  そうホッとしたような面持ちで礼を述べて、青年はぐっしょりと濡れたコートを脱いだ。かなり防水機能があるのか、コートの下は殆ど濡れていなかった。

  少年もそれに倣う。その動作は、青年に比べ大分雑だ。


  少年の歳の頃は十代後半だろう。少なくとも、二十歳にはなっていない筈だ。


「お待ちどうさま」


  少女の声と共に、煎茶と薬草を混ぜた味のするデラと言うお茶と、蒸した芋が置かれる。どれも一番安い品だが、文句はない。ここで下手に高いもの(と言っても庶民でも注文出来る品だが)を頼んで目立つことを思えば、必要なことだ。


  まぁ、鈴鹿には少し悪いとは思うが。

  この国を出た際には、美味いものを食べさせてやりたい。



  置き終えれば、少女は隣の青年達から注文を聞き、すぐにこの場を去った。かなりの量を注文されていたのに、実に手早い。


「いや、酷い雨でしたね」


  当たり障りのない話を振って、青年が話しかけてきた。


  眼鏡モヤシ( 仮 )こと青年はイザーク。年は今年で二十三。少年はセイヤと言う名で、この前十九になったばかりだそうだ。十六くらいだと思っていたが、外れた。かつて城で見た大学生(当時十八歳)よりも幼く見える。


 二人は行商でこの国に立ち寄ったらしい。


  二人の話を聞いているうちに、イザークはともかく、セイヤと名乗った少年は召喚と言うか、転移者ではないかと言う疑いが濃くなった。と言うか黒だ。



  本人曰く、記憶を無くした状態で森にいたとか。

  知っているぞ、そんな展開で始まるネット小説。


  冒険者としてそこそこ名をあげるなど、これまたお馴染みな展開にツッコミを入れたい心を抑え、話を聞く。


  ちなみに、今はイザークの専属の護衛兼悪友みたいな立ち位置におり、時には商売の口添えもしているらしい。


  その内容に、所々に現代知識の片鱗が窺える。と言っても、使えるものは本当に僅かなようで、大体は現代でしか使えない現代知識なのだが。

  本人は夢物語として茶化したりしているが、同じ現代人の俺には、理解や共感出来る内容も多い。


  確かにネットゲームとかは恋しいよな。気軽に買い物が出来ることも。俺は美術館が恋しい。


「で、俺がジエイオルのギルドで浮いちゃった時に助けられて以来、一緒に色んなとこを回っているんだ。もう三年は続いているか? 意外といけるもんで、驚いたよな」


「それは確かに。

  最初の頃は三ヶ月も保てば良いくらいしか思っていなかったのに、いつの間にかズルズルと長い付き合いになりましたよね」


  注文した料理に手をつけながら、二人はよく喋る。

  二人とも外国人であるため、この国では肩身が少し狭かったらしい。二人は同じ北部の住人なのに、そんなことがあるのか。これは初めて知った。


  セイヤは、その鬱憤を晴らすようによく喋る。側に鈴鹿びじんがいるのも、饒舌の原因であるようだ。この手の好意は悪い気はしない。我がことのように、少しだけ嬉しくなる。


  セイヤは思い出した度に色々な話をするので、話がよく脱線した。

  イザークが補足をしたり話を戻したりしてくれるおかげで聞きやすいが、これがセイヤだけだったらおじさんにはちょっと辛かったろうな。




  若者のトークは早い。とにかく早い。あと半分はノリだ。若さで話しているよな、きっと。


  俺も学や藤也と話していた時は、きっとこんな感じだったのだろうな。バカなことを話して、それに対するツッコミも無いまま、またバカなことを話す。それの連続だ。


  セイヤの話ぶりはその時のことを思い起こされ、懐かしさとかつての楽しさが何処からともなく湧いてくる。そして、程よくツッコミを入れるイザークに旧友の姿が蘇る。


  思い出とは、やはり良いものだ。

 渋みのあるデラを飲みながら、そんな感慨に耽る。


  だが、警戒を解くにはまだ早い。一度目はそれで王女に刺客を送られてしまったのだから。



  そんなことを思いながら鈴鹿と共に様子を窺う。どうやら、セイヤはこの国で召喚されたわけでも、他国で召喚されたわけでもないようだ。また、この国に召喚された勇者がいるのは知っているらしいが、つるむ気は毛頭ないとのこと。


「この国の連中ってさ、身分が高い程外国の奴らを下に見てくるんだよな。それが気に食わねぇ。平民でも見下す奴がいるし。

  同じ北部の人間なのにさぁ。本当鼻もちならないよな。ったく、そういうところは上も下も変わらねーし。


  ラーヴァさん達だってそうだろう? むしろ、西の出身の俺らより苦労してるんじゃねぇ?


  南部の人間なんて、この国じゃ特に風当たり強いし。しかもファリアさんみたいな美人だって連れているしよ、もう絡まれたりしてるんじゃない?」


  林檎酒を片手に愚痴を零しながらも、こちらを気遣うセイヤに、好感が持てる。

  確かに、通りでは絡まれそうになったし、店の給仕にも金を払えるのか、と怪訝にされたからな。


  ちなみに、ラーヴァと言うのは俺の「道夫」と言う名を、南部の読み方で発音した名前だ。鈴鹿も同様に南部の読み方で言ったのがファリアと言う名だ。



  あと、地理についても簡単に説明しておけば、この大陸はジーヴァ山脈で大まかに北部と南部に分断される。南部の説明はここでは省くが、この北部では民族などの違いで更に東西南北で区分けされている。と言っても、実際は地形的要因が区分の目安ではあるが。


  ここルクセリアは東を代表する大国の一つで、『魔王』とはルクセリアと覇権を争うもう一つの東の雄、ルドべリア王国国王のことである。

  この二カ国はアメリカの五大湖と同様に国境を接している、リオル三大湖の領有権や商圏、国境など数えればキリがない事柄で常に諍いが絶えない。


  ルクセリアとは元は同じ王家であったが、何百年も前に袂を分かって以来、事ある毎に衝突している間柄だ。地球で言えば、イギリスとフランスに近い間柄かもしれない。




  セイヤを警戒しているため、こちらの口数は決して多くはなかったし、鈴鹿に至っては人馴れしていないためか始終無言であったが、有難いことにそれを不快に思うようなことはなかったらしい。

  しかし、酔いは回っているようで、セイヤの愚痴はヒートアップしていた。


「この国のお偉いさんは軒並み気に食わねーが、中でもあの客将の勇者共がいけ好かねぇ」


  その時のことを思い出したのか、セイヤの顔が歪む。


  「何なんだよ、あの上から目線!

  お前らも所詮は客将なんだし、外部の人間じゃねーか!


  演習でちょーっとこっちの軍勢をのしたからって、良い気になってもらっちゃ困るっつーの! 確かに個人戦ではちょーっと差をつけられちまったけどさ!

  団体戦でもちょーっと負けちゃったけどな!


  でも、負けたのとかワザとだし! 負け惜しみでも何でもないし! 手の内完全に見せないためだし!


  そもそも、傭兵とか冒険者がそんなに珍しかってんだよ、あのクソイケメン共め! ルクセリアみたいに正規軍ばっか揃えられると思うなよ、ウ●コめ!


  てか、なんなの、あのハーレム! 美人に巨乳、ロリに清楚、選り取り見取りで揃えやがって! あてつけか、クソ野郎め! 男のロマンを地でやりやがって! なんでそこに年上のエロい爆乳のお姉さん入れなかったんだ、どアホ共め! 足りねーだろうが!


  つか、見た目があんだけ良けりゃあ、そりゃあ女にもモテるわな! モッテモテだろうよ! 女王様の信頼だってそりゃあ、厚いだろうよ! でもよ、あんな美人高嶺の花だし! 絶対なんかあるし! きっとドス黒い裏面で一杯だろうよ!


  出来れば淫乱な方で真っ黒が良いな! あのたわわなおっぽいを、存分に有効活用する形でさ!


  そんで俺みたいな容姿は平凡だけど野趣溢れる男とめくるめく夜を! 過ごしていれば良いんだ! バッチこいや、ナイスビッチ!


  そもそも、ハーレムを演習に持って来てんじゃねーぞコラァ!! 戦に関係ねーだろうが!」


  アルコールの殆どない林檎酒で、随分とまぁ酔ってる様だ。牛乳で割ったりしていたので、量もそんなには飲んでいない筈だが、セイヤは酒に弱いのだろう。


  うん。セイヤは違う。直感に近い何かがそう告げる。


  鈴鹿の方を見れば、初めての人との対話(と言っても聞くばかりだが)や反応に興味深々なのか、じっと二人の様子を見ていた。表情はあまり変わらないように見えるだろうが、雰囲気から実に楽しげな様子が伝わる。


  ただ、やはり初めての対面なので、まだ話しかけるほど勇気も余裕もないらしい。


  観察はまだ鈴鹿には荷が重かったか。


  もう少し慣れさせてあげれば良かったな。俺とは普通に話せていたから、出来るものかと思っていた。


  内心で苦笑しながら鈴鹿を見るが、せっかく本人が楽しんでいるところに水を差すのも悪いので、好きにさせることにした。あとで感想でも聞いてやるか。



  さて、話を戻すか。


  確かにセイヤの顔面偏差値では、召喚された勇者組には敵わないだろう。不細工ではないが、決して美丈夫、と言うわけでもない。勇者くん達とは、天と地ほどの差がある。まぁ、良い女でも見つけてくれ。


  頭の方は、どうだろう。でも、セイヤもあの場にいたら真っ先に雰囲気に染まりそうだから、似たようなものか。



  セイヤ達の話を聞くが、やはり、二人は本当にこの国とは無関係そうだ。


  最終的にはセイヤが酔い潰れ、イザークとの会話で判断したが。

  イザークは天気が回復次第この国を出る旨を小声で話してくれた。


「こう言ってはアレなのでしょうけど、この国は大分キナ臭くなってきましたからね。まぁ、どうせいつも通りお隣とドンパチするのでしょうけど。

  その間、私のようなしがない行商はしばらくはこの国への出入りは控えるでしょうね。巻き込まれたらたまったものではありませんし。


  特需を狙って逆に出入りを増やす商人も多いですが、私には得るものはありませんからね。


  ところで、お二人は南部のご出身ですよね?」


「…」


  無言で頷き、肯定する。何が言質に取られるか分からないから、少し黙っているくらいで丁度良いだろう。


「僕達を南部まで案内してくれませんか?」


誤字訂正

誤字…伺う 正…窺う

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