偶像崇拝
それは崇める対象でしかなかった。
信者達にとっては、その存在こそが全てだった。
自身の想いをぶちまける…そんな対象
信じる者が必ず救われ、善行を成した者が良い思いをする。
そんな世迷いごとを本気で信じている者は信者達の中にはいない。
それでも信者は祈らずにはいられなかった。
何かに縋っていたかっただけなのかもしれない。
積もりに積もった想いと言う名の欲望。
行き場を失い集められた信者の欲望。
醜く膨れ上がった欲望。
ただただ撒き散らされるだけの欲望。
信者達にとっての神は確かにそこにいた。
何を成すわけでもない。
ただ存在するだけの神。
果てのない欲望をただ一身に受け入れるだけの存在。
ただ信者にとっての偶像で有り続けた存在。
決して愛されていたわけではない。
どれだけ長い時間を経てもそれは変わらない。
信者が崇めるは信者にとって都合の良い神。
全てを許容し、認め、慈しむ…そんな神。
信者はただ祈る。
何も成さず、ただそこに在るだけの神に祈る。
嗚呼、偶像崇拝