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第1話

唐突にこんな作品が書いてみたかった!

という作品です。

設定矛盾や細かいことは突っ込まれて対応出来ません。

そういうやつだとゆる~く雰囲気で愉しんで頂けると幸いです。



「はぁ……」


 部屋の中にいた美少女は、思わずため息を吐く。

 長く美しい黒髪。

 三つ編みの編み込みもあり、決して見た目に手を抜いている様子もない。

 まだ21歳という年齢もあって瑞々しい肌、年齢よりも若く見える容姿。

 何よりかつて『美少女アイドル』と言われていた頃の見た目を完全に維持していた。


 しかし、そんな彼女は今……追い詰められつつあった。

 かつては美少女アイドルとしてそれなりの人気を得ていた芸能生活だった。

 そんな中で偶然出会った夫のイケメンさ加減に一目惚れをして、何も考えずに結婚。


『キミを支えるよ』


 そう言って専業主夫になった夫。

 それ自体に不満がある訳ではない。

 実際、美味しい食事を作ってくれるし、部屋の掃除も完璧。

 記念日には何か仕事をしてきたのか、決して高くはないがプレゼントを用意してくれる。

 何よりイケメンだ。

 圧倒的イケメンなのだ。

 私の好みぴったり。


 でも現実というものは残酷だ。

 悠々自適なヒモな専業主夫生活を送っている夫とは違い、私は仕事が減っていくことで焦っていた。

 結婚して既婚者になった影響が無い訳でもないが、人気の低迷と共に事務所がリソースを削ってきたために更に加速度的に人気が落ち込んだ。

 人材も馴染みのマネージャーしかおらず、新曲なども自らの伝手もしくは自力でという投げ槍さ加減。

 これでは収入も……と疲れと陰りが見え始めた。


 姉のように思っているマネージャーからも『厳しい』と言われてしまっている。

 なので去年から配信業にも手を出しているが、こちらもあまり良くない。

 決して数字が悪いという訳ではないが、バズることもない。

 今足りないのは、バズれる話題性。

 極端な話、武器になるような新曲なのだ。

 そう思って自分でも何度も作詞作曲に挑戦してみたものの、納得がいくものが出来ない。

 今日も自室で配信を終え、無意識にため息を吐く。

 特に予定も無かったため、部屋から出て気づく。

 そう言えば夫は、買い物に行くと言っていた。


 何気なく家の中をウロウロとして、夫のお気に入りである屋上のルーフバルコニーへと足を向けた。

 そこにはいつものサマーベッドと小さなテーブル。

 いつもと違うのは、そのテーブルに紙が数枚置いてあったことだ。

 そして周囲には無造作に投げられたと思われる大量の紙飛行機。


『あの人は、何をやってるのよ』


 と、最近の思い通りにいかない気持ちが溢れ出て、思わず夫のこの遊びのような行動に怒りを感じる。

 まるで三歳児が散らかしたかのような光景に、またもため息を吐きながら、見てしまった以上は仕方なく片付ける。

 夫が帰ってきたらどう怒ってやろうかと思いながら頬を膨らませながら紙飛行機を拾い続ける。

 そんな時、ふと紙飛行機に何か文字が書いてあることに気づいた。

 何だろうと思って紙飛行機を解体してみると、それは何かの詩のようなものだった。

 スグにハッとして他の紙飛行機を見ても、やはり何かの詩のようなものが書かれている。

 それらを数秒見つめて……私は急いで他の紙飛行機もかき集めて広げる。

 するとよく見れば番号が書かれていた。

 その番号通りに並べると―――


 私はあまりのことに声が出なかった。

 それは歌の歌詞だった。

 しかもあまりにも完成度の高い、それこそ私の人生で出会ったことがないレベルのものだ。

 何度も何度もその歌詞を読み返す。

 自分だってプロの歌い手だ。

 これがどれだけのものかなんてスグに理解出来た。

 更に衝撃的なのは、この歌詞はまるで青空を飛ぶ紙飛行機を連想させるのだ。

 つまり歌詞がそのまま紙飛行機になっていたのは―――


 しばらくじっとそれを見てから、スグにハッとして紙の束を掴んだまま自室へと走る。

 そしてPCを立ち上げると、手の中にある歌詞を検索にかける。


『―――やっぱり』


 わたしの予想通り、検索には引っかからなかった。

 つまりこれは『オリジナル曲』ということになる。


 ガチャ


 私の思考を遮るように玄関ドアの音と共に、呑気な夫の声が聞こえてきた。


「ただいま~」


 私はスグに夫の―――『水野(みずの) 和樹(かずき)』の前に立って、例の紙束を突きつけた。





*誤字脱字などは感想もしくは修正機能からお知らせ頂けると幸いです。

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