19話 見た目で評価されても・・・
オスラ家の問題が解決し、窓辺でお茶を嗜む、ヘル。
あの毒草が、現世の花と似ていたから、根だけに毒があると思ったんだけど…
前世の記憶と、本に内容が偽だったら、死んでいたよね?
飲む前に、毒味が必要だったな~
まぁ、無事だったから、良いっか!
それにしても、このお茶…
「苦い・・・」
「ヘル様!」
護衛騎士のクラストが、ノックもせず、部屋に入って来る。
はぁ~
人が優越感に浸っているところに…
オスラ叔父さん達が、二人の世界に入っていたから、窓辺に逃げたのに!
騎士の脳内だと、一人、黄昏てたと思われてる?
めっちゃ、恥ずかしいじゃん!
「・・・な~に~?」
動揺を隠しきれず、気持ち悪い返事を返す、ヘル。
「至急、王の元へ」
「王の身に何かあったのか⁉」
王の元へ?
もしかして、この騎士…王の駒!
だとすると、部屋に閉じ込めた事も、王の耳に入って…
わざわざ呼び出して、説教?
王も相当、暇なんだな~
気の進まないヘルは、王の待つ部屋へと向かう。
「お待ちください」
王の部屋の手前で、王宮を警備する兵士に、止められた。
「どけ!急いでいるんだ」
ヘルとクラストを睨む、兵士。
「お二人は、結構です。ですが…」
「ランベイル・オスラ!貴様を拘束する」
兵士が、ランベイルを抑えつける。
「オスラ叔父さん…」
えええ!
子供のことで、あんなに泣いてたのに、叔父さんも悪い事してたんだね。
「何をする!やめろ、私は無実だ!」
「・・・ヘル様。行きましょう」
「でも…」
部屋に閉じ込めた事、全部、叔父さんのせいにするつもりだったのに!
どうしよう…助けようかな?
現在と未来のお叱りを天秤にかけたヘルは、ランベイルを置き去りにした。
「ヘル様~!」
「王様。ヘル様を連れて参りました」
「うむ。通せ…」
こっそりと扉を開け、外から中が見られない様、警戒して部屋へ入る。
「ヘルよ、見事であった」
歓迎する王は、?を浮かべるヘルの頭を撫でた。
「今日、おまえの眼は、本物だと証明された」
「はい?」
まさか、光の球体の件も、ばれた!
証拠は、何も残していないはずなのに、どうして?
「ご、ごめんなさい。父上…」
ヘルは、5歳児の可愛さを、全力で発揮し、見事な上目遣いで謝る。
「おまえのおかげで、皆が、命を救われたのだぞ。なぜ謝る?」
王の手が、ヘルの頭を、更に強く撫でる。
「絵画の細工を見抜き、それを父に伝えようと、あの手形を残したのだろ?」
「絵画?って何?」
全く身に覚えのない事に、首を傾げる、ヘル。




