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操り人形の王  作者: 真知コまち


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17/20

17話 計りたい!


後日~

 扉の前で、支度をするヘルを待つ、クラスト。  


 今日から、ランベイルが、ヘル様の教育係となった。

 やはり、ランベイルの影響力は、計り知れない。

 

 「行ってきま~す」

  

「はい。お供します」

 

 ヘルに付き添い、ランベイルの部屋へと向かう。



 扉の前には、腕いっぱいに本を抱えたランベイルが、立って居た。


  「ああ、早かったな。悪いが、扉を開けるの手伝ってくれないか」


 「…子供だから、背が届かないな~」


 あの本の山は、見せかけだな。 

 私を部屋の前に待機させておき、窓から二人で抜け出すつもり…

「では、私が」


 ランベイルに招かれ、部屋に入る、クラスト。


  「その机に、本を置いてくれ」


「はい。失礼いたします」

 まあ、外で何か起きようと、私の責任では無いし、ここは策に乗ってやろう。


 ガチャ。


「は?」


 机に本を置いたクラストが振り返ると、扉が閉まり、鍵を掛けられていた。


 私を部屋に閉じ込めた?

 しかし部屋には窓が…

 まさか、窓が開かない様に細工を!


 クラストは、机の奥にある窓を開く。


「開いた?」

 もしや、これは…

 私もうごけという、ヘル様からのメッセージ!


「私の正体も、見破っておられたとは…天才(ヘル)様は、計り知れないな」



 ヘルの望み通り?窓から外へ出て、魔法で会話を盗み聞く、クラスト。


 「おい、聞いたか」

  「何をだよ?」

 「王女暗殺を謀った、アルバート家の話だよ」

  「息子の不祥事で、一族皆殺しだってな」

 「勿体ないよな。せっかく、騎士の時代が、巡って来たのに」


「やはり、騎士派に権力が集中しているせいで、勘違いを…」

「この国は、王のものだというのに!」


 「ははは、あははは」


 笑い声が聞こえ、警戒するクラストは、物陰に身を隠す。

「あれは…」


ピカッ。

 突然、天を降らす曇り空が輝くる。


 クラストが驚き見上げた空には、大きな光の球体が、王宮を照らしていた。

「何だ、あれは・・・いや、王が危ない!」


 空を見上げる人々を避け、玉座へと走る、クラスト。


「王様!」

 勢いよく扉を開け、部屋に入るが、王の姿は無い。


「執務室か…」

 再び走り出し、書類が蔓延る王の自室へと向かう。

 

「王様、ご無事ですか!」

 

  掃除もようがえをしていた執事と共に、窓を見ていた王が、クラストの声に振り返る。

 「ああ…クラストか。あれは、何だ?」


「私にも分かりません。王の身の周りで、何か変わったことが?」


 「いや、何も無いぞ」


 一度、息を吐き、心を落ち着かせる、二人。


 「ヘルの護衛は、どうした?」

 

「ラ、ランベイル様が、護衛を…」

 不測の事態に、思わず急いで来たが、ミスだったな…

 おそらく、ヘル様は、部屋に居ない。

 今、王を、ランベイルの所へ行かせてはいけない!


「王。素敵なお部屋ですね…」


 「あ、ああ。今丁度、模様替え中でな…」

  散らかった部屋の片付けを、模様替えだと誤魔化す、王。


 部屋を見渡したクラストは、手形が付いた絵画に、目をつけた。

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