エピローグ
結局、黒幕は学園理事の一人で、大貴族の老紳士だった。
その財力と政治力を操り、王家や貴族社会の隙を突いて暗躍していた。彼が暗躍できるほどに、この世界は隙が多いということだ。
たぶんそれはほんの小さなきっかけで人の心を暗闇にして占領する。誰にでも闇はあるんだろう。だけど、その暗闇に、心を支配されちゃいけないんだと思う。
私は立ち上がり、夕焼けに染まる中庭へ歩を進める。
隣にはいつのまにかシリルがいて、何かを言いたそうに視線を寄こしている。向こうではレオンハルトが腕を組み、ユリウスが微笑ましげに声をかけ、エドガーが無表情に近づいてくる。
闇堕ち王子たちと呼ばれていた彼らも、今はもう違う。
私たちは力を合わせ、学園を救い、そしてこれからの再建を支える仲間になろうとしている。
私たちは、黒幕の支配から解放された学園を再生させるため、再び歩み始める。かつての傷や痛みは消えないかもしれない。それでも、魔法だけが全てじゃない世界を示すために、私の奮闘は続いていく。
――そして、闇堕ち王子たちとの複雑な愛の行方も、これからゆっくり形を変えていくのだろう。学園には、まだ多くのドラマが待ち受けている。
どんな壁が立ちはだかっても、もう私は立ち止まらない。
「大丈夫、私は諦めないから」
あの激闘の最中、私は聖女としての力を目覚めさせ、学園の闇を払った。
それこそが、私に課せられた運命なのだと思う。だからこそ、これからも学園とともに成長していくつもりだ。
闇を越えた先にある光を信じて、私は笑みを浮かべる。
壊れかけた石畳を踏みしめながら、王子たちと一緒に、まだ見ぬ未来へ向かって歩んでいく。
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