はじめてのぼうけん
冬の童話2025投稿用。
ちいさいけど大冒険が始まる所までです。
なお本文中は童話って事で、絵本並にルビ振りに全力です。
その日、人生で一番の激震が走った。
「たっくん、川の所にある卵屋さんに、卵Mサイズ2パックと唐揚げ200グラムを買って来てくれないかな?」
たっくん、齢4歳にて人生で初めてのおつかいである。
「買った物を入れるリュックと、そのリュックにお財布と買い物のメモが入ってるから、卵屋さんに見せてね」
お母さんからの言葉は続く。
「卵屋さんの場所は覚えているよね? 一緒に手を繋いで何度も行ったもんね?」
まだ幼い子供が一人でおつかいに出る。
それを心配しない親はいない。
まだまだ幼く、色々なものに興味が向いて、目的を忘れたり不注意で事故にあったり。
とにかく子供一人におつかいさせるには、危険がたくさんなのだ。
でもそれは、子供にとってかけがえのない経験になる。
一人でできた事は成功体験になり、うまくできたと褒められる事は心の成長に繋がる。
親としてはまだ早いと思いたくなるが、4歳なら幼稚園に入れる。
その位の年齢なのだから、近場で簡単なおつかいならこなせるだろう。
そう信じて送り出すのだ。
「かわの、たまごや。 たまご、えむ、ふたつ。 からあげ、にひゃく」
子供が指を折りながら口に出して復習する。
「そうそう。 卵屋さんはすぐそこにあるからね。 川にぶつかったら、右に曲がったらすぐの所にあるからね」
「うん!!」
「お店についたら、リュックを渡してメモとお財布が入ってるって言うんだよ」
「うん!」
「足元に気をつけてね」
「うん」
「ころぶと痛いからね」
「しつこい」
拒絶されて悲しい顔をするお母さん。
だがそれは仕方ない。
母からすれば心から心配するからこその念押しだが、たっくんからすればもう出かける気になっているのを引き止められているし、なによりおつかいの成功を信じてくれていないことになる。
「いってきます」
「転ばないように気を付けてね? 車がこわいから、道は端っこを通るのよ?」
「ん!!」
しつこいと言ってもまだ言ってくる母を「ん!!」のひとことで断ち切って、たっくんがおつかいに出る。
「気を付けてねーー!!」
「しつこいっ!!」
このあと、より道したり転んだりしながらお店について、注文内容を忘れたけど店員のナイス誘導でリュック内の注文メモを見つけて買い物を済ませました。
帰りに少し休憩したりもう一度転んだりして、買った卵の様子が心配されたが、店員さんが一枚上手。
リュックに詰め物して、その詰め物で卵とかを包んでくれていて、無事に買い物が成功しました。
ってのを書こうとしましたが、体力の限界。 気力もなくなり、ここまでで失礼させて頂きます。