薄れ行く意識の中で
そのとき私は暖かな光に包まれていた。
そこは真っ白で。
でも何故か落ち着く場所だった。
なんだろう。
声が聞こえる。
「頼む。助けてくれ!!」
『んん~、でもなぁ・・・』
「俺は助けてくれただろう!?」
『君は~特殊なケースでぇ・・・』
「頼むっ!!あの子が助かるなら、何でもする!!だから、だからっ・・・!!」
なんだか、1人は切迫した、もう1人はどこか眠たそうな間延びした不思議な声。
『ん~、僕だってぇ、助けたいけど・・・どうやったらいいかわかんないんだよ~』
「そんなっ・・・」
『ん~・・・どぉしよーー』
「何か、何かないのか!!?」
『あーあー、揺らさないで~。眠くなっちゃう~』
「頼むっ!・・・お願いだっ!!誰か、誰か・・・あの子を・・・!!」
悲痛な声に私まで悲しくなる。
悲しまないで。
私は何とかその人に伝えたかった。
悲しまないで、と。
そうしていると、また1人、不思議な声が加わってくる。
『トキの!』
『あれ~?何でここにいるの~?世界違うよね~?』
「・・・誰だ?」
突然の侵入者に驚いていたが、無視されてしまう。
『ああ、トキの。良くここにいてくれた!』
『ね~?その僕の名前に’の’つけるのやめてくれない~?君が僕のこと’トキの’って呼ぶから、おちびちゃん達が、まねして’トキの’ってよぶんだよ~?・・・・あー・・・眠い・・・ぐー』
『寝るな!!起きろ!!そして今すぐ乙女に入れ!!』
『ぐー』
「・・・入る?」
『トキの!ちんたらしている暇はない!我が世界を繋げているうちに早く入れ!手遅れになったらどうするのだ!?』
『わー。揺らさないで~。わかったからー。でも、入ってどうするの~?』
『自分の力を忘れたのか?』
『力~?』
「力・・・」
なんだか意識が遠のいていく・・・
声がおぼろげにしか聞こえない。
あの人は、もう悲しんでいないかな?
『トキの。そなたは、’時’だろう』
白くて何も見えないのに、怖くない。
さっきまで怖かったのに、何に怖がっていたのだろう?
何も思い出せない。
・・・そうだ、兄上は?
集落を見に行ってから戻ってきていない。
「迎えに来る」って言われたから、ちゃんと待ってるよ。
後で、えらいなって褒めてもらえるように、ちゃんといい子で待ってる。
兄上、よしよしって頭、撫でてくれるかなぁ・・・。
なんだかふわふわする。
じわーって、体が暖まってきた。
温かいなぁ・・・。
まるで、兄上に抱っこされてるみたい。
兄上、いい子にして待ってるから、早く迎えに来てね。
そして私を抱きしめて、「ただいま」って言って、笑って。
私の一番好きな、兄上のとっびきりの笑顔で。
私、「おかえりなさい」って言って、兄上が可愛いっていつも言ってくれる笑顔で笑うよ。
そして、一緒に家に帰ろう。
兄上、早く迎えに来てくれないかなぁ・・・・。
目の前が光と闇に包まれて、浮遊感を感じた。
いきなりの感覚に声が抑えられなかった。
「にゃあああああああああああああああーーーーーー!!!!!」
墜落していた。
すいません。ネタばれ。
実はこれ、ムーンライトノベルズの「いつかその瞳の中に・・・」の番外編だったりします。
こっちから読むとかなりネタばれなのです。
もしよければ本編もよろしくお願いしますー!!