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ちりつもる

作者: 小池ともか

蝕むように 染み込んでいく

数多の疲れも

労るように 満ちて広がる

些細な幸せも


砂を噛むような毎日でも

日々の残滓は溜まりゆく

埋まりそうになる足元を

()かす陽射しも降り注ぎ


雪降るように 塵積もる

やがて形を成すように



諦めの先 視線逸らした

叶わぬ願いも

抱えきれずに 手から離れて

零れた喜びも


希求を何度も呑み込んで

吐き出せぬまま募りゆく

押し込め詰まった心から

芽吹き花咲き舞い上がり


重なるように 散り積もる

やがて日々を為すように



内に積もり溜まるもの

芽吹き咲かせた想い花

届かぬうちに(ほど)け散り

花弁(はなびら)積もるは()が為に



触れても()けぬ 粉雪のよう

この身に沈んで

目に見えずとも 重なる気持ち

内から溢れ落ち


溜まり募って ちりつもる

やがて想いを()すように


今は音なく ちりつもる

いつか言葉となるように




それでも心に積もるのは

ただ有難うの気持ちだけ


いつか芽吹いたこの花を

あなたに届けられるよう


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― 新着の感想 ―
[一言]  層となるまで積もるにも、ぴっちり積もるわけではなく。  そこに空気を含んで、積もるのですよね。  ひとつひとつの粒子に込められたものだけでなく、あいだに含まれた空気に吹き込まれた想いも。 …
[良い点] ラストの「今は音なく ちりつもる いつか言葉となるように」が好きです。一つ一つはささやかでも、日々のちょっとした積み重ねが思わぬものへと化ける瞬間は、一種の爽快感すらありますよね。
[良い点] とても奥の深い詩でした。 「ちりつもる」とタイトルをつけられたのが素晴らしいと思いました。積重なっていくという本来の主旨、そして塵も積もりますし、「散」っていく物事もありますし、つのるもの…
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