おたくは世界を救えるか
おたくは世界を救えるか
おたく文化とは、1980年代に評論家の中森明夫氏が命名した日本のサブカルチャーの一つである。KAWAII系や、ロボットアニメなどのアニメ系、SF系などがあるが、最近それらおたく文化が、思いもかけないところで役にたっている例があり、それを紹介したいと思います。
まずKAWAII系が戦争に影響を与えた事件は、実に紀元前にさかのぼる。紀元前525年にペルシアとエジプトの戦いで、ペルシア軍がエジプトでは神聖とされる猫を盾にくくりつけて戦ったため、エジプト軍が抵抗できず敗北したとの話がある。
ここからは最近の事件だが、まずは「反日のオイタはお止め下さい」事件がある。2005年に,時の小泉首相が靖国神社を参拝し、それがきっかけで、中国で反日暴動がおきた。その時ある人が、反日サイトの掲示板に、反日のおいたはお止め下さいとの言葉とともに入江紗綾というアイドルの水着写真を貼付けたところ,反日暴動が治まってしまったという事件がある。
次は「日本鬼子事件」だ。日本鬼子はもともと中国人が日本人をののしる時に使う蔑称である。しかし、2010年にある人が「萌えキャラにしたらよくね」とネットで呼びかけた。
それが「ひのもと おにこ」という女の子のキャラクターとなり、その女の子の絵がネット上に大量に出回るという事態になった。その後日本鬼子と画像検索すると、以前は旧日本陸軍兵士の像がでるのみだったが、現在ではほとんど女の子のキャラクターしかヒットしなくなってしまった。つまり別の意味が上書きされてしまい、蔑称の意味を失ってしまったのだ。
これは、ヘイトスピーチに対する非常にスマートな反撃と言える。なぜならこの攻撃は憎しみの感情を持っている人にしか効果がないからだ。たとえば中国人でも日本に悪感情を持たない人には全く効果がなく,逆に喜んでいる。
ついでに「小日本」という悪口も「こにぽん」として既にキャラクター化されている。
この流れでJAPも無効にできると思っている。つまりJapanese Animals and Petの略とすればいいのだ。みんながHPでうちのJAPとして犬や猫の写真をたくさんアップすればいいのだ。するとJAPと検索しても日本の可愛い犬や猫の写真しか出てこないという事態にしてしまえばいいのである。
さらには、日本のアニメが民族紛争の仲介役になっているという話もある。中東のどこかで、長年対立している部族があった。宗教的、民族的に対立していて、話し合いしようにも、そのとっかかりが無い。無難に天気の話をしても、今年の作物のできがという話になるとまた問題が起きかねない。下手に話もできない訳だ。
そんな時に、その地域に日本のアニメが放送されると、その部族の子ども達がその主題歌を歌いだした。すると対立部族の子ども達も同じように歌いだした。それをみていた部族の長老達が、うちの孫が最近変なアニメを見て気に入っているようだという話をすると、対立する部族の長老もうちもそうなんだと言い、それが取っ掛かりになって和平交渉の話がはじまる、ということがあったらしい。
また、アニメが麻薬対策になっているという研究もあるそうだ。「日本のアニメを見て好きになった青年は、それらの関連商品を買うために,麻薬に手をださなくなる。」という研究発表がブラジルでなされた。
どうもアニメが好きになると、フィギアやコスプレの衣装を買わなければならず、麻薬までお金が回らなくなるらしい。通常こういう対抗商品が現れると、麻薬組織が商店なんかを襲撃するらしいが、おたくグッズはブラジルでは売っていない。日本から取り寄せとなる。いかに南米の麻薬組織でも秋葉原を襲撃はできまい。
自分の子どもが麻薬中毒でラリパッパーになるよりは、アニメおたくになって友達とコスプレして踊っている方がずっと良いと思いますが、どうでしょう。実際、全世界の人々が「ハレハレユカイダンス」というアニメの歌にあわせ、踊りまくっている動画が多数存在する。
おたくは、何も世界を救おうと思っているわけではなく、純粋にそれが好きだから熱中しているだけだが、もともと裏があるわけでもないので、その楽しさにより、仲が悪い同士の仲立ちになったり、悪徳から遠ざけたり、憎しみを包みこんでしまう膜になったりしている。
さて、1970年代アメリカにおけるLOVE and PEACEのヒッピー文化は,世界を救えなかった。2000年代日本におけるMOE and KAWAIIのおたく文化は、世界を救えるかな。




