東宝SF映画「地球防衛軍」について
簡単に言うとミステリアンという宇宙人が地球を奪いにくる話である。
そのミステリアンは、どうも小惑星帯にあった惑星に住んでいたが、核戦争で惑星を破壊し、宇宙を放浪していたようである。
この映画はモゲラという巨大ロボットはでる。巨大な空中戦艦はでる。東宝得意のパラボラ型の新兵器によるビーム兵器の応酬がある。巨大な地下要塞は出る、とにかく楽しい作品となっている。
映画は夏祭りの会場にモゲラ現れるところから始まる。これは宇宙人の土木機械のようで、手と口にあるドリルでトンネルを掘ることができる。目から出るプラズマ火球は、硬い岩盤を溶かすためだろう。小手調べに土木機械を出してきたのではないか。
次に富士山麓に強大なドーム状の要塞が出現、地球人に土地を要求する。
ここで戦車や戦闘機による通常攻撃を行うがこれがてんで歯が立たない。
次には巨大な空中戦艦α号、β号が出撃する。この小松崎茂デザインの戦艦が素晴らしい。ロケットを横に倒したような形だが、もうもうと黒煙を吐きながら飛ぶ様は日露戦争当時の戦艦みたいで格好いいのだ。しかし武装が通常兵器しかなく、β号はあえなく破壊されてしまう。
やっぱり東宝自衛隊は、大火力と新兵器でのごり押しが好きなようだ。ミステリアンは寒いところにいたため暑さに弱いという設定があるのだから、それをつく作戦をするべきだろう。つまりあの要塞には何らかの冷房装置があるはずだから、それを探して破壊する作戦をとるとか。
ここでやっと地球軍の秘密兵器が登場する。マーカライトファープである。ミステリアンの光線を反射し、さらに同等の光線を発射するというものである。しかし持続時間が75分しかない。これとミステリアンとのビーム合戦がとにかく素晴らしい。ミステリアンの白い稲妻のようなビームと、マーカライトの青白いシャワーのような光線が交錯する。あまりの攻撃に要塞の周囲はすでに焼け焦げて、煙の立ち込める禿山になっている。要塞もダメージを受け、激しく上下に動き、光が点滅する。しかし75分のリミットはもうすぐである。はたして決戦兵器の電子砲装備の第2β号は間に合うのか。
ここは手に汗握るところであろう。
果たして第2β号は間に合い、ドームにトドメを刺すのだった。
「おもちゃ箱をひっくり返した」との評を読んだことがあるが、まさにその通りの楽しい映画になっている。
しかし特撮はすごいのだが、ドラマの部分が弱い。あの女性を誘拐するシーンや、それを取り戻すシーンはいらないのではないか。私はこの映画のDVD見るときはそのシーンは全部飛ばしてみているよ。