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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第四章】フェンローゼ家の生活
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第94話 当主さまの話と神の眷属


 しばらくするとリィズが戻ってきて、「これでもう大丈夫よ! この私が演出もセリフも設定も、すべて監修したのだから!」と、何やらすごく不穏な言葉を言う。


「ちょっとまった。いったい、なにをやらかし……」と尋ねようとすると、ノックの音が聞こえて、「よろしいでしょうか、その……ご当主様と、ガリアス様がお呼びです……」と、沈んだホルトさんの声が聞こえる。


「わかりました、今、部屋を出ますね」とヨスタナ師が答え、「それじゃ3人ともいいかい?」と尋ねるので、私たちは頷く。


 廊下を通ってホールに出て、反対側の廊下へ行って角を曲がると、甲冑が両脇に飾られた扉があり、恭しくその両脇にいた使用人の人達らしき人達が開けると、これまた一段豪華な調度品や立派な本棚が整っている。


 また中央にはソファやローテーブルなどがあり、恐らくは簡易的なバーであるお酒の瓶が並んでいるカウンターなどが壁にある。さらに扉や廊下があり食堂や書庫や寝室や他にも数部屋あり、浴槽やトイレがあるようだ。


 ここだけで生活できるなあと思いながら近づくと、書斎用のかなり広いデスクがあり、そのデスクに当主とやらの、血筋上は祖父である……はずの、物凄い厳しい表情をして睨み付けるようにこっちを見てオスティスが座っている。


 そして当主だというオスティスのその右脇にガイアスさん、あとガイアスさんの妻だろうか、優しそうな貴婦人な女性、フォスティ、それにフォスティの弟と思う子が立っている。


 さらにオスティスの左脇には、 豪快そうな性格をしているように見える、オスティス似の顔をしていた銀髪の30代後半くらいの青年が、後ろに妻らしき少しキツい視線をした黒髪の女性と、私と同じくらいの年代の黒髪の少女が、ともに歩いてくる。


 ソファには王女のレメディが座るソファに難しそうな顔をして、執事長のホルトさんが傍に立っている。



 

「よく来てくれたね、レニーナ、フェブリカ先生達。その……当主様が話があるそうでね……?」とガイアスさんがまず口を開いた。表情は暗そうだ。


「王女殿下の前で大変失礼なことかと存じ上げているが、王女殿下がこの場で忌憚のない話をするようにおっしゃって下さっていらっしゃる」とオスティスは言い、一息吸った。


「お前達が詐欺師なのは知っている。いもしない娘の名といもしない孫の名を騙り、私たちを騙そうという魂胆がな。その上得体も知れぬ者も家に置けだと? まさに乗っ取りの手口だ。早々に荷物を纏めて出て行くがいい」と怒鳴るようにオスティスが言う。


 こうなるのか……と、「さて、いきましょう。時間の無駄で……」と私は背を向けかけ、オスティスは「だが、慈悲深い当家は身元不明者の養女とし……」と言いかけ、その瞬間に、私達とオスティス達の間に金色に身体の眩く光る、ショートカットの白髪の、白い翼の生え白い布を纏った女性が現れ、「鎮まりなさい、私はユースティア様の眷属たるウールラート。人払いをしなさい、両者とも鎮まるのです」と言い、その場はしんとした。


 次の瞬間、慌ててオスティスはホルトさんに向かって、「ぜ、全員、使用人達は退出させろ! 失礼があってはならぬ!」といい、慌ててホルトさんは他の執事や秘書、メイドをまとめて部屋の外へ出る。


 オスティスも王女もガイアスさんもフォスティも、他の名前はまだ知らないもう一人の叔父らしい家族らしき人も、あまりに驚きまた恐らくはその美しい姿に見蕩れている。


「さて。ユースティア様からの言葉を伝える。汝の館にある礼拝堂にて、汝らを待つ、と。他言してはならない」といい、「汝、心に正直になるべし」とオスティスに対して言うとオスティスは目を大きく驚いたように開き 、光の粒を残して消えた。


 私たちは、考え込み無言の状態のオスティア達と共に、屋敷の出口まで歩いて行く。廊下で会う使用人達がひそひそと話している。もう情報が漏れたのか。


「リィズ、これはどういうことだ?」と尋ねると、「ワンクッション置いた方がいいからね。ユースティアがいきなり神殿でもない所に現れた、といったら問題になるでしょう?」と言う。


「たしかにそのとおりだな……」と思いながら歩いて屋敷の外へ出て、中庭を通って脇の小道から礼拝堂があるらしい建物へ歩いて行く。さすが貴族、礼拝堂も自前のがあるのかと思った。


 人払い令を出しているため、オスティス自身が礼拝堂の扉を開く。それぞれの祀っている神ごとによって神殿や礼拝所のデザインというか形というかは違うらしいが、ユースティアの場合は地球のキリスト教の、どの宗派というと難しい……いや、ごちゃまぜた感じなせいで、逆にかえってキリスト教とは違う宗教風にも感じる。


 月明かりの中だが、奥に身体がわずかに金色に光り、中に浮いた女性が、ユースティアらしき姿や様々な眷属などが書かれたステンドグラスのようなものを背景にして、壇の後ろに浮いていた。



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