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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第89話 ローゼクォート市に到着

 その後ローゼクオートからの援軍として騎士達が馬でやってきて、後続の馬車が被害者である兵士達の遺体と、数十人捕縛できた敵兵を乗せたりと色々騒がしかった。


 私たちは「それでは、わたしたちはこれでしつれいします」と私がいうと、やはり事情聴取などがあるのだろうか、「申し訳ないが、そういう訳にはかない。礼をせず帰すのは公爵家の立場にも関わる。それにその……レニーナ、ちゃん、はもしかすると僕の、従妹かもしれないし……」と、ちらっちらっと見てくる、従弟かもしれないフォスティと呼ばれていた少年。まあ、私もちらっちらっと見てるから同じかもしれないが。


「それはそうじゃぞ。第二王女の馬車の襲撃をした事件の重要な証人じゃし、それに……のう? 『使徒レニーナちゃん様』とやら?」と興味津々という目で言葉に含んだものを持たせて言ってくる第二王女とやらから目をそらす。


「僕達は護衛とともにローゼクオートへ行くが、そういう訳で着いてきて欲しい」と少年、従兄……だと思う、フォスティが言い、私たちの馬車も彼らの馬車に従って走り着いていった。


 ローゼクォート市は、ルピシエ州の州都で人口は80万人らしい。ファースの第二都市だけあって、かなりの規模だが、文明レベルの割に巨大な人口を抱えられているのは、サティナフィアの加護を持った農民層により、農業生産がこの世界はかなり高いらしい。


 街道のローゼクート市をある程度見渡せる道から見ると、そう巨大な人口のため、街中を1本の河が走る中、街は東西に分かれていて、西側のご盤の目状に整備された新市街と、一部は整備されているらしいが、まだ整備が行き届いていないらしいが賑やかそうな旧市街があると本で読んだ。


 これだけ巨大な面積の都市なのに、堅牢そうな外壁でちゃんと覆っているのに驚く。普通に考えてこれだけ都市が大きいと、膨大な費用がかかる気がするが…。外壁は、旧市街を元々囲っていたらしい内側の壁と、現在の街を囲っている第二の壁でできている。また区画ごとにも壁で仕切られているようだ。所々に煙りがあがっているのを見ると、日常生活での火だけでなく、産業もあるらしく、工房などが固まった地域もあるようだ。


「これがローゼクォート、すごいねー!」とリーゼさんが言い、ブランが「ウェスタ市が小さく見えちゃう……」という。それはそうだろう。ウェスタ市は人口7万と実際その10倍以上なだし、ウェスタ市は実はエニシア州では人口第2位の都市だったのだから、ローゼクオートがそれだけ豊かで人口が集中している、という事なのだろう。


 街へ続く街道は馬車の往来がかなり激しく、乗り合い馬車も近距離短距離様々あるらしくて、ごった返していた。ふと、何故これだけ交通量の多い街道の途中で、彼ら王女殿下とやらと敵兵達のみで、他の馬車達は居なかったのだろう、と思った。


 それらのごった返した馬車の中、王女とフォスティ達の馬車は襲撃を受けた後だから仕方ないが、特権……なのだろうか、貴族らしい豪勢な馬車が優先的に貴族の馬車は進んでいく。王女達の馬車から、後に付いてくるよう指示があるが……仕方ない、私は言った。


「リーグさん、ちゃんとぎょうれつにならぶのがだいじです。わたしたちはきんきゅうしゃりょうではないのですから、じゅんばんをとばさず、じゅんばんはまもるべきです」というと、リーグさんは少し驚いた顔をすると頷き馬車を停車させた。


 しばらくすると兵士がやってきて、「君達は通すように言われている! 通っていい、フォスティーラ様がお待ちだ!」という。私は仕方ないので、「きんきゅうのしゃりょう以外は、じゅんばんを飛ばしていいという法はありませんので、わたしたちはならびます」と答えると、「フォスティーラ様はお待ちしているのだぞ!?」と兵士が言う。


 私は「このばしゃは、きんきゅうしゃりょうではありませんので、このままならびます。法にしたがい、このぎょうれつをまつのにかかる時間をおまちください、とおつたえください」というと、すごく動揺して困った顔をし「しかし……」といいながらも、歩いて行く。


 実のところ、たしかにファースには身分法があるのだが、緊急や安全、任務のために貴族の車列が優先されるという条項であって、確かに行列に並んでいると停車時に強盗や誘拐をされるから、安全のために通るというのはあるのだが……そう極端に時間がかかるわけでもないし、そういう場合でなければ、この場合は正当化してはならないだろう。


 2時間後に街の入り口を通る時は、やはり門はウェスタ市と違い、貴族用のがあったが、普通に平民用の門を通って街中に入る。門をくぐるとウェスタとまた少しだけ違う建築風の石造りの街並みがかなり計画的な都市設計をされたようで、見事に並んでいる。ここは新市街なのだろう。


 すると兵士が駆け寄ってきて、「フォスティーラ様がお呼びなのでご同行願いたい」という。私たちは頷き、フェブリカ先生が代表して「分かりました、それではご案内頂けますか?」と微笑み返すと、ものすごくほっとした顔で馬車を先導していく。


 やがて石造りの見事な町並みの中、賑やかな商店や裕福そうな男女やその子、また裕福までいかないようだがそれなりの身なりをしている人々が談笑しながら歩いている街路を通り、街の中心地らしきところへ入っていくと、商店の、4,5階建てのビルと言った方がいい建物が建ち並んでいた区域になり、その先を行くと検問のある外壁に囲まれた区画がある。検問を通り、どうやら貴族用の区画らしきところを通っていくと、正面に大きな門構えの広い敷地が見えてきた。


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