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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第86話 襲撃を受けている馬車

 四日目、馬車で出発をして2時間ほど経った頃、街道の途中にスカイアイで警戒していると、赤い点が……43、黄色い点が15、約3km先、この世界でいう約0.6カルコード先に映っている。拡大もできるらしく、それを見ると人が人を襲っている。しかも両方兵士なようだが、これは……。


「リーグさん、0.6カルコード先に、おそわれているらしい人たちがいるようです。ばしゃを急いで走らせせてもらえますか?」と言う。すると一言「分かった」と言い、馬車が一気にスピードが上がった。


「スカイアイで見たの? すごいね、スカイアイって使える人、上級魔術師しかいないんだよ? さすが未来の宮廷魔術師様、ボク達の主♪」とリーナさんがわくわくしたように目を輝かせて見てくる。


「嗚呼……!! さすが、ユースティア様のご寵愛を受ける『神に愛されし子』のレニーナちゃん様……!!」変な敬称は本当に辞めて欲しい。【わたくし、寵愛はしてないのですけどね……】そしてユースティアのつっこみが少し刺々しい。


 それらから目を逸らして馬車の外を見ながらスカイアイで観察していると、赤い点が40、黄色い点が9まで減っている。これはヤバそうだ。


 そう思っていると、「見えたぞ!」と興奮したリーグさんの叫び声が聞こえ、確かに前方を見ると、遠目に戦っている人々とかなり豪華な馬車が2台、通常の馬車が4台見える。だが豪華な馬車の2台の馬は6匹のうち4匹が殺され動けないようで、通常の馬車の馬も殺されたり負傷しているようだ。


 そして馬車が近づくと、戦っていた人々の、多数派というべきか、襲っている側らしきがこちらを見てお互いに目配せをしたかと思うと、20人くらいがこっちを向いて剣を向けてきた。


「多いな……」とリーグさんが言う。「ファイアボールで一気に焼き殺す? それともウィンドカッターで首をちょん切る?」、わくわくした目で物騒な事を言うのは本当に辞めて欲しい。私はそんなに好戦的な人間ではないのだが。革命家ではあるが。


 そういえば、男神グルードの、「ジャッジメント」、悪意のある人間のみを失神させる魔法があったな、と思い出す。「リーグさん、ばしゃをとめてもらえますか?」というと、「だが……」といいながら、「……策はあるのだな?」というので、頷くと馬車が敵兵20人の数百メートル先で停まった。


 すると敵兵がにじりよってくるので、「それでは、いきますね」と私は馬車を降り、慌てて「レニーナちゃん様、危ないです!」「待ってよー!」と護衛のためにアリエさんとリーナさんが降り、リーグさんも御者席から飛び降りて剣を構えた。


「たった3人か。ん……? と、ガキが1人? まあいい、見られたからには消えてもらう」と、襲撃者の台詞としては平均点な平凡な台詞を吐くと、にじり寄ってきていたのが、一斉に剣を構えて走り出してきた。


 私は、「じゃっじめんと!」と叫ぶと、【汝との見解の相違はまだ片付いていないが、まあ相手は悪人だから正義のために力を貸そうではないか!!】とかなり渋るような、貸しがつくれて嬉しそうな声がすると、ピカッと光ったかと思うと、目の前の兵隊20人が一斉に倒れる。


「な、何が起きたの?!」とリーナさんが言い、「これは……正義、法、衡平を司りし、男神グルード様の正義の光、『ジャッジメント』では……!?嗚呼、さすが、レニーナちゃん様、グルード様にも愛されているなんて……!」と感極まったように言い、グルードが【儂は愛してなどおらんわ!!!!!!!!】と叫ぶ。相変わらず暑苦しく、声がうるさい。


 そう20人全員が倒れると、残りの……赤い点18人、黄色い点7のうち3人は馬車の中に居るらしく4人、まあ、22人が驚いた目で見てくる。敵兵がさらに10人に分かれ、後方の1人が何かを唱えている。


「魔術師です!リーナ、あの後方の魔術師を狙って!」とアリエさんが言い、リーナさんがすかさず矢を放つと、見事に魔術師の胸に刺さったが、魔法は発動したらしく、炎の玉がこっちへと飛んできた。


「危ない!」とリーグさんが叫び、アリエさん、リーナさんが私の前に立つ。3人とも何だかんだで勇気と義務感のある立派な護衛だ。私は、「ばりあかくだい!」と叫ぶと、半透明な障壁らしきものが私の身体を中心に急速に拡大していき、3人がその中に入る程度でバリアを拡大するのを止めると、敵の遺物のファイアボールはバリアに当たって弾けるように消えた。


「……どういう事だ……?」とリーグさんが呟き、リーナさんは「助かった、んだよね……?」と呟く。身を張って守ってくれていたアリエさんが無言だが、くるっと後ろを向くと、私に対して急に土下座をしてきて、私は驚いて腰を抜かしてしまって、ぽすん、とおしりをついて倒れてしまった。


「あれは、主神フェンリィズ様の生み出し奇跡の魔法、『バリア』……!まさか、女神フェンリィズ様のご寵愛を受けし、12神柱様のご加護を受けし、尊きお方とは、レニーナちゃん様ぁ……!」と感極まった、これまでにない崇拝の域でも最上級の崇拝をしている声を上げ、私は思わず、「ちがいます! そういうのはいいですから、まずはまだ敵がいますからそっちを!」と私は顔を恥ずかしさで真っ赤にして、誤魔化すように叫ぶ。


 あとはあっという間だった。残りの敵は剣を構え襲ってきたが、なにせバリアに弾かれてしまう。アウトレンジからというか至近距離からの矢と剣でバタバタ倒れ、残った3人は走って逃げるのに対して、私は無理な殺生はさすがにと思ったので、「じゃっじめんと!」と叫び、3人は失神した。


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