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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第85話 「神に愛されし者」

 馬車に戻ると、ヨスタナ師が「無事で良かったよ。アリエさん達、ありがとうございました」と言う。


 アリエさんは、「そんな、私達は、その……お役に立てなくて……」と気まずそうに言い、リーグさんは「……面目なかった」と落ち込んでいる。


 リーナさんは聞きたくてうずうずしてたのが爆発して、「フェブリカ先生! レニーナちゃんが、魔法2種類使ったの知ってるでしょ!? しかも、スカイアイと合わせたら3種類! レニーナちゃん、ユースティア信徒ってホントなの?!あとそれに」と言葉を続けようとしたが、アリエさんが、「も、もしかしてレニーナちゃん、『神に愛されし者』なのですか……?」と言う。


 するとリィズが「わ、私はレオンなんて別に愛してないから!?」とまた不可解な事を言う。まあ、確かに私たちは友人ではあるので、「愛する」とはまた違うだろうが、少しなんとなく寂しく心が何故か痛んだ。


 リィズが、「そ、その、今のは軽く、その、弾みというか……」と何故か私を見て慌てるが、ヨスタナ師が「ええ! そうなんです! レニーナちゃんは『神に愛されし者』で、神殿でも洗礼に2時間かかりました」という。まあ、2時間というのは嘘ではないが、「せんせい、じつはあまり『神に愛されし者』のいみがわかってなくて、おしえてもらえますか?」と尋ねる。


 ヨスタナ師は「ちょうどいいね! 今日は『神に愛されし者』についての授業をしよう!」と誤魔化すようにこっちの話に乗る。アリエさん達は納得したような感じの表情と、何だか驚きと敬意のまなざしで私を見ているが、とりあえずヨスタナ師の話を聞く。


「そうだね、『神に愛されし者』とは、その洗礼を受けた神に特に愛され、その神が他の神にも、力を貸してくれるよう頼んで、力を借りる事ができる存在なんだ。この場合、ユースティア様が、特に寵愛してくれて、他の神に頼んでくれたということだね」というと、【レニーナちゃんはきっと悪い子ではないはず、とは思っていますし、嫌いではありませんけど、寵愛しているわけでは……】という声とともに、ユースティアの大きな溜息が頭に響く。まあそうだろう。


「そうなの!? 『神に愛されし者』で、実際複数、3つの神様の力を借りられる存在って、宮廷魔術師様くらいじゃない! きゃー!!もしかしてボク達、未来の宮廷魔術師様を護衛してるの? いやー、これはボク達、将来的に箔がついちゃうねー!」とリーナさんがやたらとテンションが高くご機嫌になる。


 他方、アリエさんは……「ユースティア様のご寵愛を受けし存在……わ、私ったら、なんて失礼なことを……! どうか、これまでのご無礼をお許しくださいませ、レニーナ様……!」とかすごく困る事を言い始めたので、私はものすごく慌てて、「どうかそんなふうに言わないで、いままでのとおりに接していただけませんか?! わたし、こまります!」と叫んで訴えかけて御願いする。


「きっと、ちょうあいなどではなく、たまたまです! こう、きまぐれ的なものなので、どうか気にしないでください!」と叫ぶと、【まあ、洗礼も『便宜的』なものって貴女、言ってましたしね、わたくしは『便宜的』、そう『べ・ん・ぎ・て・き』に扱われたのですから】と、すごく拗ねて「私、恨めしがってます!」という感じなユースティアの声が聞こえる。


 私は慌てて【あの時は悪かった、その件については謝罪する。こう……『信仰する』というのに、抵抗があって……】というと、【まあ……貴女の前世だとそうでしょうね。まあいいですわ、今回はわかりました】となんとか納得してくれた。


「どうか、ふつうによんでください! そうでないと、もう口をききません!」というと、「レニーナ様がそうおっしゃって下さるなら、そのように。それでは、その、レニーナ、ちゃん……? ああ、畏れ多い……!」とアリエさんが言うので、「ほんとうに、おねがいします!」と叫ぶ。


 リーグさんは、「なるほど、納得した」といい、リーナさんは「ボク達、もしかすると宮廷魔術師様の護衛に将来雇われるかもしれないよ!レニーナさん、肩こってない?」と言うので、「そういうの、きらいです」というと、「がーーん……」と、よく分からない擬音を言い、がっかりしたようにリーナさんが言う。


「まずは馬車を走らせるぞ。停まったままでは魔物や盗賊の良いターゲットでしかない」といい、馬を走らせる。私たちは少しそれで冷静になって、大人しく席についた。


 それでも途中、「嗚呼、レニーナちゃん様……!」と崇拝に近い目で見てくる熱心なユースティア信徒のアリエさんから目をそらし、「ボク達、未来は宮廷勤め、未来の安定収入……!」と熱い視線で見てくる肉食獣のようなリーナさんからも目をそらし、「あ、愛してないっていうのは、その、ああ言われたから仕方なくその、ね?」とまだ言ってるリィズ、「……バカばっか。どうしてこう、世の中バカばっかなの?ホント、バカばっか……」と呆れかえり軽蔑の目で周りを見ているブランから目をそらし、馬車は進んでいった。


 そうしている間に日が暮れてきて、そのうちに何とか三日目の宿にたどり着き……私は逃げるように自分たちを聞いて部屋に早々と入り、早々と寝た。


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