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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第84話 わたしのはじめての戦闘

「捕食樹だ! 街道の真ん中にいるから、無視して通れない。馬車を止めて戦うぞ!」とリーグさんが御者席から叫び馬車が比較的急なブレーキで止まる。


「弓兵には最悪な相手だね……あまり攻撃与えられないかも。4人は馬車の中に居てね!?」「私たちでなんとかしますから!」とアリエさん、リーナさんが馬車から急いで飛び降りる。


 戦闘が始まり、私たちは息を潜めるように馬車からそれを見ていたが、どうもうまく戦闘が進まないようだ。アリエさんの指示で散開し、3人とも頑張っているが、どうにも攻撃が通らない。リーナさんの矢は刺さってはいるが深くは刺さらず、弾かれる事も多い。なのでウィンドカッターを使っているが……発動まで時間がかかるのか、触手には当たらず、本体を攻撃するように変えたが、刻まれるがなかなかダメージにならない。唯一近接戦闘のリーグさんの剣が襲ってきた触手らしきものを数本切り落としてはいるが、なかなか本体には近づけないようだ。


「相手が悪いわね……。剣士のリーグしか、攻撃が実際は通らないと思うわ」そう、リィズは言い、「そ・こ・で! 貴女の出番よ! ファイア・ボール、使えるから樹相手なんてイチコロよ!」とリィズが目を輝かせて言う。


 しかし、そうしたら色々厄介なのではないか……アリエさん達の立場が無くなってプライドを傷つけるかもしれないし、今度は男神フェルザードの加護をユースティア信徒の5歳児なのに、どうして受けてるという話になる。


 そう考えてると、「きゃぁ!? リーグ!」と悲鳴がする。急いで窓の外を見ると、触手にリーグさんが捕まっていた。


「リーナ、ダメ!」と叫ぶアリエさんに、「矢だとリーグに当たっちゃうよ! ウィンドカッターは触手には上手く当たらないし、ボクだって短剣くらいは持っているんだから……!」とリーナさんが突撃し、触手を交わしながら、リーグさんを持ち上げている触手を切り落とそうと攻撃するが、後ろから忍び寄った触手に捕らわれてしまい、「リーナ!」とアリエさんが絶望の悲鳴を上げた。


 これは迷っている場合でないな……。そうすぐ考え、私は馬車から飛び降り、アリエさんに当たってはいけないのでアリエさんの横に並ぶ。「レニーナちゃん!? 危ないから逃げて! フェブリカ先生に、逃げてできればギルドに救援要請をするように……!」と驚き涙目で訴えかけるが、「だいじょうぶです、すこしじかんをください」と言い、私は、リーグさんとリーナさんを捕らえている触手を狙うのを思い浮かべ、手を差し出し「うぃんどかったー!」と叫ぶ。


 すると、【また私か。仕方ない、力を貸そう】とルティアスの声が頭に聞こえ、風の刃がすごい勢いで飛びリーグさんとリーナさんを捕らえていた触手を切り落とす。二人は空中から落ち、触手は切り離され肉塊(?)と化していたため、リーグさんとリーナさんは縛られていたのを抜け出し、アリエさんと私の方へと走った。


「レニーナちゃん、貴女は一体……!?」と呟くアリエさんと、「疑問があるがまずは礼を言う。捕食樹は俺たちには倒せない。一端後退しよう」と言うので、「いろいろあるとおもいます。でもすこしまってください」といい、今度は手を伸ばし捕食樹に狙いを定め、「ふぁいあ・ぼーる!」と叫ぶ。


 今度は、初めて声を聞くが、【リィズ様の命により、汝に力を貸そう。最初は本意でなかったが仲間を助けるために力を使うのは好ましい】とフェルザードの声が聞こえ、火の玉が…いや、火の球、かなり大きな球が手の先に浮かび驚きながらもまずは急いで放つ。


 すると捕食樹は、一気に燃え上がり、表現しがたい悲鳴を上げて燃え、段々とそれが小さくなり、黒焦げの状態になり、身体が崩れ落ちた。


 私は恐る恐る横を見ると、無言のアリエさん達3人が、捕食樹だった炭の山と私を交互に見て、ずっと無言でいる。私は密かに冷や汗をかきながら、軽く目を逸らした。無言の時間がしばらく続いた。


 最初に口を開いたのはリーグさんだった。「……まずは礼を言う。色々聞きたい事があるが、まずは馬車に戻ろう」というと、リーナさんが「え?! ちょ、ちょっと、その、ウィンドカッターとファイアボール、どっちも使えるって、おかしいよ! レニーナちゃん、貴女、何者なの!? どうして使えるの!?」と堰を切ったように恐れていた質問が流れ出したが、「まずは馬車に戻りましょう? 助けてもらったのに質問攻めは良くないわ。レニーナちゃん、ありがとう」とアリエさんがリーナさんを制し、馬車へと、「それじゃ、行きましょう?」と私を先導して歩き出し、私も慌てて歩き出した。


 リーナさんが後ろで「ちょっと! 待ってよ! やっぱおかしいって! って、置いてかないでーー!」と叫び、リーグさんが「しつこいぞ、リーナ。いいから黙れ」と言い、私たちは馬車に戻った。


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