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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第82話 神々と、人の可能性と、私の「無神論」

 これは……神の不作為と、言える事では無いだろう……。万能を絶対条件としない意味でのリィズと話した時の「広義の『神』」である、リィズと12神柱は、この世界の「神」は、彼らとしてでき得る限りのことをしているのに、それでも救えない事があるのは……彼らとしても、実はつらい事なのかもしれない。


 そういう意味では、「神」が現に在るこの世界であっても……「不完全な『世界』」であり、ここですら救いは、神に完全を求める事はできない。


 神がいる世界なのだから、救われるべきなのに、何故このような悲劇や不公正、不正義がある世界なのか、とも思ったが……その救いの不完全を責めて神を否定するのは、それこそ不公正かもしれない。


 だが同時に、神があまりに頼り過ぎ、人間の知性が発揮され発達するはずの諸科学が停滞し、社会も停滞し、数千年にわたり、魔法があるとはいえ魔物を撃退するのには剣や槍などで、盗賊団が徘徊し近代的な警察制度や、そもそも人が盗賊などにならないよう社会政策的に働きかける諸制度なども未発達で、なかなかそう人々の安全が守れないでいる。


 科学だけでなく人権など社会思想も発達していないため、工業などが未発達で手作業が多いこの世界では、生産力が発達するとむしろ奴隷制は非効率になり、多くの場合奴隷制度は工業化をすると消えていくのに、かなりの国で奴隷制が未だ続いているなど、様々な点でようは神に頼り過ぎるあまり、人々の叡智が発揮されず、かえって人々が救われない世界になってしまっている。


 もし人々が、神を否定せずとも神に依存せずに、人は、人の可能性を追求し、人の知性の可能性を追求し、人の理性の可能性を追求し、人の悟性の可能性を追求する、そういった哲学がこの世界には必要なのではないかと思った。


 人間の「神」からの、「自立」と「自律」が必要であり、言うならば、「無神論」が、「『神は実在せず存在しない』という『存在の有無の意味での無神論』」や「『神に値するものは存在しない』という『存在するがその存在意義の意味での無神論」だったとするならば……。


「神に依存せず共存し助け合いつつも人は自ら世界を変革して生きて、人が人を助け合うよりよい社会を人が作る」という無神論があるのではないか。この世界を経て、私は、同じ無神論という名でも、この3つの過程を経てきたように思った。


 と、考えていると、ブランが非常に微妙そうな目で見てきて、「貴女って、いつもへんなこと考えてるけど、どうしてこうあたしに似てないのかしら。ねぇ、リィズ、こんなののどこがいいの?」と尋ねると、リィズは「なにいってるの!? なにもよくないし、そういうのじゃないからね!?」と、よく分からないのを、またわちゃわちゃして、私はとりあえず思考をやめて窓の外を見た。

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