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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第79話 出発と冒険者ギルド


 リィズとサティナが、わちゃわちゃしている間、いつの間にかヨスタナ師が後ろに立っていて、「きゃっ?!」とびっくりしてしまった。


 自分の驚き声が女児っぽいので驚いたが、考えてみれば、レオンの男性性が大きいが、レニーナの身体の女性性はどれくらいの大きいのだろうか。


 まあ、脳は女児である以上、それは女性性は元々あったのだろうが、意外と私は乙女なのかもしれない。


「驚かせちゃったかい、ごめんね。いやぁ、僕ぁずっと気絶してたから、さっきからみんなの様子を見させてもってたんだけどねぇ」


 と苦笑しながら頭をかいて言い、ヨスタナ師が起きていう。


「でもまあ、ふたりのレニーナちゃん、ルージュ君、ブラン君、どちらも完全ではないだろうけど、だいぶ元気が出て、安心したよ」と微笑む。


「リィズ君については……僕は、正直はっきりした悩んでいる事が分からない。だから、レオン君がついていてあげて欲しい。もちろん相談はいくらでも聞くよ」


 とヨスタナ師はこそっと私に囁いてくる。そう気遣いと心遣いができる、気づけるのは、やはり賢者だな、と思う。


「さて! そろそろ御者も仕事をしよう。行くかい?」


 と笑顔でヨスタナ師に尋ねられ、「はい!」と答え、皆に声をかけた。


「さて、そろそろいこう。めざすのは、ローゼクォート市だ。その前にぼうけんしゃギルドによって、護衛をたのんで、しゅっぱつしよう」と私は言う。


 するとわちゃわちゃしていたのがぴたっと止まって、リィズがすごいテンションで言う。


「待ってたわ! いよいよ私達の冒険の旅の始まりよ!」とわくわくが止まらないらしい。


「それじゃまずは冒険者ギルドに行くの? あたし、この身体でいいのかな、それとも、さっき収納した身体使っていいのかな、それとも、またレオンの身体……ってややっこしいけど、私達の身体に戻ればいいのかしら?」とレニーナが言う。


 私は「今の白いレニーナ、ブランと呼べばいいのだろうか、ブランの身体である植物体に身体が移っているのは、さっきの受肉した身体と同じで、魂には良くないのなら、やめておいた方がいいのだろうか」とリィズに私は尋ねる。


「いえ、受肉した身体は、身体にブランの魂が宿る形で、ルージュと別れてしまって良くないけど、このミニサティナの場合は、ブラン自体は『レニーナ』の身体の中にいるのよ。あくまでブランがミニサティナの植物体を従属契約で、感覚とコントロールをリンクしてるだけだからね」とリィズが言う。


「大丈夫、あたし、ミニサティナの身体、気に入っちゃった! こう、動く感覚も普通に身体を動かすのと全然変わらない感じだし。あ、レオンをこれから『ルージュ』って呼べばいいの? なんでもいいけど、あたしの身体で変な事しないようにね!」と、とても不可解な事をブランが言う。変な事とは何だろう。


「と、とにかく!まずは宿に戻るわよ?それじゃ、目を閉じて……」


 とリィズが言い、目を閉じると眩さにつつまれるのが、瞼越しにでも分かった。


----------------


 眩しさが収まり、目を開けると宿に戻っていた。


「……め、目を開けてもいいのかなっ!? リィズ君!」と、必死に目を瞑っているヨスタナ師の顔がひそかに面白く感じてしまった。


「もちろんよ、えっと、フェブリカ先生? さて、行きましょう、私達の冒険の旅よ!」


 とノリノリのリィズが答え、ヨスタナ師が目を開けきょろきょろしている。


「……僕達ぁ、本当に神界に転移してたんだねぇ……。それじゃ、そろそろ行くかい?冒険者ギルドには僕が案内しよう」


 とヨスタナ師が言い、私達は頷いて、ヨスタナ師の後を追って宿の部屋を出た。


 宿を出て大通りに出て、結構大きな二階建ての、南欧風とも東欧風とも言いがたい、まあ、この世界の独特な建築風な建物があった。


 私たちは入っていくと、かなり屈強な目つきの悪い男性や、いかにも「私、魔法使いです!」というような魔法使いにしか見えない杖を持った女性など、ざわざわとするしている。


 どうも私たちは少し目立っているようだが、「依頼受け付け口」というところがある。見ると少しキツい目をした30代前半と見える受付嬢に、ヨスタナ師が代表で話しかけた。


「すみませーん……あの、僕達、ちょっとローゼクォート市まで行きたいのですが、護衛の冒険者さん達、お願いできないでしょうか?」


 すると受付嬢は、妙な客が来たと思いつつも面倒臭がりながらも説明する。


「あいよ、それじゃ、こっちの用紙に記入してもらえるかい?」とヨスタナ師に書式の説明をする。


「報酬はローゼクォートなら標準で4~5日かかる場合、オーソドックスな護衛の編成だと、星2ランク3~4人で、3~4万ギラーナになるけど、それで募集出していいのかい? 急ぐならすぐ募集かけるよ?」


と受付嬢がヨスタナ師に聞き。ヨスタナ師は「ええ、募集お願いします」という。


 すると、女性としてはすごく響くアルトボイスで叫んだ。


「お前ら! 募集入ったよ! 護衛任務だ、ローゼクォート市までの護衛任務! クライアントは見てのとおり。3~4人パーティーでの募集だ! 星2ランク以上だよ!」と叫ぶ。


 なるほど……「星2」というのは、職業の熟練ランクなのか、と納得していると、様々な冒険者達が殺到し、ヨスタナ師も混乱するだろうな、と思っていたら、意外にも落ち着いて、「リーダーが順に並んで相談してください!」と叫ぶ。


 5人のリーダーが、それぞれが自己紹介と自己アピールをぺらぺらとしていく。だいたいどのパーティーもそれほど実力差のない「星2」のパーティーで、ヨスタナ師は少し考え込みんで言う。


 「僕は子供2人を引率している形ですが、何か子供達にあった時には、皆さんはどう考えていらっしゃるのでしょうか?」と尋ねた。


 最初に先を争って詰め寄ってきたリーダーは、「任せとけ! 命に代えても守るから心配いらないぜ!」と言い、二番目のリーダーも「う、うちもよ! 絶対命に代えて守る! 万が一は絶対にないわ!」と言う。


 三番目のリーダーは「うちはそんな責任を背負えないぜ。割に合わなすぎるし、ギルドの規約に書いてるじゃねェか、自己責任だ、って。冗談じゃ無い」と去って行き、四番目のリーダーは「大丈夫だ! 命がけで守るし、何かあったら保障するし、追加の保証料もいらない!」という。


 最後のリーダーは、おずおずと、「わ、私たちも当たり前ですが命をかけて守りますけど……何かあった時は、一生をかけても償えるかどうか……。もしも子供に何かあったら責任持てないので、辞退します……」という。


 すると3番目のリーダーが去っていった後、1番目2番目4番目のリーダーに丁重に「もう少し考えてからにしますね」と、「飲み代ということで、お納め下さい」と500ギラーナをチップだと渡して笑顔でそれぞれのリーダーが解散した後言った。


「確かギルドの2階にクライアントの休憩室があるはずだ」と言い、私に対して、「さっきの最後のリーダーのかたをこっそりこっちに呼んでもらえるかな」と言う。


 私はさすがヨスタナ師は賢者だと思いながらも、気落ちしているさっきの最後に話しかけ去って行ったリーダーの服の袖をちょんちょんとつまむと、彼女は驚いた顔をした。


「あれ?さっきの人と居た子……?」というので、私が言った。


「せんせぇが、おはなしがあるそうなので、こっちへきていただけますか?」


 ヨスタナ師が「来て頂いてありがとうございます。先ほど断ってしまってすみません」と言う。


 すると彼女は「い、いえ! 私のパーティーが、力が無いからお受けできなかっただけなので、頂く訳にはいきません!」という。


「それならば、僕ぁ貴方のパーティーに依頼をお願いしたいのですが、受けて頂けませんか? もちろん、冒険者への依頼は自己責任なので、何かあったからといって賠償を求めたりしません」と微笑む。


「えっ!? ほ、本当に、私たちでいいんですか…? な、なんで…!?」と彼女が戸惑いながら尋ねると、にっこり答えた。


「それは、僕ぁ貴方が信頼できると思ったからですよ。メンバーのかたと、お話できませんか? 2階のクライエント室に時間をずらして入れば、変な嫉妬も生まれないでしょう」とヨスタナ師が続けて微笑みながら答える。


 すると、そのリーダー、よく見ると10代後半くらいから20代前半に見えるその、気はあまり強くなさそうなリーダーは、少し涙ぐみながら言った。


「あ、ありがとうございます! 今呼んできますね!」と小走りで隣の冒険者ロビーへと駆けていった。


「ねえ、どうしてあの子にしたの? 確かにいくつかある運命の中で、あの子のパーティーとのが一番良い結果になるみたいに見えるけど」とリィズが言い、「そうそう! なんであの子なの?」とブランも騒ぐ。


「せんせぇにはいろいろかんがえがある、でいいじゃないか」と私が言うと、ヨスタナ師も「リィズ君の保証があるなら、僕の判断は間違っていなかったんだろうね」と微笑むと、「お待たせしました!」とさっきのパーティーリーダーが小走りでやってきた。


 パーティーのリーダーの彼女とそのメンバーらしい、男性1人、女性1人に、ヨスタナ師は微笑みながら、「ありがとうございます、どうぞまずはおかけ下さい」と言い。


「クライアント室でも飲み物の注文はできるようで、エールでよろしいでしょうか?依頼を受けて頂けるか別として、ここの支払いくらいは持たせて下さい」とお茶目な感じで人差し指を立てて言うと、3人は遠慮がちに頷く。


「さて、自己紹介ですが…私はヨスタナ・フェブリカといいまして、教師をしています。この子達をローゼクォート市へ送り届ける引率をしています」と挨拶をした。


「わ、私は、アリエ・クロディスです! リーダーをさせて頂いていて、その、ユースティアの神官をしています」とさっきの女性がいう。


「……俺は、リーグ・エンデだ。戦士で、主に剣で戦っている」と体格がとてもしっかりしていて、大きな剣を背負った黒髪の青年がいう。


「ボクはリーナ・フェンリス、弓を使った攻撃と、ルディアス様の攻撃魔法を使えるよ!」と、最後の女性が、どうやらいわゆるハーフエルフというものらしく、耳がとがった感じのすらっとした長身な、金髪の日焼けをした肌な活発そうな女性が笑顔で答える。


「へぇ、実は僕もルディアス様の信徒なんですが、風系の攻撃魔法ですかぁ。そりゃぁすごい」とリーナさんにヨスタナ師は微笑む。


「アリエさん、リーグさんですね、しかし珍しいですね、神官がリーダーというのは、どうしてなのでしょう?」とヨスタナ師は尋ねる。


 すると、少し怒ったようにリーグさんが端的に言う。


「アリエは戦略眼があるし、後衛だからこそ適切に指示ができるからだ」と答え、アリエさんが「り、リーグ、そう怒らなくても……」と静かにたしなめると、「……すまない。ただアリエの指示は的確だ」と答える。


「そう思います。的確ですし、正しい判断ができる方だと思っています。その彼女をリーダーにするお二人もまた、正しい判断が出来る方なのだろうと思っています」とヨスタナ師が答えると、二人は毒気が抜かれたように何となくぽかーんする。


 そして、何だか照れたような、こう、くすぐったそうな感じの反応が3人からあった。


「そ、それで! ローゼクォート市まで、ということは、徒歩ですか? それとも馬車ですか?」とアリエさんが照れたのを誤魔化すように尋ねてくる。


 ヨスタナ師は、「いえ、馬車を実はお借りしているんです。ですから馬車で……あ、御者もできるかた、いますか?」というと、リーグさんとリーナさんが手を上げた。


「なら大丈夫ですね、それでは細かいところを……」とヨスタナ師はいくつかの細かい点や、逆にアリエさん側からの質問や提案があり、話がまとまった。


「さて、出発はすぐにできるでしょうか? 僕ぁ馬車の旅は学生時代していましたが、久しぶりで楽しみです。よろしければ、行きましょう」とヨスタナ師は言って、3人を代表してアリエさんが、「大丈夫です!」と答えてヨスタナ師は微笑み、そして皆に促し皆が席を立ち、冒険者ギルドを出て行く。

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