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追放されし『異端者』、レオンの異世界革命奇譚  作者: 露月ノボル
【第三章】新たな門出
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第75話 サティナと、スキル発動?

 よくわからないが、まあ、実験は大事だ。やってみよう。謎な力を用いるのはそれはそれで興味深い。まずは……「サティナフィアの豊穣」だったか、え、これは、どうすれば……ま、まさか……!?


「そう!! 手を天にかざして、『我は求め訴えたもう!! 豊穣の女神、サティナフィアよ! 我に地に生えし静かなる生命へと力を与えんことを!!』って、ね!!」と笑顔で求めてくるが、その瞬間、白い空間に切れ目が開いたと思ったら、神カタログに載ってた、その今言ってたサティナフィアとかいう女神が「はーいー?」と首だけ出してきて返事をした。


「ひゃぁ!?」、【ひゃぁ!?】、とヨスタナ師とレニーナが仲良く驚くが、「ひゃぁ!?」とリィズも驚くのはどうかと思う。さらに、ヨスタナ師は気絶してしまった。まあ、こればかりはちょっとしたホラーだから仕方が無いのだが。


「リィズさまー、お呼びですかぁ?」と間の延びた気の抜けた声で、長耳の眠そうなというかやる気の無さそうなというか、そういった目をした、緑色の長い髪の、肩が見えるくらい伸びきったヨレヨレなシャツを着た……こう、やる気の無ささをあらゆる観点から強く主張してくるという、やる気の無さの主張だけはやる気があるという、不思議な女史が、器用にも開いた穴の中から欠伸してリィズに眠たい目で尋ねた。


「さ、サティナ、驚かさないでよ!? それに、私、いつも言ってるでしょう?! 『貴女はやればできる子だから、もう少しやる気を出しなさい』って! ああ、もう、まずはこっち出てきなさいよ、よだれ拭いてあげるから!」と、何だか世話焼きの母親みたいなことを言っている。


「ぁぃー、さてぃな、でてきましたー」と穴の中から出てくると穴が閉じたが、その眠そうな顔に、緑色の足元まで伸びてる超ロングという髪という珍しい髪型だがボサボサで、ヨレヨレのこれまた膝まである伸びきった超長シャツを着崩し、案外小柄、と、やけにフランクな人柄で驚いた。そのサティナとかいうのの口についたよだれをリィズがあわあわとふきふきしてる。


「……わたしはまだなにも、呪文っぽいの、となえてないのだが、いいのかね……?」と、何となく寂しく感じて言うと、「あっ、そうだった!」とリィズが失敗したというような表情をし、サティナとかいうのにこしょこしょと何かを言っている。


「いい? あの女の子、サティナも、会ったわよね? あの子が、もし、『我は求め訴えたもう!! 豊穣の女神、サティナフィアよ! 我に地に生えし静かなる生命へと力を与えんことを!!』って手を天にかざして叫んだら、威厳を持って現れて、ちゃんと女神らしく荘厳にこう…私のいつも教えてるようなセリフ言って、力を与えてあげてね?」とリィズがこしょこしょ言う。


 サティナは「えー、めんどいですぅー」と、「ふつーに、『木、ちょうだい』っていわれたら、『おっけー』ってにょきにょきーってしてあげればよくないですかぁー?」と、案外聞き捨てられないことを言う。


 まさか……この、手を天にかざしたり、恥ずかしいセリフを言うのは、もしや、実は要らないのか……? そう私が思っていると、「そんなことしたら、お約束が……威厳が、ね? だから頑張って! 貴女はやればできる子って私、知ってるから!」と何だか本当にお母さんのようなことを言う。


「だってー、わたしー、じっさいに、リィズさまからうまれましたしー?」と私の方に目を合わせると答えてきて、私はちょっと驚いてしまったが、「な、なるほど、リィズはみんなのおかあさんなんだなぁ」と感心したように言うと、何故かリィズは「ぼ、母体出産じゃないし、そもそもそういうのも、まだだから!!」と、顔を真っ赤に何だか言ってる。


 と、思うと、【……こんなののどこがいいのかしら……】と不機嫌そうなレニーナの声が聞こえるが、君の一時的な身体を作る事を話しているのだからな。ともあれ、聞き捨てならない事を聞いたので、確認する。


「それでまあ、じっさいもんだい、へんなポーズにへんなセリフは、まほうとやらに要るのかね?」と聞くと、「不要ですよー、ふつーに言ってくださいなー」とサティナが即答し、リィズが「ちょ、ちょっと、しーっ! サティナったら、しーっ!」と手遅れな口止めをしてくる。


「……しょくぶつで身体をつくりたいのだが、できるかね?」と私がいうと、「おっけぃー」と手をかざし、ぽんっ、と見た目は少し肌の色が薄い黄緑な、どことなくサティナに似ているような、小柄な少女の身体(?)がそこに瞬時にできあがった。


「ああああ!!!!」と、リィズが叫ぶ。何かまさか力の暴走や代償などが……?


 と、思ったら、「もーーー!! サティナったら、段取り通りしなきゃダメでしょう?! せっかくこう、『【祝】初スキルおめ!!』なシーンだったのにーー!!」と、とても残念なことを叫ぶので、私は脱力した。


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